4-3 防災分野の海外展開戦略の策定
平成30年12月17日に首相官邸で開催された第40回経協インフラ戦略会議(議長:菅内閣官房長官)では、「防災」をテーマとして海外展開の戦略と方向性が議論され、「インフラシステム輸出戦略(平成30年度改訂版)」に基づき、防災分野の海外展開戦略が策定された。
今後は、同戦略に基づき、防災・減災に資する我が国のインフラの計画や整備・改修の技術・ノウハウが、より世界で理解され、活用されるよう、各省が連携した取組を進めていく。
「米国海軍病院船マーシーの東京寄港」
平成30年6月、内閣府は災害救援や人道支援を行っているアメリカ合衆国(米国)海軍病院船マーシーを東京港に招致した。招致に際しては、マーシーが保有する大規模災害における傷病者への対応能力等を広く学ぶ機会の創出と、国民への情報発信を行うため、一般見学会のほか、日米共同災害医療搬送訓練、災害医療・防災関係者等を対象としたセミナー及びシンポジウムを開催した。
同月16日(土)の一般見学会には約5,000名の応募があり、約400名がマーシーの見学ツアーに参加した。翌17日(日)には、マーシーにて行われた日米共同災害医療搬送訓練及びセミナーを開催し、約100名の日本の災害医療・防災関係者が参加し、海上自衛隊ヘリコプターと日本側医療チームによるマーシーへの患者搬送訓練やマーシーの医療スタッフによるデモンストレーションが行われ、日本側の参加者とマーシーのスタッフで意見交換が行われた。これらの機会は、マーシーが保有する大規模災害における傷病者への対応能力を学ぶ貴重な場となった。
同月19日(火)には、17日のセミナーの成果を一般向けに発表するため、我が国の大規模災害時における災害医療への示唆を得るための議論の場として、日米関係者による記念シンポジウムを開催した。
一連のセミナー・シンポジウムを通じて、マーシーの病院としての規模の大きさや医療スタッフの充実度、患者の搬送動線、船舶運用と医療活動の指揮命令系統の明確化及び必要な物資の補給方法等、病院船に特有の工夫を実際に見聞できたことは、日本の災害医療・防災関係者にとって大きな経験となった。