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令和元年版 防災白書|特集 第1章 第2節 2-1 平成30年7月豪雨を踏まえた政府の避難対策の検討経緯


第2節 住民の避難行動における今後の課題

昭和58年(1983年)7月豪雨以来、死者数が100名を超えるような豪雨災害は発生していなかったが、平成30年7月豪雨では死者・行方不明者数が200名を超えるなど、近年稀にみる大惨事となった。その原因は、西日本から東海地方を中心に広範囲で記録的な大雨となり、岡山県、広島県、愛媛県を中心に河川の氾濫、土砂災害等が多数発生したためであるが、被害を拡大させた要因の一つとして、避難行動を促す情報が出されたものの、適切な避難行動が行われなかったことが報告されている。

第2節においては、平成30年7月豪雨における住民の避難状況等を確認し、今後の課題と対応策についての政府の検討状況について概説する。

2-1 平成30年7月豪雨を踏まえた政府の避難対策の検討経緯

平成30年7月豪雨では、災害発生前に「大雨特別警報」を発表する可能性がある旨の緊急記者会見を行う等、マスメディア等を通じてかなり早くの段階から予測情報を事前に広く伝えていた。気象庁は、7月6日から8日にかけて岐阜県、京都府、兵庫県、岡山県、鳥取県、広島県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県の1府10県に「大雨特別警報」を発表し、最大限の警戒を呼びかけている。特別警報は数十年に1度の重大な災害が起こる恐れがある場合に最大級の警戒を呼びかけるもので、過去最多の都道府県数となった。

また、気象状況等の悪化に伴い、特に大きな被害を受けることとなった岡山県、広島県、愛媛県内の各自治体も事前に避難勧告等を発令するなど、域内住民の避難行動を促す情報を発出していた。

気象等に関する特別警報の発表基準
気象等に関する特別警報の発表基準
『特別警報』のイメージ
[13地点平均]日最高気温

避難行動には、避難場所や近隣の安全な場所への避難、屋内での安全確保といったものがあり、実際に避難行動を行った人数を把握することは困難であるが、避難勧告等を行った対象人数に対し、避難所への避難割合は約0.5%程度であったことが自治体により確認されている。

政府は、平成30年7月豪雨災害の教訓を活かし、これまでの防災行政の取組やそれを取り巻く現状、今後の気象や社会の趨勢(すうせい)を考慮した上で、避難対策の強化を検討するため、中央防災会議防災対策実行会議(各省庁の諸政策の実行を後押しするため、平成25年に中央防災会議の下に設置された会議)の下に「平成30年7月豪雨による水害・土砂災害からの避難に関するワーキンググループ」を平成30年8月31日に設置した。同年9月に開催された関係省庁局長級会議において、「内閣府が事務局となり、関係各省庁は協力して同ワーキンググループに提示する検討項目を念頭に検討を行っていくこと」、「次期出水期に向けた取組を関係省庁が連携して実施すること」等が確認され、同ワーキンググループは同年9月から検討を開始した(参照:https://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigai_dosyaworking/index.html)。同年12月までに全3回のワーキンググループを開催し、有識者委員と関係省庁とともに平成30年7月豪雨の現地調査等の検証も踏まえながら検討すべき論点を整理し、課題と今後実施すべき対策について報告をとりまとめた。


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