第5節 グローバル化に伴う外国人の増加
この100年間で、我が国に居住する外国人や訪問する外国人の数は大幅に増加した。したがって、災害が発生した際には、被災して支援が必要となる居住外国人や訪日中の外国人も増加している。こうした観点から、ここでは外国人の現状等について100年前と比較する。
(我が国に住む外国人は大幅に増加)
関東大震災の3年前に当たる大正9年(1920年)、我が国に住む外国人の数は約7万8千人に過ぎなかったが、100年後の令和2年(2020年)には、約274万7千人と約35倍にまで増加した。日本人人口は、平成22年(2010年)の国勢調査から減少に転じている一方、外国人人口は増加が続いており、外国人が全人口に占める割合は、大正9年(1920年)の0.1%から令和2年(2020年)には2.2%にまで大幅に増加している。
(外国人の4割以上は東京圏に在住)
我が国に居住する都道府県別外国人数について100年前と比較すると、大正9年(1920年)には、兵庫県(約1万2千人)、神奈川県(約1万1千人)、福岡県、東京都(当時の東京府)(いずれも約9千人)の順に多く、東京圏在住の外国人人口割合は25.3%を占めていた。一方、令和2年(2020年)には、東京都(約56万4千人)、愛知県(約25万9千人)、大阪府(約24万2千人)、神奈川県(約23万1千人)の順となり、東京圏在住の外国人人口割合は41.6%まで高まっている(図表2-15)。なお、都道府県別の外国人割合は、最も高い東京都において4%となっている。
(訪日外国人旅行者も被災者となり得る)
我が国に居住する外国人以外にも、旅行等で一時的に滞在する外国人も増加している。新型コロナウイルス感染症による感染が拡大する前の令和元年(2019年)は、訪日外国人数が年間約3,188万人に上っている。最も多く訪日外国人が宿泊する東京都では、令和元年(2019年)の1年間で延べ約2,935万人泊、東京圏で延べ約3,762万人泊となっており、単純に平均すると1日当たり約10万人の外国人が宿泊していることとなる。
100年前と比較して、我が国に滞在する外国人数が大幅に増えている現状を踏まえれば、関東大震災のような大災害が発生した場合、多くの外国人が被災者となり得ることとなる。したがって、被災者が必要とする情報を理解できるような形で発信するためには、多言語によって行うなどの取組が一層求められている。