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令和4年版 防災白書|特集 第2章 第3節 令和3年7月からの一連の豪雨災害を踏まえた避難に関する検討会


第3節 令和3年7月からの一連の豪雨災害を踏まえた避難に関する検討会

(1)検討の経緯

令和3年5月の「災害対策基本法」(昭和36年法律第223号)の改正により、避難勧告と避難指示を「避難指示」に一本化し、避難すべきタイミングを明確にするなど、避難情報を住民に分かりやすく伝えるための見直しが図られたところであるが、同年7月からの一連の豪雨災害では土石流により多くの方が亡くなる被害が発生したほか、洪水や浸水による被害が相次いだ。今般の一連の豪雨災害を受けて、内閣府において「令和3年7月からの一連の豪雨災害を踏まえた避難に関する検討会」(以下本節において「検討会」という。)を設置し、住民の適切な避難行動や市町村による避難情報の適切な発令に関して議論が行われた。検討会における議論を踏まえ、令和4年2月4日に「令和3年7月からの一連の豪雨災害を踏まえた避難のあり方について(報告)」が公表された。

(参照:https://www.bousai.go.jp/fusuigai/r3hinanworking/index.html)

(2)報告書の概要

この報告書においては、次のとおり主な対応の方向性が示された。

<1>住民の適切な避難行動の促進に向けた対応の方向性について

激甚化・頻発化する災害の中、一人ひとりの状況に即した避難情報の発令は困難であり、避難の最終判断は個人に委ねられることから、住民は「自らの命は自らが守る」意識を持ち、主体的に避難行動をとる必要がある。

こうした住民主体の防災対策への転換は、一朝一夕に成し得るものではなく、「災害文化」を醸成する機運を高めていくために、粘り強く持続的に、地域において防災に関する教育と啓発活動を続けていくことが必要である。

【住民一人ひとりの「自らの命は自らが守る意識の向上」】

過去の災害において適切な避難により命を救えた事例を見ると、平時から防災リーダーが中心となり地域で防災活動を行うことで住民の防災意識が向上していることから、地域の防災リーダーを育成していくことが重要である。また、地域住民が主体的に参加型・体験型の実践的な防災活動に参加することを通じて、地域防災力の向上を図っていくことが必要である。

加えて、子どもたちへの防災教育の場面では、学校安全の推進に関する計画や学習指導要領の改訂を始め、防災教育の充実が逐次図られてきたものの、一部で形骸化等も見られたことから、子どもたちが「自らの命は自らが守る」意識を身につけ、将来の地域における防災の担い手として育ってくれるように、地域と学校が連携して実践的な防災教育を着実に推進していくことが重要である。

地区防災計画制度により地域住民と市町村の連携を強化し、自助・共助・公助のそれぞれの強みを活かすことで、実効性ある避難行動に結び付くことが期待される。参加型・体験型の防災活動や実践的な防災教育など、地域防災力の向上に積極的に取り組んでいる地域では、更なる防災意識の向上と定着を図るための手段として、地区防災計画の作成を推進することが重要である。

【災害の切迫感・臨場感を住民に伝えることで避難行動を後押し】

災害から一人でも多くの命を救うためには「災害文化」を根付かせるための継続的な取組と併せ、早期に避難の実効性を高められるよう、人の行動特性を踏まえた避難を促す取組も重要である。また、災害の切迫感・臨場感が住民に伝わり、住民が危機感を持つことができるようデジタル技術の活用を図ることも重要である。

<2>市町村による避難情報の適切な発令に向けた対応の方向性

行政は、平時からの防災教育と啓発を通じて住民の「自らの命は自らが守る」意識の徹底を図るとともに、災害時には住民が主体的な避難行動をとれるよう全力で支援することが重要である。特に避難情報の発令は、住民の生命を守るための災害時における市町村長の重大な使命である。

こうした住民主体の防災対策への転換が必要であることを行政がしっかりと理解した上で、避難情報が適切に発令できるよう、市町村の人材育成や専門家等から市町村への支援の充実を図ることにより、災害対応力を向上することが重要である。

【市町村における災害対応に関する理解の向上】

被災経験の有無などにかかわらず、市町村が円滑に災害対応を行えるよう、知見を有する人材の育成や平時からの避難情報の発令基準の整備により、災害対応に関する理解を深めることが重要である。

【市町村に対する技術的な支援の充実】

市町村における災害対応力の強化に併せて、市町村が高度で専門的な情報も踏まえた判断を行えるよう、専門家からの技術的な助言など、市町村に対する支援の充実を図ることが重要である。

令和3年7月からの⼀連の豪雨災害を踏まえた避難のあり方について(概要)
令和3年7月からの⼀連の豪雨災害を踏まえた避難のあり方について(概要)

近年、豪雨災害が激甚化・頻発化している。災害に対して、大事な命を守るために、平時から「わたし達」が、災害はどこでも起こりうる身の回りにあるものとして捉えるとともに、防災を当たり前と感じて生活に取り込む防災の日常化を通じて、「災害文化」を醸成することが大切である。他方で行政は、「わたし達」が災害から命を守るための行動に対する支援を惜しんではならない。

報告書では、本検討会における取りまとめを受けて、住民と行政が一丸となった取組を進め、災害による犠牲者が一人でも少なくなるよう、防災意識の高い社会が実現されることを強く期待するとしている。今後、住民主体の防災対策の定着に向けて、報告書に示された対応策を推進することとしている。


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