令和7年版 防災白書|第3部 第2章 1 1-4 その他


1-4 その他

(1)国土強靱化の推進

内閣官房国土強靱化推進室においては、「国土強靱化基本計画」(令和5年7月28日閣議決定)、「国土強靱化年次計画」及び「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(令和2年12月11日閣議決定)に基づき、政府横断的な国土強靱化への取組を推進するとともに、地方公共団体や民間の取組促進等を実施する。また、令和5年6月に改正された強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法(平成25年法律第95号)に基づく令和8年度からの実施中期計画については、施策の評価や資材価格の高騰等を勘案し、概ね15兆円程度の事業規模で実施中の5か年加速化対策を上回る水準が適切との考えに立ち、令和7年6月を目途に策定する。

(2)災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備

内閣府においては、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備に向けた訓練・資器材の調達等を行う。

(3)防災庁設置準備室経費

内閣官房防災庁設置準備室においては、令和8年度中の防災庁設置に向けて、防災庁の目指すべき方向性や組織の在り方等を具体化するために、有識者会議等を通じた調査や検討を進める。

(4)実践的な防災行動推進事業

内閣府においては、「災害被害を軽減する国民運動の推進に関する基本方針」(平成18年4月21日中央防災会議決定)及び「災害被害を軽減する国民運動の具体化に向けた取組について」(平成18年12月13日専門調査会報告)に基づき、個人や家庭、地域、企業、団体等が日常的に減災のための行動と投資を息長く行う国民運動を展開するとともに、地域防災力の向上を推進するための地区防災計画の策定促進、全てのこどもが災害から命を守る能力を身に付けられるように実践的な防災教育や避難訓練の実施促進に取り組む。

(5)官民連携による被災者支援体制整備事業

内閣府においては、NPOや専門ボランティア団体、企業等の多様な被災者支援の担い手間の連携強化、活動環境の整備、活動支援情報共有の役割を担う災害中間支援組織の設置・機能強化等を図る。また、避難生活支援を行うボランティア人材の育成等を進めるための「避難生活支援・防災人材育成エコシステム」構築に向けた調査・研究を進める。

(6)社会全体としての事業継続体制の構築推進

内閣府においては、中央省庁における業務継続体制の確保のため、有識者による省庁業務継続計画の評価や、評価結果に基づいた同計画の見直しに係る調査等を行うとともに、行政中枢機能の業務継続確保に係る各省庁横断的に対応すべき課題解決に向けた調査等を行う。また、地方公共団体における受援体制の構築を促進するため、地方公共団体の取組について令和6年能登半島地震を踏まえた調査等を行い、課題解決に向けた検討を行うとともに、地方公共団体の相互応援や民間団体の協力の確保に関する協定の締結を促進するため、地方公共団体が締結した災害時応援協定の内容をデータベース化し、検索・閲覧することができるシステムを地方公共団体に対し提供する。

さらに、民間企業・団体の事業継続体制の構築及び災害リスクマネジメント力向上の取組推進のため、企業のBCP策定率調査を行うとともに、事業継続ガイドライン改定に向けて、能登半島地震被災企業における事業継続の課題や重要要素の調査、事業継続の促進検討業務等を行う。

(7)被災者支援・復興対策の調査検討

内閣府においては、被災者の立場に立ったきめ細やかな被災者支援が講じられるよう、必要な検討を行う。また、災害からの復興を円滑かつ迅速に進めるための施策の検討及び関係機関との共有等を図る。

(8)特定地震防災対策施設(阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター)の運営に対する助成

内閣府においては、特定地震防災対策施設(阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター)において行われる、阪神・淡路大震災を始めとする国内外の地震災害関連資料の収集・保存・展示や情報発信などに要する経費の一部を補助し、当該事業の推進を図る。

(9)防災広報

内閣府においては、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)に基づく防災白書の作成のほか、防災に関する正確な知識・情報を提供するためのホームページを運営管理し、さらに、防災施策を分かりやすく伝達するための広報誌「ぼうさい」を発行する等の防災広報を幅広く展開する。

(10)防災計画の充実のための取組推進

内閣府においては、大規模地震(首都直下地震、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震)に係る各基本計画の改定を踏まえた地域防災計画の改定に当たり、半島等の「地理的特性」のリスクや対策が反映されるよう、特性毎に調査・検討し、個別に助言する等により、地域防災計画の更なる実行性確保に取り組むほか、各基本計画において掲げる目標等の達成に向け、進捗状況や課題を定期的に確認するとともに、好事例や課題の収集・検討・横展開や連絡会議の開催等を行う。

(11)被災者支援に関する総合的対策の推進

内閣府においては、避難所における良好な生活環境を確保するため、各市町村における避難所の質の向上に関する取組を推進する。特に、福祉避難所の確保といった要配慮者への対応、女性やこどもの視点を踏まえた避難所運営の課題や取組等について調査検討を実施する。

また、個別避難計画の作成の更なる加速化を目指すとともに、取組が十分に進んでいない市町村を後押しするため、都道府県による市町村への支援体制を整備する。

さらに、災害ケースマネジメントについて、令和4年度に作成した手引き等を活用し、地方公共団体の職員、福祉関係者等の幅広い関係者を対象とした説明会を実施する。あわせて、災害ケースマネジメント等に連携して取り組む関係機関の一元的な情報共有等を行うための官民連携のプラットフォームの構築や災害ケースマネジメント等の一人一人に寄り添った支援を実施するための体制構築や訓練等に先進的に取り組む自治体を支援し横展開することで、取組の周知啓発を実施する。

(12)防災情報の収集・伝達機能の強化

内閣府においては、地震発災直後の被害推計、地理空間情報を活用した防災関係機関の情報共有により政府の初動対応を支援する新総合防災情報システム(SOBO-WEB)等の安定運用を図るため、定期点検及び障害対応等の保守・運用体制を確保する。

また、令和7年度より運用を開始する、国と地方公共団体の間で物資の調達・輸送等に必要な情報を共有し、迅速かつ円滑な被災者への物資支援に資する新物資システム(B-PLo)について、平時からの保守・運用体制を確保するとともに、現行システムからの確実な切り替え等を実施するための平行運用や機能改修等を実施する。

(13)自治体における事前防災力強化の支援事業

内閣府においては、自治体の被害想定や防災計画等の策定・見直しのうち、具体の地域課題を踏まえた先進的な取組について、計画策定を支援するとともに、孤立可能性集落の調査等を実施する。

(14)防災情報システムの効果的な利活用促進業務

内閣府においては、防災情報システムを活用した効果的な災害対応の実現に向けて、関係省庁・都道府県等を対象とした、新総合防災情報システム(SOBO-WEB)を活用した操作演習および机上演習(TTX)、令和7年度より運用を開始する「新物資システム(B-PLo)」の基本操作取得研修及び同システムを活用した現地訓練を実施する。

また、ISUTInformation Support Team)が行う地図作成業務の民間事業者への委託や民間事業者との協力体制の構築等を推進する。

(15)プッシュ型支援のより迅速かつ確実な実施に必要な経費

内閣府においては、大規模災害時に被災地方公共団体での物資の調達が困難な場合に、国でも、地方公共団体からの要請を待たず支援を行うプッシュ型支援に関し、必要となる経費の一部をあらかじめ予算化することにより、大規模災害時における被災地へのより迅速かつ確実なプッシュ型支援を実現する。

また、プッシュ型支援で供給した国の備蓄品を迅速に補充し、次なる大規模災害への備えを万全にする。

(16)防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム

内閣府においては、災害対応を行う地方公共団体等のニーズと民間企業等が持つ先進技術のマッチングや、効果的な活用事例の横展開等を行う場として「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」(防テクPF)の運営およびマッチングセミナー・ピッチを実施し、防テクPFへの地方公共団体・民間企業等の参加拡大、マッチング・事業化促進を図り、防災分野への更なる先進技術導入の促進、社会全体のレジリエンス強化に取り組んでいく。

(17)地域女性活躍推進交付金事業

内閣府においては、地方公共団体が地域の実情に応じて実施する、地域防災において女性のリーダーシップを推進するための取組等を支援する。

(18)地域における男女共同参画促進を支援するためのアドバイザー派遣事業

内閣府においては、女性視点での災害対応の強化を図るため、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」等の地域における更なる活用を図る。

(19)防災分野における女性の参画促進事業

内閣府においては、地方防災会議や災害対応の現場などへの女性の参画拡大を図るため、自治体職員向けの研修を実施し、地域の女性防災リーダーとのネットワークを強化するための意見交換等を行う。

(20)大規模災害対策の推進

警察庁においては、大規模災害発生時における広域部隊派遣計画の策定・検討や災害に強い警察情報通信基盤等の整備を進めるとともに、災害発生時には警察用航空機(ヘリコプター)や無人航空機(ドローン)を活用した映像伝送等により現場情報を収集・伝達するなど、災害対策の強化を図る。

(21)道路交通情報の充実

警察庁及び国土交通省においては、高度化光ビーコンやETC2.0、交通情報板、道路情報板等を活用し、的確な道路交通情報の収集・提供を推進する。

また、警察庁においては、災害時における効果的な交通規制、避難路の確保等を行うため、都道府県公安委員会が収集する交通情報と民間事業者が保有するプローブ情報を融合して活用・提供するための広域交通管制システムを引き続き運用するなど、災害時の交通情報提供の充実を図る。

さらに、警察庁、総務省及び国土交通省においては、VICS(道路交通情報通信システム)を活用して提供される道路交通情報の充実に資する取組を推進する。

このほか、国土交通省においては、道路利用者の利便性を向上させるため、豪雨等による事前通行規制区間において実施する規制開始・解除の見通し情報の提供に努める。

(22)無線局における災害対策等

総務省においては、防災関係機関の無線局の免許、定期検査等に際し、免許人に対して、災害に対する保安対策、予備の無線設備と予備電源の装備や自家発電装置の設置等の停電対策及び非常災害時に備えた訓練の実施を行うよう引き続き指導する。

なお、総務省では、電気通信事業者に対し、災害対応の重要拠点となる市町村役場等をカバーする携帯電話の基地局や固定通信の収容局における予備電源の長時間化について、少なくとも24時間の停電対策等を求めている。

(23)災害情報自動集約ネットワークシステムの維持・運用

総務省においては、災害時等における電気通信設備の大規模な被災や輻輳が発生した場合において、被災状況の即時把握等、国・電気通信事業者間の迅速かつ効率的な情報共有を可能とするための災害情報自動集約ネットワークシステムを運用する。

(24)Lアラートによる災害情報の確実な伝達の推進

総務省においては、Lアラートにおける情報伝達・共有の質の向上及び効率化を図るべく、内閣府総合防災情報システムとのデータ連携に向けた調査研究や、今後の運営及びシステムの在り方に関する調査研究を実施するとともに、Lアラートの利活用を推進するため、地方公共団体職員等利用者を対象としたセミナーを開催する。

(25)テレワーク普及推進対策

総務省においては、災害時等の事業継続にも有効なテレワークについて、関係者と連携し、テレワーク月間等の普及啓発、専門家による無料相談事業の実施等を通じた企業等への導入支援や地域窓口による全国的な導入支援等を行う。

(26)民放ラジオ難聴解消支援事業

総務省においては、ラジオの難聴を解消することにより、平時における国民に密着した情報に加え、災害時における国民に対する生命・財産の確保に必要な情報の提供を確保するため、ラジオの難聴解消のための中継局整備支援を実施する。

(27)放送ネットワーク整備支援事業

総務省においては、被災情報や避難情報など、国民の生命・財産の確保に不可欠な情報を確実に提供するため、災害発生時に地域において重要な情報伝達手段となる放送ネットワークの強靱化を実現する。

(28)地上基幹放送等に関する耐災害性強化支援事業

総務省においては、大規模な自然災害が発生した場合においても放送を継続させるため、停電対策などの地上基幹放送等の耐災害性強化を支援する。

(29)地域ICT強靱化事業(本省・地方)

総務省においては、災害時に地方公共団体等が臨時災害放送局の迅速な開設・運用を行えるよう、総合通信局等に臨時災害放送局用の送信機等を配備し、平時には地方公共団体等が行う送信点調査や開設・運用訓練に活用している。また、大規模災害時にテレビ放送が途絶しないよう、総合通信局等において可搬型予備送信設備等の運用研修・訓練を行うとともに、地方公共団体等が可搬型予備送信設備等を活用できるよう、運用マニュアルの更新等を行う。

(30)ケーブルテレビネットワークの耐災害性強化事業

災害時に確実かつ安定的な情報伝達が確保されるよう、地域の情報通信基盤であるケーブルテレビネットワークの光化・複線化等による耐災害性強化の事業費の一部を支援する。また、令和6年能登半島地震により被害を受けた地域のケーブルテレビ関連設備の復旧に係る事業費の一部を支援する。

(31)応急対策職員派遣制度の運用

総務省においては、平成30年3月から運用している応急対策職員派遣制度に関して、関係地方公共団体等と連携し、円滑に運用するための情報伝達・連携訓練を実施するとともに、同制度の応援において中心的役割を果たす「災害マネジメント総括支援員等」の育成に向けた研修を実施する。また、甚大な被害が想定される首都直下地震等に備えアクションプランの策定に向けた検討を行う。

(32)全国瞬時警報システム(Jアラート)の安定運用

消防庁においては、弾道ミサイル情報や緊急地震速報、津波警報等の緊急情報を住民に瞬時に伝達するシステムであるJアラートについて、情報受信団体における常時良好な受信環境及び安定的な運用を確保するため、同システムの保守・管理を行う。

(33)地域防災計画の見直しの推進

消防庁においては、地域防災計画の見直しを推進するため、地域の実情に即した具体的かつ実践的な計画になるよう、地方公共団体に対し要請・助言等を行う。また、地方公共団体間の計画内容の比較・検証を通じたより適切な計画への見直しが行われるよう、地域防災計画データベースの運用を通じた支援を行う。

(34)緊急消防援助隊派遣体制の整備

消防庁においては、緊急消防援助隊の迅速・安全な出動及びより効果的な部隊運用を図るため、地域ブロック合同訓練の実施、またヘリコプター動態管理システム及び動態情報システムの保守管理等を行う。

(35)緊急消防援助隊の機能強化

消防庁においては、近年、激甚化・頻発化する土砂・風水害、南海トラフ地震を始めとする切迫する大地震など、大規模な自然災害やNBC災害に備えるとともに、緊急消防援助隊の充実と即応体制の強化を図るため、消防組織法(昭和22年法律第226号)第50条に基づく国有財産等の無償使用制度を活用して、必要な車両及び資機材の整備を推進する。

(36)消防団を中核とした地域防災力の充実強化

消防庁においては、令和6年能登半島地震等を踏まえ、消防団の災害対応能力の強化や女性が活動しやすい環境づくりなどの消防団の充実強化につながる地方公共団体の取組の支援、消防団の装備・教育訓練の充実、自主防災組織の活性化の推進等により、地域防災力の充実強化を図る。

(37)救急業務の充実強化

消防庁においては、高齢化の進展等を背景とする救急需要の増大に対応し救命率の向上を図るため、救急車の適時・適切な利用の推進や、救急業務の円滑な実施と質の向上など、救急業務を取り巻く諸課題への対応策について検討を行う。

(38)救助技術の高度化の推進

消防庁においては、複雑・多様化する消防の救助活動における課題を克服し、救助技術の高度化を図るため、救助技術の高度化等検討会、全国消防救助シンポジウムを開催し、救助隊員の救助技術・知識の向上を図る。

(39)市町村の消防の広域化及び消防の連携・協力の推進

消防庁においては、消防の広域化及び消防の連携・協力の取組を促進するため、「消防用車両出動シミュレーションシステム」の運用や「消防広域化推進アドバイザー」の派遣等を行う。

(40)消防職団員の惨事ストレス対策

消防庁においては、消防職団員の惨事ストレス対策の充実強化を図るため、緊急時メンタルサポートチーム登録者のスキルアップや増員等に係る取組を行うほか、消防本部等における惨事ストレス対策の取組について、支援を行う。

(41)災害応急対応に係る業務継続体制の確立

消防庁においては、首都直下地震時等において本庁舎が被災した場合であっても、全国の被害情報の収集や緊急消防援助隊の出動指示等の災害応急対応業務を迅速かつ的確に実施するため、代替拠点における必要な設備・資機材等の整備を行う。

(42)地方公共団体等における災害対応能力の強化

消防庁においては、地方公共団体等における災害対応能力を強化するため、市町村長の危機管理意識の一層の向上を図ることを目的とした研修、市町村の受援計画の策定に向けた研修や大規模災害時に市町村長を支援する「災害マネジメント総括支援員」等を対象とする研修等を行う。

(43)ドローンの活用推進

消防庁においては、消防本部等がドローンを安全かつ効果的に運用できるよう、より高度な操縦技術を持つ人材を育成するため「ドローン技術指導アドバイザー(仮称)の育成研修」や「消防職員の一等ライセンス取得研修」を実施するとともに、アドバイザー派遣制度により全国の消防本部等の操縦者育成を図ることとしている。

(44)消防共有サイトシステムの運用・保守

消防庁の施策に係る情報をはじめ、各消防本部・消防学校等が実施している独自性に富む様々な取組や情報等について、双方向かつ横断的な収集・蓄積により相互共有を図り、それぞれの団体等において自由にデータを活用できる専用サイト「消防共有サイト」の安定的な稼働体制を確保する。

(45)法務省における災害時の対処能力の維持

法務省においては、災害が発生し、庁舎・収容施設等が被災した場合に、法務省の業務を継続し、治安上の問題が生じないようにするため、庁舎・収容施設における防災・保安警備等の対処能力の維持を図る。

(46)法務省における大規模災害発生直後から必要不可欠な行政機能の確保

法務省においては、矯正施設からの被収容者の逃走による治安の悪化を防止するため、矯正施設の監視カメラ等の総合警備システム、デジタル無線機、非常用食料の更新整備及び特別機動警備隊の野営活動訓練等を実施する。

(47)文教施設の防災対策の強化・推進

文部科学省においては、児童生徒等の安全の確保等のため、水害対策や非構造部材の耐震対策を進めるとともに、学校施設の防災機能の強化に関する検討や、応急危険度判定技術者の養成等、総合的・計画的な防災対策を強化・推進する。

(48)災害拠点病院等の活動支援

厚生労働省においては、以下の補助を行う。

  • 国が又は国が地方公共団体と連携して行う防災訓練等に参加・協力する災害拠点病院等の訓練参加費用
  • 災害時に被災地へ派遣された災害派遣医療チーム(DMAT)及び災害派遣精神医療チーム(DPAT)の活動費
(49)災害福祉支援ネットワーク構築推進等事業

厚生労働省においては、災害時において要配慮者(高齢者・障害者等支援が必要な方々)に対し必要な福祉的支援を行うことができるよう、都道府県が関係団体等と災害福祉支援ネットワークを構築する事業に対する補助を行う。

(50)災害派遣医療チーム(DMAT)体制整備

厚生労働省においては、DMATの体制を整備するため、医師、看護師等に対するDMAT隊員養成研修や DMAT隊員に対する技能継続研修等を行うDMAT事務局の運営について委託する。また、災害時に被災地の医療機関に係る被害状況を把握し、迅速かつ的確な医療の確保を図るための、DMATの運用調整等を実施する。

(51)予防接種法に基づく定期接種の実施

厚生労働省においては、災害時における感染症の発生及びまん延防止のため、平時から市町村において予防接種法(昭和23年法律第68号)に基づく定期接種が着実に実施されるように取り組む。

(52)災害派遣精神医療チーム(DPAT)事務局体制整備

厚生労働省においては、DPATの活動能力保持のため、DPAT構成員に対する研修及び都道府県等への技術的支援等を行うDPAT事務局の運営について委託する。

(53)災害派遣精神医療チーム(DPAT)体制整備

厚生労働省においては、DPATを整備するための構成員に対する専門的対応技術等の研修の実施について補助する。

(54)日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)事務局体制整備

厚生労働省においては、JRATの活動能力保持のため、都道府県等及びJRAT隊員等に対する研修や技術的支援等を行うJRAT事務局の運営について委託する。

(55)在宅医療の災害時における医療提供体制強化支援

厚生労働省においては、災害時における在宅医療提供体制の充実強化のため、在宅医療提供機関等を対象とした事業継続計画(BCP)策定支援研修を実施する。

(56)独立行政法人国立病院機構における災害医療体制整備

独立行政法人国立病院機構においては、災害時の医療を確実に実施するため、初動医療班の派遣体制の整備等を行う。

また、省庁及び関係民間団体等と連携して検討を進めるなど、連携体制の構築を進める。

(57)保健医療福祉調整本部における災害対応力強化

厚生労働省においては、大規模災害時における保健医療福祉活動の体制強化を図るため、保健医療福祉調整本部の位置づけの明確化を図るとともに、連絡会議や研修等を通じて保健医療福祉の各チームによる一体的な取組を推進する。

(58)災害時保健医療福祉活動支援システム(D24H)の整備

厚生労働省においては、災害時の医療・保健・福祉等に関する情報を統合し、災害に関する情報を必要な関係者に迅速に提供することにより、災害対応関係者(国、自治体等)の災害対応等に関する意思決定を支援するため、災害時保健医療福祉活動支援システム(D24H)の保守運用及び研修・訓練を行う。

(59)山村地域の防災・減災対策

農林水産省においては、山地災害による被害を軽減するため、治山施設の設置等のハード対策と併せて、地域における避難体制の整備等の取組と連携して、山地災害危険地区の位置情報を住民に提供する等のソフト対策を推進する。

(60)防災情報ネットワークの整備

農林水産省においては、国営造成土地改良施設や農業用ため池の被災状況を迅速に把握することにより、地域の被災を未然に防止するため、防災上重要な水位等の観測データや災害時の緊急点検状況、被害状況をリアルタイムで行政機関、施設管理者等が共有できるシステム等の整備、保守運用を行う。

(61)中小企業に対する事業継続力強化計画等の策定や実行に関する支援

経済産業省においては、中小企業に対して、事業継続力強化計画等の自然災害等のリスクに備えるための計画の策定を支援する。

株式会社日本政策金融公庫においては、中小企業が自ら策定した事業継続計画や、経済産業大臣が認定した事業継続力強化計画等に基づき、防災に資する設備等の整備を行う者に対し、融資を行う。

(62)石油備蓄事業補給金

経済産業省においては、石油精製業者等が所有するタンクを借上げ、経費相当額を補給金として支払い、ガソリン・軽油等の製品形態での国家石油備蓄を効率的に維持・管理する。

(63)災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金

経済産業省においては、需要家側への燃料備蓄を促進し、災害時のエネルギー供給の安定化を図るため、避難所、多数の避難者が生じる施設等にLPガスタンクや石油製品タンク等を設置するために必要な経費の一部等を支援する。

(64)災害時に備えた地域におけるエネルギー供給拠点の整備事業費

経済産業省においては、災害時の石油製品の安定供給体制を確保するため、SSの地下タンクの大型化に伴う入換、災害時に緊急車両等への優先給油を行う中核SSや被災地の住民向けに燃料供給を行う住民拠点SSにおける自家発電設備の入替え、SSの災害対応能力強化のための研修・訓練等に係る費用について支援する。

(65)石油ガス地域防災対応体制整備事業

経済産業省においては、災害時におけるLPガスの安定供給確保のため、中核充填所の新設・機能拡充や、災害時石油ガス供給連携計画を確実に実施していくための訓練に係る取組を支援する。

(66)燃料等災害対応体制整備事業

経済産業省においては、特別警報級の大雨・高潮等を想定した製油所の排水設備の増強など、製油所等のレジリエンス強化を図るための企業の取組を支援する。

(67)クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金

経済産業省においては、災害時に避難所や老人福祉施設等に車両から電気を供給するためのV2H充放電設備・外部給電器の導入を促進する。

(68)地籍整備の推進

国土交通省においては、引き続き、事前防災や災害後の迅速な復旧・復興等に貢献するため、今後災害が想定される地域において地籍調査を重点的に推進する。

(69)緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)等の災害対応力の強化

国土交通省においては、被災状況の迅速な把握、被害発生及び拡大の防止、被災地の早期復旧に資する支援等に取り組む緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)等について、高度な専門性を有する官民の多様な主体との連携、資機材・装備品等の強化など、災害対応力の強化に取り組む。

(70)土地分類基本調査の実施

国土交通省においては、土地の改変が進み不明確となっている土地本来の自然条件や改変状況等の情報を整備した上で、それを災害履歴等と組み合わせて分かりやすく提供する土地履歴調査を、国が実施する土地分類基本調査として実施する。

(71)平常時・災害時を問わない安全かつ円滑な物流等の確保

国土交通省においては、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網を「重要物流道路」として指定し、機能強化や重点支援を実施する。災害時においては、迅速な救急救命活動や緊急支援物資の輸送などを支えるため、地方管理道路の災害復旧等を国等が代行できる制度を活用し道路啓開や災害復旧の迅速化を図る。

(72)災害に強い物流システムの構築

国土交通省においては、災害時における円滑かつ迅速な支援物資輸送体制の構築・強化を図るため、重要な物流施設における非常用電源設備の導入支援、地方公共団体と物流事業者等が連携して取り組む支援物資輸送訓練に対する支援等を実施する。

(73)被災宅地危険度判定制度の整備

国土交通省においては、大地震等による宅地被害の発生状況を迅速かつ的確に把握し、二次災害の防止・軽減や早期復旧に資する被災宅地危険度判定について、引き続き、都道府県等と連携し、実施体制の整備を支援する。

(74)災害時の緊急情報収集・支援体制の充実強化

国土交通省においては、災害発生時に被害の早期把握及び被災地方公共団体等への支援を的確かつ円滑に行うため、必要となる資機材の維持・整備や、プッシュ型で支援できる人材の育成等、防災体制・機能の充実強化を図る。

(75)災害時における自転車の活用の推進

国土交通省においては、「第2次自転車活用推進計画」(令和3年5月28日閣議決定)に基づき、被災状況の把握や住民の避難等、災害時における自転車の活用の推進に関する課題や有用性について検討するとともに、「シェアサイクル事業の導入・運営のためのガイドライン」を活用するなどし、災害時の自転車の活用を推進する。

(76)抜本的かつ総合的な防災・減災対策の推進

国土交通省においては、近年の気候変動の影響により激甚化・頻発化する水災害や切迫する大規模地震など、あらゆる自然災害から国民のいのちとくらしを守るため、「国土交通省防災・減災対策本部」において令和6年6月に取りまとめた「令和6年度 総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」(テーマ:能登半島地震を踏まえた防災対策の推進)に基づいて総力を挙げて防災・減災対策を推進するとともに、災害対応等を踏まえ、プロジェクトについて不断の見直しや改善を行い、防災・減災に関する取組の更なる充実・強化を図る。

(77)海上輸送を活用した災害廃棄物の広域処理における港湾での円滑な対応

国土交通省においては、南海トラフ地震等の大規模災害で大量に発生する災害廃棄物の処理に備え、海面処分場の有効活用や広域な土地を有する港湾を災害廃棄物の仮置場としての利用、港湾を拠点として海上輸送による広域輸送が可能であることを踏まえ、関係省庁及び関係民間団体等と連携して検討を進めるなど、連携体制の構築を進める。

(78)災害時における被災地域の道路交通機能の確保

国土交通省においては、昨今の災害時交通マネジメントの事例も踏まえ、地域防災計画へ位置付けることで、災害発生時に速やかに実施体制に移行できるよう、全国各地で行政、学識経験者、交通事業者、経済団体等からなる体制の事前構築を推進する。

(79)港湾における災害情報収集等に関する対策の推進

国土交通省においては、衛星やドローン、カメラ等を活用して、港湾における災害関連情報の収集・集積を高度化し、災害発生時における迅速な港湾機能の復旧等を可能とする体制を構築する。

(80)空港BCPの実効性の強化

国土交通省においては、自然災害発生後、救急・救命活動や緊急物資輸送の拠点となる空港の機能をできるだけ速やかに確保するため、空港全体としての機能保持及び早期復旧に向けた目標時間や関係機関の役割分担等を明確化した空港BCPA2Advanced/Airport)-BCP)に基づいて対応する。また、訓練や定期検査などを実施し、必要に応じて空港BCPの見直しを行うなど、実効性の強化を図る。

(81)電子国土基本図と防災地理情報による防災対策の推進

国土地理院においては、防災対策や災害時の応急活動の支援のため、平時から国土の変化に応じた電子国土基本図の更新や火山周辺の地形等を詳細に表した火山基本図、土地の成り立ちや自然災害リスクの把握に役立つ地形分類情報等の防災地理情報の整備・更新を行う。

(82)防災地理情報による防災教育支援の推進

国土地理院においては、洪水等の自然災害リスクの把握に役立つ地形分類情報や過去に起きた自然災害の教訓を後世に伝承するための自然災害伝承碑等の防災地理情報を活用し、地域防災力向上のための防災教育支援を行う。

(83)災害発生時における浸水推定図等の作成

国土地理院においては、災害発生時における孤立者救助や洪水時の排水作業等の応急活動の迅速・効率化に資するため、被災状況に応じて、浸水推定図等の災害状況を表した図の作成を行う。

(84)訪日外国人旅行者への災害発生時における情報提供

観光庁においては、訪日外国人旅行者向け災害時情報提供アプリ「Safety tips」について普及促進に取り組むとともに、地域の災害時における観光危機管理の強化を支援する。

(85)災害時における踏切道の的確な管理の推進

国土交通省においては、災害時の円滑な避難や緊急輸送を確保するため、踏切道改良促進法(昭和36年法律第195号)に基づき、災害時の管理の方法を定めるべき踏切道として指定した緊急輸送道路上等の踏切道について、鉄道事業者・道路管理者の連携による災害時の踏切優先開放等の措置を確実に実施する取組を促進する。

(86)道路啓開計画の実効性向上

国土交通省においては、道路啓開計画の実効性を向上するため、令和7年4月に改正された道路法(昭和27年法律第180号)等に基づき、令和7年度内に、法定協議会での協議を経た上で、地方整備局単位の道路啓開計画を策定する。

(87)防災に資する地理空間情報の整備及び利活用促進

国土交通省においては、ハザードエリアやインフラ情報等の国土数値情報の整備を行うとともに、防災情報を含む不動産取引に役立つ情報を地図上から閲覧可能な不動産情報ライブラリのコンテンツ拡充等を行う。

(88)気象庁による地域防災支援

気象庁においては、全国各地の気象台が、平時から地方公共団体に対し防災気象情報の利活用の促進を行うとともに、災害時には、首長等へのホットラインの実施、TEC-FORCEの一員として活動するJETT(気象庁防災対応支援チーム)の派遣等により、地方公共団体の防災対応の支援を行う。

また、地方公共団体が行う平時における防災知識の普及や、災害時における避難情報の発令判断等を支援するため、気象・防災に関する専門的な知見を活かして地方公共団体で活動する気象防災アドバイザーの拡充を実施する。

(89)予報、警報その他の情報の発表及び伝達

気象庁においては、台風や線状降水帯等による集中豪雨、豪雪等の自然現象による災害の防止・軽減を図るため、適時適切な予報、警報及び大雨警報・洪水警報の危険度分布等の防災気象情報を発表するとともに、防災関係機関等に伝達することで、避難指示等の判断等、地方公共団体等が行う災害応急対策や、国民の自主的防災行動に資する。また、各種天気図や波浪、海流及び海氷の実況・予想図等について気象無線模写通報(無線ファクシミリ放送)等による提供を行う。

(90)走錨事故防止対策の推進

海上保安庁においては、異常気象等時における大型船等の一定の船舶に対する湾外等の安全な海域への避難勧告や臨海部に立地する施設の周辺海域における錨泊制限等を実施する等走錨事故防止対策を推進する。

(91)万全な災害廃棄物処理体制の構築

環境省においては、平時から災害時における生活ごみやし尿に加え、災害廃棄物の処理を適正かつ円滑・迅速に実施するため、国、地方公共団体、研究・専門機関、民間事業者等の連携を促進するなど、引き続き、地方公共団体レベル、地域ブロックレベル、全国レベルで重層的に廃棄物処理システムの強靱化を進めるとともに、必要な連携方策の検討等を進める。

(92)動物の愛護及び管理事業

環境省においては、「人とペットの災害対策ガイドライン」等を活用し、市町村等の地方自治体と一般の家庭動物の飼い主に対してペットの災害対策を普及しつつ、都道府県等や関係民間団体と連携した災害対応訓練を実施する。また、災害時にも活用される都道府県等の収容・譲渡施設の整備に係る費用の補助を行う。

(93)浄化槽に係る災害対策の調査検討

環境省においては、浄化槽に係る災害対策の調査検討として、災害時の浄化槽被害対策に係るマニュアルの更新等に向けた調査検討や、避難所等における災害時の利用を想定した合併処理浄化槽の導入に向けた検討を実施することで、国土強靱化及び災害対応力の強化を図る。また、災害時の浄化槽の早期復旧に向けた具体的な課題・問題点とそれらを踏まえた有効な対応策や平時からの全国的な支援体制の構築に関する調査検討を行い、対策方針の取りまとめを行う。

(94)気候変動による災害激甚化に係る適応の強化

環境省においては、気候変動を踏まえた将来の台風や豪雨による気象災害の影響について評価し、激甚化する災害に備えるための科学的知見とメッセージを広く発信することで、市民の気候変動影響に関する理解を醸成するとともに、国や地方公共団体、事業者等の気候変動適応の取組促進及び気象災害に対して強靱な地域づくりの一助とすることを目指す。

(95)生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の推進

環境省においては、生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の推進のため、令和4年度に公表した生態系保全・再生ポテンシャルマップの作成・活用方法を示した「持続可能な地域づくりのための生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の手引き」と全国規模のベースマップを基に自治体等に対する計画策定等の技術的な支援を進める。

(96)災害対処能力の向上経費

防衛省においては、災害対処拠点となる駐屯地・基地等の機能維持・強化のための耐震改修等を促進するなど各種災害への対処能力の向上を図る。

(97)防災DXの推進

デジタル庁においては、住民支援のための防災アプリ開発・利活用の促進、避難所運営等へのマイナンバーカードの利活用促進、官民連携による民間デジタル人材を災害時に派遣する制度の創設など防災DXの取組を進める。

(98)防災分野のデータ連携の推進

デジタル庁においては、様々な防災システムを災害時に有効に活用していくため、プロトタイプを用いた実証実験を実施するなど、防災分野のデータ連携の取組を進める。


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