1-2 防災推進国民会議と防災推進国民大会
2015年3月に第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030」において、各国政府は各ステークホルダー(企業、学術界、ボランティア等市民団体、メディア等)に災害リスク軽減に関する取組を奨励することが規定された。これを受け、中央防災会議会長である安倍内閣総理大臣のリーダーシップにより、国民の防災に関する意識向上に関し広く各界各層との情報及び意見の交換その他の必要な連携を図り、中央防災会議と協力しつつ国民の防災に関する意識向上を図るため、防災に取り組む39団体の長を議員とする「防災推進国民会議」が2015年9月に設立された。
「防災推進国民会議」を中心に、大規模災害に備え、行政による「公助」はもとより、国民一人一人が自ら取り組む「自助」、地域、企業、学校、ボランティアなど互いに助け合う「共助」を組み合わせ、地域全体で防災意識を高めるための活動が行われている。
(1)第4回防災推進国民大会(防災推進国民大会2019)
内閣府は、「防災推進国民会議」及び防災に関連する業界団体等からなる「防災推進協議会」とともに、行政、学術界、民間企業、NPO等の市民団体が日頃から行っている防災活動を全国的な規模で発表することにより、自助・共助の取組や多様な主体の連携を促進し、防災意識の向上を図ることを目的として、『大規模災害に備える-まなぶ、つながる、つよくなる-「防災を、もっと日常に」』をテーマとする「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2019」を2019年10月19日(土)・20日(日)に、名古屋市ささしまライブエリアにおいて開催した。
オープニング・セッション(開会挨拶、ハイレベル対談)では、武田内閣府特命担当大臣(防災)が開会宣言を行い、巨大災害に対しては公助の取組とともに、「自助・共助」が重要であり、そのためにも民間企業や学会など様々な主体間の連携が必要と述べた。その後、大村愛知県知事及び河村名古屋市長から開催地挨拶として、伊勢湾台風から60年目の節目に、防災推進のための国民大会を名古屋市で行うことの意義、教訓の伝承が重要であることについて述べられた。主催者挨拶では、大塚防災推進国民会議議長(日本赤十字社社長)が、幅広い世代による防災、減災の取組の必要性について述べられた。続いて行われた「ハイレベル対談」では、奥野名古屋都市センター長(国土審議会会長)と福和名古屋大学減災連携研究センター長により、『南海トラフ地震、首都直下地震に備える国土と地域の強靱化』について、産官学が連携した防災力向上等の重要性等が話し合われた。
大会では、2日間で28のセッションが催された。内閣府や様々な団体が行うテーマ別セッションでは、南海トラフ地震対策への具体的な取組や今後必要となる「自助・共助」の取組について議論が行われた。ハイレベルセッション・南海トラフ巨大地震へのソナエでは、ハード・ソフト一体となった防災・減災・国土強靱化対策の必要性を再認識し、産学官民の連携により、経済と産業、地域と住民を守ることが議論され、締めくくりに平内閣府副大臣は、新しいテクノロジーを防災・減災に活用し、効果的な防災政策を実行できるよう、防災とIT・科学技術を融合した取組が重要と述べた。本大会では、発災後間もない令和元年東日本台風の被災地支援のために、災害ボランティアやNPO等が連携し、災害対応情報の共有やボランティア等の被災地支援への参画の呼びかけが行われるとともに行政、災害ボランティアセンター(社会福祉協議会)、民間(NPO、企業など)の3者が、連携して復旧・復興に取り組む際のモレのない支援のカタチが議論された。また、96の展示企画により様々な防災・減災活動が発表されるとともに、家庭での備蓄推進や子供のための防災活動など44のワークショップが実施された。11の屋外展示では、起震車や消防車両の展示、放水体験等の多くの催事が行われた。
クロージングセッションでは、秋本防災推進国民会議副議長(日本消防協会会長)から、自助・共助、多様な主体の連携が防災には重要であることを共有できたことに感謝が述べられ、福和センター長より、大会のテーマである「連携」について、地域を超えた連携、世代を超えた連携の取組をみることができたとの総評があった。締めくくりに、今井内閣府大臣政務官から大会参加者への感謝と来年の大会への期待が表明された。約1万5千人の参加を得た本大会を通じて、「公助」の取組ととともに、国民一人一人が自ら取り組む「自助」、そして、地域、企業、学校、ボランティアなど互いに助け合う「共助」を組み合わせ、地域全体で防災意識を高め、あらゆる自然災害に備える「防災意識社会」を構築することの重要性が確認された。
(2)第5回防災推進国民会議
第5回防災推進国民会議は、令和元年12月12日、総理官邸大ホールにて開催された。冒頭、安倍内閣総理大臣は各団体の防災の取組に対する感謝の言葉とともに、「災害が頻発・激甚化する中、政府や自治体が防災対策に全力を尽くすことはもとより、国民一人一人が「自らの命は自らが守る」意識を持って取り組む「自助」、地域、企業、学校、ボランティア等で互いに助け合う「共助」を合わせ、地域全体で防災意識を高め、あらゆる自然災害に備える「防災意識社会」を構築すること」が重要であると本会議に寄せる期待を述べられた。
続いて内閣府から、前述の「防災推進国民大会2019」などを中心とした活動報告等があり、社会福祉法人全国社会福祉協議会、一般社団法人日本民間放送連盟から自助・共助による防災意識の向上に向けた取組が紹介された。