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令和3年版 防災白書|特集 第1章 第2節 2-4 ボランティア・NPO等による対応


2-4 ボランティア・NPO等による対応

(1)令和2年に発生した主な災害におけるボランティアの対応

令和2年7月豪雨においては、山形県、岐阜県、島根県、福岡県、長崎県、大分県、熊本県において、社会福祉協議会による28の災害ボランティアセンター(以下この節において「災害VC」という。)が立ち上げられ、災害VCを通じ、累計約4万8千人のボランティアが活動を行った(令和3年4月15日現在)。発災当初は、主に家屋内からの泥出しや家具の片づけ等の作業に当たり、復旧・復興期には、見守り活動等(高齢者・障害者等の見守りなど)が実施されるなど、地域の実情に応じた被災者支援活動等が展開された。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、被災地ではボランティアを県内や市町村内に限定して募集するとともに、ボランティアにマスクの着用、手洗い、人と人との距離の確保など、基本的な感染予防対策の実施を求めた。さらに、熊本県では、ボランティアの減少を補い、被災者の生活再建を支援するために、これまで主にボランティアが行っていた被災家屋内からの災害廃棄物や土砂の搬出を、市等の災害廃棄物処理事業等により、地元民間事業者等に委託して行い、事業を実施する際にはボランティア活動との分担も調整し、行政、民間事業者等、ボランティアが連携した取組が行われた。

また、災害VCを通じたボランティアの支援のみならず、専門性を有するNPO等により、土砂・がれきの撤去など被災家屋への技術的な支援や、被災地における災害廃棄物への対応、避難所の運営支援、在宅避難者支援、仮設住宅への支援、生業支援など、幅広い分野で支援活動が行われた。

災害ボランティア、情報共有会議の活動状況
災害ボランティア、情報共有会議の活動状況
災害ボランティア人数の推移
災害ボランティア人数の推移
令和2年7月豪雨時におけるボランティア活動の様子
令和2年7月豪雨時におけるボランティア活動の様子
(2)行政・ボランティア・NPO等の多様な被災者支援主体間の連携の進展

平成28年の熊本地震以後、大規模災害時には、被災地で行政・社会福祉協議会・NPO等の多様な被災者支援主体が、情報共有会議を立ち上げて支援活動に関する情報を共有し、活動を調整することが定着してきている。

令和2年7月豪雨では、令和2年7月7日以降、情報共有会議が定期的に各被災地(岐阜県、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県)で開催され、ボランティア不足への対応、在宅避難者への支援など、行政・ボランティア・NPOによる連携のとれた支援が実施された。特に熊本県では、人吉市と球磨村において、NPOが避難所の運営を支援するなどの協働・調整が図られた。

行政・災害VC・NPO等による多様な被災者支援主体による連携
行政・災害VC・NPO等による多様な被災者支援主体による連携
被災各県における情報共有会議の開催状況
被災各県における情報共有会議の開催状況
熊本県における情報共有会議の様子
熊本県における情報共有会議の様子

全国域での取組としては、内閣府、JVOAD、全国社会福祉協議会、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)等により「全国情報共有コア会議」が開催され、新型コロナウイルス感染症の影響下において、広域的な移動が伴わない被災地支援の方法の検討などが行われた。

全国情報共有コア会議の様子
全国情報共有コア会議の様子
[コラム]
環境省と自衛隊との災害廃棄物対応に関するマニュアル策定について

平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風(台風第19号)や令和2年7月豪雨など、近年の大規模災害において、広範囲に甚大な量の災害廃棄物が発生し、市町村や民間事業者のみでは、収集運搬体制が十分に構築できず、路上に災害廃棄物が堆積した事例があった。このため、被災自治体が応援自治体や民間事業者の支援を受け収集運搬体制を構築したほか、環境省、自衛隊、ボランティア関係団体を始めとした、関係省庁や関係機関が連携しながら処理を進めてきた。

環境省と防衛省は、これらの活動を通じて蓄積されたノウハウ等も踏まえ、防災基本計画に基づき、環境省、防衛省、自治体、NPO等の関係者の役割分担や、平時の取組、発災時の対応等を整理した「災害廃棄物の撤去等に係る連携対応マニュアル」を令和2年8月に策定した。

連携マニュアルの中で、災害廃棄物の処理主体はあくまで市町村であり、市町村が関係機関と連携し対応に当たることが前提であるとされている。その上で、環境省では発災時の役割分担に係る総合調整、市町村に対する財政支援策の周知、民間事業者との協定締結の促進を含めた助言等を担うのに対し、防衛省・自衛隊においては、被災都道府県の要請に基づき、災害廃棄物の撤去目的、活動範囲、活動期間等を明確にした上で、「事態やむを得ないと認める場合の応急対策」として活動を実施することになっている。

また、マニュアルの中で、関係者間の連携のグッドプラクティスの具体的な事例として、令和元年東日本台風の際に、市民・ボランティア・県・市・環境省・自衛隊・民間事業者などの官民を超えた多くの関係者が一体となってそれぞれの能力を活かした活動ができるよう、関係者との間で役割分担を実施して効果的な撤去を実現した長野県長野市の「One NAGANO」の取組を取り上げている。

「災害廃棄物の撤去等に係る連携対応マニュアル」は環境省のホームページの災害廃棄物対策情報サイト等で確認することができる。今後も、災害廃棄物の発生に円滑かつ迅速に対応し得るよう連携を強化していく。

(参照:http://kouikishori.env.go.jp/action/cooperation/pdf/cooperation_01.pdf

自衛隊の作業前後の様子(7月16日熊本県球磨村)
自衛隊の作業前後の様子(7月16日熊本県球磨村)
[コラム]
人吉市での家屋の災害廃棄物対応における自衛隊との協力、民間の力の活用について

令和2年7月豪雨では、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で被害が生じ、それに伴い多くの災害廃棄物が発生した。環境省では、本省職員や支援自治体の職員、災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)の専門家からなる現地支援チームの派遣、公益社団法人全国都市清掃会議や民間団体の協力による県内外の自治体や民間事業者からのごみ収集車の派遣、地方環境事務所によるきめ細かい技術的支援、災害廃棄物処理や施設復旧のための財政支援等を実施した。

災害廃棄物の被害が甚大であった市町村の一つである熊本県人吉市では災害初動期において、排出困難者に対する大型災害廃棄物撤去支援が実施された。片付けごみの搬出において、畳・家具・家電・金属は重く、取扱いに苦慮する部分もある中、自衛隊や民間事業者との円滑な連携で、これらの四品目を一掃し、分別された大型廃棄物の撤去により片付け作業が進み、生活再建を強力に後押しすることができた。具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響下という状況を勘案し、地元の企業やボランティアに事前周知した上で、市街地で集中的に片付けごみの家屋からの搬出を実施した。家屋から集積所に大型災害ゴミを搬出した後は、自衛隊員等が集積所の畳・家具・家電・金属をトラックに積み込み、専用仮置場で荷下ろしを行い、自治体職員の誘導・指導の下で、民間事業者が処分場への運搬を実施した。また、その他にも環境省が支援自治体、民間の関係機関等と連携して道路輸送や海上輸送による災害廃棄物の広域処理の実施、損壊家屋の解体の体制構築等により、着実に処理が進められた。

大規模災害時の廃棄物処理において、民間事業者やボランティア団体を含めた多様な関係者等による支援・協力は不可欠であり、発災時を見据えた平時からの連携体制の構築を引き続き行っていく。

大型災害ゴミ撤去支援(熊本県人吉市)
<1>大型災害ごみの撤去作業前(7月11日)
<1>大型災害ごみの撤去作業前(7月11日)
<2>自衛隊作業中(7月11日)
<2>自衛隊作業中(7月11日)
<3>自衛隊作業後(7月11日)
<3>自衛隊作業後(7月11日)
<4>清掃事業者作業中(7月12日)
<4>清掃事業者作業中(7月12日)
<5>全作業後(7月12日)
<5>全作業後(7月12日)
[コラム]
令和2年台風第10号について

大型で非常に強い令和2年台風第10号については、令和2年9月5日から7日にかけて特別警報級の勢力まで発達して、沖縄地方や奄美地方に接近し、その後も特別警報級の勢力を維持したまま北上して、九州に接近又は上陸するおそれが生じた。当時、台風が接近する地域では記録的な大雨・暴風・高波・高潮に最大級の警戒が必要と見込まれていた。このため、政府では、同月4日と6日に武田内閣府特命担当大臣(防災)(当時)から国民への早期避難を求める呼びかけを行うとともに、9月5日には内閣府、消防庁、厚生労働省、国土交通省、気象庁から関係都道府県に早急な避難についての事務連絡を送付し、知事・副知事等に市町村長への働きかけ等を依頼した。

台風第10号は、9月5日から7日にかけて大型で非常に強い勢力で南西諸島と九州に接近した後、朝鮮半島に上陸し、8日3時に温帯低気圧に変わった。長崎県野母崎で最大風速44.2メートル、最大瞬間風速59.4メートルとなり、南西諸島や九州を中心に猛烈な風又は非常に強い風を観測し、観測史上1位の値を超えるなど、記録的な暴風となった。また、宮崎県日向沖で11.4メートル、鹿児島県屋久島で10.4メートルの高波が観測されるなど、南西諸島や九州で猛烈なしけとなった。宮崎県神門で4日から7日までの総降水量が599.0ミリとなり、宮崎県の4地点で24時間降水量が400ミリを超えたほか、台風の中心から離れた西日本や東日本の太平洋側で24時間降水量が200ミリを超える大雨となった。

台風第10号では鹿児島県を始めとする九州地方を中心に、死者3名、行方不明者3名等の人的被害や、住家の全壊7棟、半壊40棟、一部破損1,637棟等の被害が発生し、土砂災害が発生したほか、約530,000戸の停電や約4,600戸の断水等のライフライン、道路や鉄道等の交通インフラ、農作物等にも被害が生じた。

令和2年台風第10号経路図
令和2年台風第10号経路図
人的・住家被害(令和2年12月10日現在)
人的・住家被害(令和2年12月10日現在)

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