第4節 自然災害への影響
第1節から第3節まで世界と日本の気候動向について考察してきたが、こうした地球温暖化傾向の影響等に伴う下記自然現象の発露により、その災害外力(ハザード)としての強さを高めていくと考えられている。
・洪水 | ・海抜ゼロメートル地帯の浸水 | ・都市部の地下浸水 |
・土砂災害 | ・深層崩壊 | ・高潮 |
ただし、これらより受ける被害は、外力の強さのみに依存するものではなく、これらを受け止める社会の脆弱性及び外力にどの程度晒(さら)されているかの曝露(ばくろ)度合いとの兼ね合いで変わってくる。
■脆弱性:IPCC第5次評価報告書(AR5)第2作業部会報告書Box SPM.2においては、脆弱性を「悪影響を受ける傾向又は素因。脆弱性は危害への感受性又は影響の受けやすさや、対処し適応する能力の欠如といった様々な概念や要素を包摂している。」と定義している。
■曝露:AR5第2作業部会報告書Box SPM.2においては、曝露を「悪影響を受ける可能性がある場所及び環境のなかに、人々、生活、生物種又は生態系、環境機能・サービス及び資源、インフラ、もしくは経済的、社会的又は文化的資産が存在すること。」と定義している。
また、2017年11月にボンで開催された国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(UNFCCC-COP23)において明らかになったように、災害リスク削減のためには、持続可能な開発目標(SDGs)や気候変動枠組みと連携することにより、さらに脆弱性を弱め、レジリエンスを高めることが重要である。