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平成27年版 防災白書|第1部 第3章 第2節 原子力規制委員会における原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実


第2節 原子力規制委員会における原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実

原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえて設置された経緯もあり、国民からの信頼性の向上に向けて、継続的に原子力規制行政の信頼の確保に取り組んでいくことが極めて重要である。原子力規制委員会は、原子力利用に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすため、科学的・技術的見地から、公正・中立に、かつ独立して意思決定を行うこと、その際、多様な意見を聴くことによって独善的にならないように留意すること、形式主義を排し、現場を重視する姿勢を貫き、真に実効ある規制を追求すること、意思決定のプロセスを含め、規制に関わる情報の開示を徹底し、透明性を確保することを組織理念として、様々な政策課題に取り組んでいる。

(1)原子力災害対策に係る取組

平成24年9月19日の原子力規制委員会の設置に合わせ、原子力基本法(昭和30年法律第186号)、原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)等の関連法令が改正され、政府の新たな原子力災害対策の枠組みが構築された。

平成26年10月14日には、内閣府政策統括官(原子力防災担当)組織が発足し、これまで原子力規制庁が担うこととなっていた原子力災害対策本部の事務局は内閣府政策統括官(原子力防災担当)組織が担うこととなった(図表1-3-2)。

図表1-3-2 現在の原子力防災体制図表1-3-2 現在の原子力防災体制

また、原子力災害対策特別措置法では、原子力規制委員会は、事業者、国、地方自治体等による原子力災害対策の円滑な実施を確保するため、原子力災害対策指針を定めることとされている。このため、原子力規制委員会においては、平成24年10月に同指針を策定し、平成24年度に1度、平成25年度に2度の改定を行った。また、平成26年10月以降は、原子力災害事前対策等に関する検討チームを開催し、同指針に挙げられた課題である東京電力福島第一原子力発電所に係る原子力災害対策、緊急防護措置を準備する区域(UPZ:Urgent Protective action planning Zone)外におけるプルーム通過時の防護措置実施の範囲及び判断基準について検討を行った。検討結果を踏まえた指針の改定案について、平成27年3月に取りまとめ、パブリックコメントを実施した。

(2)緊急時対応への取組

原子力規制委員会は、原子力災害対策特別措置法に基づき実施される原子力事業者防災訓練について、平成25年度から、原子力事業者防災訓練報告会を開催し、当該訓練の評価を行っている。平成26年度の報告会においては、前年度に抽出された共通の課題への取組状況や今後の課題等について、原子力事業者と意見交換を行い、前年度よりも訓練が充実してきていることを確認した。

また、原子力規制庁として原子力事業者防災訓練に参加し、原子力規制庁緊急時対応センターと原子力施設事態即応センターとのより幅広い情報共有の在り方を追求するなど、緊急時対応能力の向上に向けて改善を図っている。原子力規制委員会としての危機管理に係る取組としては、平成26年10月14日の内閣府及び原子力規制委員会の組織改編に伴い、原子力規制委員会防災業務継続計画等を改正する等、必要な体制整備を行った。また、宿日直簡易チェックリストの作成や実務研修の実施を通じて、原子力規制委員会初動対応マニュアルに基づく初動対応能力の維持向上に努めているところである。

さらに、平成26年11月2日、11月3日に行われた、北陸電力志賀原子力発電所を対象とした、国、原子力事業者、地方公共団体等が一体となって実施する原子力総合防災訓練に、原子力規制委員会も関係省庁の1つとして参加した。今回の訓練は、内閣府政策統括官(原子力防災担当)組織発足後初めての訓練であり、内閣府政策統括官(原子力防災担当)組織と原子力規制委員会との連携が確認された。

(3)放射線モニタリングの充実

原子力災害対策指針に基づく実効性のある緊急時モニタリングを行うために、原子力規制庁は、平成26年6月12日に「緊急時モニタリング計画作成要領」を、26年10月29日には、「緊急時モニタリングセンター設置要領」を作成した。また、原子力規制委員会は、27年1月21日に「緊急時モニタリングに係る動員計画」を策定する等、緊急時モニタリング体制の充実・強化を行った。さらに、原子力発電所周辺地域における緊急時モニタリング体制の充実・強化のため、地方放射線モニタリング対策官事務所を新たに茨城県、愛媛県、佐賀県、鹿児島県及び福井県大飯・高浜地域に設置した。

また、原子力規制委員会では、政府が定めた「総合モニタリング計画」(平成23年8月2日モニタリング調整会議決定、平成26年4月1日改定)に基づき、東京電力福島第一原子力発電所の事故に係るモニタリングとして、福島県全域の環境一般モニタリング、東京電力福島第一原子力発電所周辺海域及び東京湾のモニタリング、全国的な空間線量率のモニタリング等を実施し、解析結果を毎週、公表している。平成26年9月及び11月には、IAEA環境研究所の専門家が来日し、原子力規制庁と共同で東京電力福島第一原子力発電所近海の海水を採取し、分析結果の相互比較や分析機関の力量評価の結果、日本のデータの信頼性が高いことを確認した。

このほか、原子力発電施設等の周辺地域における放射線の影響及び全国の環境放射能水準を調査するため、全国47都道府県における環境放射能水準調査、原子力発電所等周辺海域(全16海域)における海水等の放射能分析、原子力発電施設等の立地・隣接道府県(24道府県)が実施する放射能調査等の支援を行った。そのほか、地方公共団体のモニタリング従事者向け研修の実施や、米国原子力艦寄港に係る放射能調査を着実に実施した。

(4)事故・故障等

原子炉等規制法では、原子力事業者等に対し原子力施設等で発生した事故・故障等について原子力規制委員会に報告することを義務付けており、平成26年度に受けた報告は、原子力事業者等から6件、放射線同位元素等取扱事業者から2件である。


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