3-2 その他の関係道府県への支援・取組
(1)安定ヨウ素剤の備蓄・配布
放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくの予防又は低減をするために服用する安定ヨウ素剤は、PAZ(Precautionary Action Zone:予防的防護措置を準備する区域)・UPZ(Urgent Protective Action Planning Zone:緊急防護措置を準備する区域)内において、国の財政支援の下、地方公共団体が備蓄や事前配布を行っている。UPZ外の住民に対する安定ヨウ素剤については、内閣府が備蓄を行っている。
緊急配布による安定ヨウ素剤の受取の負担を考慮し、事前配布によって避難等が一層円滑になると想定されるUPZ内住民に対し、適切に事前配布の運用が図られるよう地方公共団体を支援している。また、住民への説明会に加えて、薬局での配布や説明会の遠隔開催により、住民の負担軽減を図る等、配布率の向上を図っている。
(2)オフサイトセンターの指定
原子力災害対策特別措置法第12条第1項に基づき、内閣総理大臣は、原子力事業所ごとに緊急事態応急対策等拠点施設(オフサイトセンター)を指定することとなっている。
オフサイトセンターの満たすべき要件は、原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態応急対策等拠点施設等に関する内閣府令(平成24年文部科学省・経済産業省令第3号)で定められているが、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の教訓等を踏まえ、平成24年9月に実用発電用原子炉に係るオフサイトセンターは、その立地場所について、基本的に5~30km圏内(UPZ内)とする等の改正を行っている。その後、平成29年3月に原子力規制委員会が原子力災害対策指針を改正し、核燃料施設等に係る原子力災害対策重点区域の範囲等について設定を行ったことを踏まえ、令和元年8月に核燃料施設等に係るオフサイトセンターが満たすべき要件について実用発電用原子炉に係るオフサイトセンターと基本的に同等の要件に改正した。現在、全国で23施設のオフサイトセンターが設置されている(図表3-2-1)。
(3)避難の円滑化に向けた支援
道路整備等による避難経路の確保など、原子力災害時における避難の円滑化は、地域住民の安全・安心の観点から重要であり、関係省庁が連携し政府全体が一体的に取り組むこととしている。
内閣府においては、避難経路における様々な阻害要因に関して、効果的・効率的な避難方法の改善についてモデルとなる経路を選定し、道府県の避難円滑化計画の作成、改善モデルの実証及びその成果の普及について支援を行ってきた。令和3年度からは、このモデル実証の結果を踏まえ、原子力発電施設等緊急時安全対策交付金に新たに緊急時避難円滑化事業を創設し、住民の円滑な避難又は一時移転を確保するための交通誘導対策等や地域防災計画に位置付けられた避難経路上の改善について支援を行っている。