平成28年版 防災白書|第1部 第3章 第4節 4-3 訓練後の取組


4-3 訓練後の取組

平成27年度原子力総合防災訓練後、専門家の意見や訓練に参加した住民等のアンケート結果等から、改善点を抽出し、平成28年3月、『平成27年度原子力総合防災訓練実施成果報告書』を取りまとめた。今後、本実施成果報告書に掲げられた、佐田岬半島の孤立防止対策、渋滞緩和策、避難時間の確認、及び災害対策拠点における運営や連携等の観点から抽出した改善点を踏まえ、地域原子力防災協議会での検討を通じて、「伊方地域の緊急時対応」や各種マニュアルの改善等を進めていく。また、原子力総合防災訓練についても、訓練の実施方法やメニューの更なる充実化を図り、より実戦的な訓練となるよう絶えず不断の見直しを進めていく。

コラム:原子力艦の原子力災害対策

我が国に寄港する原子力艦(米国の空母・潜水艦)で原子力災害が発生した場合の対策については、中央防災会議主事会議において「原子力艦の原子力災害対策マニュアル」(平成16年8月)を取りまとめており、これに従って各省が連携して対応することとしている。

一方、原子力発電所等における災害対策については、東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓や、国際基準の動向等を踏まえ、原子力規制委員会が「原子力災害対策指針」(平成24年10月)を新たに策定し、随時見直しの結果、平成27年4月・8月に全部改正がなされたところである。

このような動きを踏まえ、平成27年11月に有識者を交えた作業委員会を設置し検討を行った。作業委員会では、避難・屋内退避等を開始する緊急事態の判断基準について議論し、原子力艦の事故についても、原子力発電所の基準に合わせて改正すべきであるとした(表参照)。また、原子力艦の寄港自治体へのヒアリングや、最新の国際基準等を参考とした検証を行い、平成28年3月30日に作業委員会として主に次の見解をとりまとめた。

・時系列(タイムライン)に応じた防護措置の実施

・より早期の情報収集、項目の明確化

・発災時の原子力艦の移動の位置付け 等

なお、応急対応範囲については、原子力災害対策指針のPAZ、UPZの概念を参考にしつつ、その距離自体については、最新の知見を踏まえて作業委員会において試算し、従前のマニュアルで定めていた範囲が安全サイドに立っていることを確認した。

(表)原子力艦の原子力災害対策マニュアル改訂内容(H27.11.20中央防災会議主事会議)(表)原子力艦の原子力災害対策マニュアル改訂内容(H27.11.20中央防災会議主事会議)

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