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令和元年版 防災白書|特集 第1章 第1節 1-7 ボランティア・NPO等による対応


1-7 ボランティア・NPO等による対応

(1)平成30年7月豪雨時の対応

<1>災害ボランティアセンターを通じた個人ボランティアによる支援

被災各地では、社会福祉協議会により、災害ボランティアセンター(以下、「災害VC」という。)が立ち上げられ、全国から多くのボランティアが駆け付けた。西日本の12府県60市町で災害VCが立ち上げられたほか、13市町の社会福祉協議会で、平時から設置されているボランティアセンターが災害ボランティアの受け入れを行った。活動範囲の広い市町では、活動地域に近い場所でサテライト拠点を設けることもあった。累計約26万人のボランティアが、主に家屋内からの泥だしや家具の片づけ等の作業にあたった(平成31年2月5日現在)。これらの作業の後には、ボランティア活動は生活支援コーディネーターによる地域支え合い活動(例:各種の困りごとへの対応、高齢者・障害者等の見守り、サロン交流会の開催、子どもの遊び場開設等)などの活動に移行していった。平成31年3月7日現在、岡山県倉敷市では引き続き災害VCがボランティアを受け付けている。

ボランティア活動数の推移
ボランティア活動数の推移
平成30年7月豪雨災害時におけるボランティア活動の様子
平成30年7月豪雨災害時におけるボランティア活動の様子

災害VCを通じた被災者支援を実現するためには、支援ニーズの掘り起こし、ボランティアの受付、支援ニーズとのマッチング、必要な資機材の提供、作業現場までのボランティアの輸送、作業オリエンテーション等の業務が必要になる。このような災害VCの運営を支援するため、地元の市町、社会福祉協議会のみならず、多くの企業や、災害VC支援に経験があり知識や技術があるNPOが連携・協働した。

被災県内外にある全国の社会福祉協議会から延べ9,000人を超える応援職員が被災地に派遣され、主に災害VCの立ち上げ、運営支援、ニーズ把握、被災社会福祉協議会の復旧・復興支援、生活福祉資金貸付相談等の業務にあたった。

また、新潟県中越地震における災害VCの振り返りを機会に、平成17年1月「災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(以下、「支援P」という。)」が、企業・NPO・社会福祉協議会・共同募金会の参画により中央共同募金会に設置され、災害VCの運営を人材、資源・物資、資金面から支援している。平成30年7月豪雨災害時に際しては、災害VCの運営を支援する人材を派遣するとともに、支援Pの構成団体である「経団連1%クラブ」との連携により、災害VCが必要とする備品や車両を企業からの寄付により調達したほか、寄付や社員募金等を行った。これらの支援は災害VCの運営の一助となった。

多くの人が被災地でのボランティア活動に参加した反面、報道に出る一部の被災地にボランティアが集中しないよう各地のボランティアニーズの情報発信、ボランティアの方々の熱中症対策や安全対策、ボランティア保険の事前加入の呼びかけ、災害VCの円滑な運営等が課題となり、後述する「情報共有会議」等を通じて対応策が検討された。

<2>専門性を有するNPO等による支援

専門性を有するNPO等は、土砂・がれきの撤去など被災家屋への技術的な支援、避難所の運営支援、在宅避難者支援、仮設住宅への支援、生業支援等の幅広い支援活動を行った。

例えば、岡山県倉敷市では、行政とNPOが協議を重ね、避難所の運営支援にNPOが入るための調整が行われた。また、NPOと災害VCが連携し、床下からの土砂撤去や家屋保全などの技術的な支援も行われた。岡山県岡山市や広島県坂町では、在宅避難者のニーズを把握し、適切な支援につなげるための調査がNPOによって行われ、愛媛県宇和島市では、みかん農家への支援がNPOによって行われるなど、公的な支援が入りにくい分野でのきめ細やかな活動が展開された。

また、被災した地域では地元のNPO団体の活躍も多くみられた。愛媛県宇和島市で主に活動する「うわじまグランマ」は、災害により宇和島市吉田町の浄水場が破壊され断水が続く中で、断水地域への飲料水配給、炊き出し情報の集約、被災者の心のケアやコミュニティ再生のための子どもお祭りイベントや三世代交流イベントの開催等を行った。また、被災障害者への支援、みかん農家へのボランティア活動等も行われた。

うわじまグランマの活動状況の様子
うわじまグランマの活動状況の様子

このようなボランティア・NPO団体の活動を支えるため、中央共同募金会では災害ごとに「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」を実施しており、平成30年7月豪雨災害時には「平成30年豪雨災害 ボランティア・NPO活動サポート募金」を募り、被災地で活動するボランティア・NPO団体の活動資金を支援した。平成31年3月末現在までに、合計158件への支援を行っている。

<3>「情報共有会議」による行政・ボランティア・NPOの三者連携

行政・ボランティア・NPOが連携のとれた支援を実施するため、岡山県、広島県、愛媛県では、地方公共団体、社会福祉法人、NPO等が参加する「情報共有会議」が定期的に開催された。「情報共有会議」は、地元で中間支援を行うNPOや、特定非営利活動法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)のサポートにより立ち上げられ、支援者が支援活動に関する情報を共有し、抜け・漏れのない円滑な支援を実現することを目的としている。

例えば、愛媛県では、従来からの県、県社協、NPO間の関係性を活用し、県社協を中心に、発災直後の7月10日に愛媛県、愛媛県社会福祉協議会及び支援Pによる情報交換と課題検討のための「コア会議」、同月23日には地元の中間支援団体である「えひめリソースセンター」とJVOADが事務局となり、県内で活動するNPO等の支援団体が参加する「えひめ豪雨災害・支援情報・共有会議」が開催された。同会議には様々な分野から約30団体が集まり、ボランティアの過不足、在宅避難者支援、避難所支援等について情報共有や活動の調整が行われた。

平成30年7月豪雨災害時における各県の連携体制図
平成30年7月豪雨災害時における各県の連携体制図
第二回「えひめ豪雨災害・支援情報・共有会議」の様子
第二回「えひめ豪雨災害・支援情報・共有会議」の様子

このような「情報共有会議」が早急に立ち上がったことは、平成28年(2016年)熊本地震の際の「熊本地震・支援団体 火の国会議」、平成29年九州北部豪雨の際の「平成29年7月九州北部豪雨支援者情報共有会議」の経験が活かされたものである。

さらに、被災府県が広範囲にわたったことから、県別の「情報共有会議」と連携し、全国域である「平成30年7月豪雨に対応する全国情報共有会議」が平成30年7月17日に立ち上げられた。同会議は、内閣府、JVOAD及び支援Pが共同事務局となり、関係省庁やJVOAD関係団体及び支援P関係団体の参加により、定期的に開催された。主に、府県で共通の課題(宅地内土砂撤去作業の行政とNPO、ボランティアの役割分担等)や解決のための力を全国規模で募りたい事項(災害VCの運営等)、全国に発信したいメッセージ(ボランティアの偏在、安全管理等)について議論した。その結果、以下の活動を実施することとなった。

  • ボランティアの募集状況を、全国社会福祉協議会のホームページで災害VCごとに三段階で表示
  • 寄付で被災地を支援する募金の呼びかけ
  • ボランティアの募集、安全対策等についてのメッセージをリーフレットにより発信(平成30年7月13日、7月27日、9月20日の3回)
リーフレット(9月20日発信)
第二回「えひめ豪雨災害・支援情報・共有会議」の様子
第2回全国共有会議(7月24日)で発言する小此木内閣府特命担当大臣(防災)(当時)
第2回全国共有会議(7月24日)で発言する小此木内閣府特命担当大臣(防災)(当時)
(2)その他平成30年に発生した一連の災害における被災地での対応

大阪府北部地震、北海道胆振東部地震の被災地においても、平成30年7月豪雨災害の被災地と同様に、災害VCを通じたボランティアの活動、情報共有会議による支援情報の共有等が行われた。

その他平成30年に発生した一連の災害における被災地での対応
その他平成30年に発生した一連の災害における被災地での対応
大阪府北部を震源とする地震における会議の様子
大阪府北部を震源とする地震における会議の様子
北海道胆振東部地震における会議の様子
北海道胆振東部地震における会議の様子

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