第3節 国土強靱化の推進
気候変動の影響等により気象災害が激甚化・頻発化していることに加え、南海トラフ地震や首都直下地震等の大規模地震の発生も切迫している。また、高度経済成長期以降に集中的に整備されたインフラが、一斉に老朽化していることから、適切な対応を取らなければ、社会経済システムが機能不全に陥るおそれがある。このような危機に打ち勝ち、国民の生命・財産・暮らしを守り、災害に屈しない国土づくりを進めるため、国を挙げて防災・減災、国土強靱化の取組を強化し、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(令和2年12月11日閣議決定)を着実に推進しなければならない。
その上で、これらの取組をより効果的・効率的に進めるためには、国の取組に加えて、各地方公共団体が、それぞれの地域で直面する自然災害のリスクを正しく分析し、地域の強靱化に計画的に取り組むことが必要である。また、行政と民間主体が連携し、民間投資を誘発する仕組みづくり等を行うなど、民間の活力を活かした国土強靱化に取り組むことも重要である。さらに、最新の技術やイノベーション等、防災分野においてデジタル技術を活用するなど、効率的に災害対応力向上を図ることも求められている。
国土強靱化は国や地方公共団体のみならず、民間企業や個人も含めて全ての関係者が連携・協働しながら取り組むことが必要である。国土強靱化基本法が施行されて10年目を迎える中、国や地方公共団体での取組は進捗してきているが、民間企業や地域コミュニティ、また家庭や個人レベルにおいても、国土強靱化の必要性や効果について理解を深め、それぞれの地域、立場で実践していくことが必要である。