平成28年版 防災白書|第1部 第1章 第2節 2-2 避難所の確保と質の向上


2-2 避難所の確保と質の向上

避難所については、平成25年6月の災害対策基本法の改正により、指定避難所の指定や生活環境の整備についての規定が新たに設けられた。これを受け、内閣府では、平成25年8月に「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」を策定・公表するなど、避難所の生活環境の確保に向けた市町村の取組を促進してきた。一方で、内閣府が平成27年3月に公表した実態調査の結果によれば、平成26年10月1日現在で避難所を指定している市町村が54%、福祉避難所を指定している市町村が45%であった。その他、要配慮者への支援体制の整備がなされていない市町村は34%、相談窓口の設置等を想定していない市町村が33%であるなどの実態が判明した。また、近年の災害における状況等を受け、避難所の生活環境の確保に関する様々な問題や、避難所のトイレの改善に関する課題などが指摘された。

このため、内閣府では、市町村における避難所や福祉避難所の指定の推進、避難所のトイレの改善、要配慮者への支援体制や相談対応の整備等に係る課題について幅広く検討し、必要な対策を講じていくため、平成27年7月に「避難所の確保と質の向上に関する検討会」を設置した。

本検討会では、避難所の確保や質の向上全般について審議が進められるとともに、避難所一般における生活環境の整備等を検討する「質の向上ワーキンググループ」と、福祉避難所の確保推進、災害時の円滑な運営等を検討する「福祉避難所ワーキンググループ」を設置し、これらワーキンググループにおいて、東日本大震災や広島市での土砂災害等今般の災害等も踏まえた検討が行われた。

各ワーキンググループの検討結果を基に、

○「避難所運営ガイドライン」(「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」に記載された事項について、避難所の指定から解消まで、具体的な対策や準備を説明したもの)

○「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(避難生活を支援する行政が取り組むべき事項のうち、トイレの確保に関して指針を示すもの)

○「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」(災害発生後における福祉避難所の設置・運営にあたって活用でき、かつ、平時においては、事前対策をはじめ、市町村等が独自のマニュアル作成に活用できるもの)

を作成した。また、平成25年8月に内閣府が策定・公表した「避難所における良好な生活環境の確保に関する取組指針」も検討会の検討結果を受け一部改訂を行った。

今後とも、取組指針やガイドラインを参考に、市町村の避難所の整備や生活環境の確保策が推進されるよう努めることとする。

コラム:災害時のトイレ

災害が発生し、停電や上下水道が停止したりすると、水洗トイレの機能の停止につながる。これにより、排泄物の処理が滞ると、衛生上、あるいは快適性の面で問題が生じるのに加え、トイレの使用をためらう意識が生じる。このことが、水分や食品の摂取を控えることにつながり、深刻な健康障害を引き起こすおそれがある。このため、平時から、災害時に活用できるトイレの確保について考え、備えておくことが重要である。

災害時のトイレには様々なタイプがあり、避難所などにおいては、その機能する条件や調達の難易度を考慮して、計画的な備蓄・確保について検討することが求められる(「避難所のトイレの確保・管理ガイドライン」を参照)。以下に4種類紹介しているが、たとえば携帯トイレは、各家庭の備えとして備蓄していただくことも、考えられるところである。

災害時のトイレの図表災害時のトイレの図表

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内閣府政策統括官(防災担当)

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