令和元年版 防災白書|特集 第3章 1-5 ガイドラインと今後の方向性


1-5 ガイドラインと今後の方向性

前述した3ケースに対応する防災対応については、標準的な考え方を示したものであり、住民、地域、企業等、個々の状況に応じて、自ら可能な防災対応を実施する必要がある。

内閣府では、関係省庁と連携して各個別分野の防災対応の方向性等について検討し、「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン(第1版)」を策定し、平成31年3月29日に公表した(参照:https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/index.html)。

本ガイドラインは、南海トラフ大規模地震の発生可能性が高まったと評価された場合に、地方公共団体、指定公共機関及び企業等が取るべき防災対応を検討し、あらかじめ計画としてとりまとめるために参考となる事項を記載したものである。「共通編」「住民編」「企業編」の3編で構成されており、南海トラフ地震防災対策推進地域内にある地方公共団体、指定公共機関、不特定多数の者が利用する施設及び危険物を取扱う施設等を管理又は運営する者等による活用を想定している。以下のような基本的な考え方に基づき、地方公共団体、指定公共機関及び特定の企業等の検討手順等について記述している。

  • 地震発生時期等の確度の高い予測は困難であり、完全に安全な防災対応を実施することは現実的に困難であることを踏まえ、地震発生可能性と防災対応の実施による日常生活・企業活動への影響のバランスを考慮しつつ、「より安全な防災行動を選択」するという考え方が重要であること。
  • 日常生活等への影響を減らし、より安全性を高めるためには、平時から突発地震に備えた事前対策を進めることが重要であること。
ガイドラインと今後の方向性
ガイドラインと今後の方向性

南海トラフ地震での大規模地震発生前に、必ずしも先行する異常現象が観測されるとは限らないため、突発地震に備えることの重要性は何ら変わらない。防災対応の仕方は地域によって異なり、ガイドライン等を踏まえて、個人、家庭、地域及び組織等で防災対応を考え、地域や地方ブロック毎に連携しながら対応することが必要であり、それぞれの地域で現実的な防災対応の方向性の「解」を見出していくことが求められる。突発地震への備えを引き続き進めた上で、本ガイドラインを参考に大規模地震発生の可能性が高まった際等の防災対策を事前に検討することで、地域や各企業等の一層の防災力向上を期待している。

なお、本ガイドラインは現時点での整理をまとめたものであり、今後も、新しい知見の蓄積等があれば、適宜見直しを図っていく。


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.