第3節 少子高齢化時代に向けて
3-1 身近な活動での防災の取組
第2節では、一般の人々に防災に関する取組を広げるために、人々が既に行っている活動に、追加的に防災の取組を行う可能性や、身近な相手やグループの中で防災に取り組み易くする可能性について概観した。
図表25の防災に取り組むグループの結果からは、職場や趣味のグループと意思疎通を図っている割合に比して、防災活動に取り組めると思う人の割合が低い。図表27の結果から、「特になし」と答えた人を除く9割近くが日常生活で意思疎通をしているグループと防災活動を行うことができると考えていることから、防災に関する取組が身近なところから始められるものであることを啓発することにより、職場や趣味のグループにおいて取組の伸びが期待できる。
例えば、宮城県大崎市では料理サークルが炊き出しを行ったり、子ども会が水を使わない料理を作ったり、ペットボトル等の身近な材料でランタンを作るなど、趣味や地域サークルなどの必ずしも防災を標榜していない団体が、防災に取り組んでいる例はある。
また、校庭での宝探し、餅つき、キャンプ等の児童・生徒を核として保護者も巻き込みながら行う活動の中で、協力、助け合い、分け合い等、防災に資する力を育む例もある。
さらに、職場で非常時の連絡訓練を行う、大規模ショッピングセンターにおいて買い物客も交えて避難訓練を行うなど、企業が防災に取り組む例は多数ある。11月5日の「津波防災の日」の前後に、昨年、訓練等を行った企業は内閣府防災担当が把握できたものだけでも96団体に及ぶ。
このように、既に行っている活動に追加的に防災の取組を行ったり、身近なところで防災に取り組むことなどを呼びかけることには、一定の効果が期待できる。