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令和4年版 防災白書|第1部 第1章 第1節 1-11 男女共同参画の視点からの災害対応の取組強化


1-11 男女共同参画の視点からの災害対応の取組強化

大規模災害の発生は全ての人の生活を脅かすが、中でも人口の51.4%は女性であり(総務省「人口推計」、令和3年8月1日現在)、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分に配慮された災害対応が行われることが、防災・減災、災害に強い社会の実現にとって不可欠である。こうした認識の下、政府は第5次男女共同参画基本計画(令和2年12月25日閣議決定)や防災基本計画等に基づき、男女共同参画の視点に立った防災・復興の取組を進めている。

令和3年の防災基本計画の修正に当たっては、地方公共団体が地方防災会議の委員に占める女性の割合を高めるよう取り組むことや、市町村が避難所における性暴力やDVの発生を防止すること等が新たに盛り込まれた。国においても、中央防災会議の委員について委員(閣僚を除く)に占める女性を1名から3名に増やした。

また、地方公共団体が女性の視点からの災害対応の取組を進める際に参照できるよう、平常時の備え、初動段階、避難生活、復旧・復興の各段階において取り組むべき事項をまとめた「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」(令和2年5月作成。以下本項において「ガイドライン」という。)の更なる周知と活用徹底に向けて、令和3年5月に「実践的学習プログラム」を作成した。同プログラムは地方公共団体の職員が、ガイドラインの内容をより深く理解し、女性の視点に立った災害対応の取組を企画立案・実行することを目的としており、研修やイベント等の様々な機会に利用できるよう座学・動画教材を提供している。

(参照:https://www.gender.go.jp/policy/saigai/program/index.html

災害発生時の対応において男女共同参画の視点を取り入れるため、内閣府男女共同参画局長が、令和3年7月1日からの大雨特定災害対策本部及び令和3年8月の大雨特定災害対策本部の本部員に初めて任命されるとともに、同会議に出席した。また、7月に静岡県熱海市で発生した土砂災害では、同局の職員を現地に派遣し、避難所の状況を確認するなど男女共同参画の視点からの災害対応に取り組んだ。さらに、第5次男女共同参画基本計画に掲げる「男女共同参画センターが災害時に効果的な役割を果たすことができるよう、全国女性会館協議会が運営する相互支援システム等を活用し、男女共同参画センター間の相互支援を促す」ため、「災害時における男女共同参画センター等の相互支援ネットワーク」の運用を開始した。

(参照:https://saigai-network.j-kaikan.jp/)

※内閣府男女共同参画局長が、政府の災害対策本部の本部員に任命されたのは、令和3年7月1日からの大雨特定災害対策本部が初めて。

内閣府では、災害対応においては行政だけでなく民間の力も不可欠であるとの認識の下、地域で女性が防災リーダーとして活躍するための取組事例・ノウハウ集の作成を進めるなど、行政と民間との連携強化にも取り組んでいる。今後とも、防災・復興の意思決定過程や防災の現場に女性が主体的に参画し、男女共同参画の視点に立った災害対応が全国各地に浸透するよう取り組む。

※第5次男女共同参画基本計画において掲げる主な取組:
  • 平常時より、国においても、地方公共団体においても、防災・危機管理部局と男女共同参画部局とが、より密接に連携・協働し、男女共同参画の視点からの防災・復興の取組を進める。
  • 都道府県防災会議における女性委員の割合について、各都道府県に対して、女性の参画拡大に向けた取組を促進するよう要請する。また、女性委員のいない市町村防災会議の早期解消とともに、女性委員の割合を増大する取組を促進するため、都道府県と連携し、女性を積極的に登用している市町村の好事例の展開などを行う。(図表1-11-1、図表1-11-2)
  • 地方公共団体の災害対策本部について、女性職員や男女共同参画担当職員の配置、構成員となる男性職員に対する男女共同参画の視点からの取組に関する理解促進等が図られるよう、平常時から働きかけを行う。
  • ガイドラインに基づく地方公共団体の取組状況をフォローアップして「見える化」する。
(参照:https://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/5th/pdf/2-08.pdf)
図表1-11-1 第5次男女共同参画基本計画における都道府県防災会議及び市町村防災会議の成果目標
図表1-11-1 第5次男女共同参画基本計画における都道府県防災会議及び市町村防災会議の成果目標
図表1-11-2 第5次男女共同参画基本計画における都道府県防災会議及び市町村防災会議の成果目標
図表1-11-2 第5次男女共同参画基本計画における都道府県防災会議及び市町村防災会議の成果目標
【コラム】
防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2021 「集まれ!防災女性職員とその応援団」

令和3年11月7日、岩手県釜石市で開催された「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2021」で、内閣府男女共同参画局は初めてセッションの一つを主催(オンライン配信)した。

「集まれ!防災女性職員とその応援団」と題したセッションの目的の一つは防災女性職員同士が「つながる」こと。災害対応では、地方公共団体の役割が大変重要であり、各団体で男女共同参画の視点からの取組が進められることが不可欠である。そのための具体的な取組の一つが「防災部局に女性職員を配置すること」であるが、現状では防災部局の女性職員は少数派であり、組織で意見を言いづらい、災害対応での悩みを相談しづらい等、女性職員が所属内で孤独を感じることも多いという声が聞かれる。そこで、防災に関わる女性職員が日頃の業務や実際の災害対応で感じた疑問や悩みをざっくばらんに話し、一緒に解決方法を考えるためのワークショップを実施した。

もう一つの目的は行政と民間が「つながる」こと。災害対応においても民間との連携が重要であることを踏まえ、地域で防災に携わる方々に「応援団」として参加いただき、平常時から行政と民間がつながるための事例紹介等を行った。

セッション当日は、国や地方公共団体で防災や男女共同参画に関わる部局の女性職員のほか、地域の防災リーダーや防災士等、約100人が参加した。共催団体の「よんなな防災会女子部」と「オンライン市役所デザイン部図解・グラレコ課」の協力の下、災害対応業務を行った市役所職員の体験に基づく事例紹介、女性の視点を踏まえた災害対応に関する内閣府からの情報提供に続き、3つのテーマに分かれてワークショップを行った。

テーマ1「防災×行政女性職員」のワークショップでは、防災部局に女性が少ないことによる悩み等が話し合われ、参加者からは同じ立場で頑張っている仲間がいて心強いとの感想もあった。「防災と子育て・介護」を扱ったテーマ2のワークショップでは、自衛隊の「緊急登庁支援制度」の紹介や災害対応業務での困り事が共有され、介護や子育てを担う職員への配慮の必要性に関して声を上げることの大切さについて認識が高まった。テーマ3「防災と男女共同参画・福祉」では、地域の調整役としての行政職員の役割を踏まえ、様々な関係者との対話を通じて連携していくことが、地域の困り事の解決には重要であるとの話がなされた。

セッションの開催を通じて、防災女性職員同士、そして行政と地域の防災リーダーとのつながりを広げていくことの重要性が共有された。

セッションの詳細はこちら:
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202112/202112.html


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