平成26年版 防災白書|第2部 第3章 4 4-3 その他


4-3 その他

(1)風水害・土砂災害・雪害対策の推進

内閣府においては、近年の風水害、土砂災害及び雪害の被害状況及び被害の発生要因の分析及び被害軽減手法の検討を行った。

(2)風水害に対する警戒体制の強化

警察庁においては、管区警察局及び都道府県警察に対して、災害危険箇所の事前把握、災害の発生が予想される場合における警備体制の早期確立及び、部隊派遣の検討及び実施並びに自治体、関係機関との連携による迅速な避難誘導の徹底を指示する等、警戒警備体制の強化を図った。

(3)風水害対策の推進

消防庁においては、要配慮者の避難誘導体制を含めた避難体制の整備、避難勧告等の迅速かつ的確な発令・伝達、災害危険箇所の把握及び周知、二次災害防災対策の強化、実践的な防災訓練の実施及び防災知識の普及等について地方公共団体に対し要請・助言等を行った。

(4)山地災害防止のための普及啓発活動

農林水産省においては、山地災害の未然防止について、住民への周知徹底及び防災意識の高揚に資することを目的に、山地災害防止キャンペーン(5月20日~6月30日)を実施した。

(5)災害時要援護者関連施設に係る防災対策の推進

農林水産省においては、災害時要援護者関連施設を保全するため、本施設に係る山地災害危険地区及び農地地すべり危険箇所等の周知を図るとともに、治山事業及び農地防災事業等による防災対策を推進した。

(平成24年度決算額 33,067百万円の内数)


国土交通省においては、災害時要援護者関連施設における土砂災害対策について、砂防関係施設等による保全対策を重点的に推進するとともに、「災害弱者関連施設に係る総合的な土砂災害対策の実施について」(平成11年1月29日付関係5省庁連名通知)及び「平成21年7月中国・九州北部号豪雨及び平成21年台風第9号に伴う大雨を受けての対策について」(平成21年8月13日付関係7府省庁連名通知)を踏まえ、次の対策を促進することにより災害時要援護者関連施設等の防災力強化を図った。

  • 都道府県における「土砂災害防止法」に基づく基礎調査の実施及び速やかな土砂災害警戒区域等の指定
  • 市町村による土砂災害警戒区域ごとの土砂災害に関する情報伝達方法等、必要な事項について定める地域防災計画の策定
  • 住民の円滑な避難のための警戒避難体制等、防災体制の整備及び消防団、自主防災組織、近隣居住者等との連携協力による迅速かつ適切な避難誘導体制の構築
  • 都道府県による災害時要援護者の安全かつ迅速な避難を可能とする防災情報システム等の整備及び市町村による過去の災害や危険箇所、情報入手方法、避難場所、避難経路等を具体的に示したハザードマップ等による住民へのきめ細かな情報の提供
(6)河川情報基盤整備の推進

国土交通省においては、雨量観測にあたっては、従来のレーダ雨量計(Cバンドレーダ)・地上観測網に加え、近年増加する集中豪雨や局所的大雨(いわゆるゲリラ豪雨)による水害や土砂災害等に対して、適切な河川管理や防災活動等に役立てるために、リアルタイムでより詳細な雨量観測が可能なXRAIN(国土交通省XバンドMPレーダネットワーク)の整備を行っている。インターネット上でも雨量情報の提供を行っており、24年度までに27基での観測体制を構築している。また、これらレーダ雨量計のデータを用いて詳細な流出解析を行う洪水予測システムの整備を進めた。

(7)河川情報の提供の推進

国土交通省においては、災害時における迅速な危機対応が可能となるよう、リアルタイムのレーダ雨量、洪水予報、水防警報等の河川情報を提供した。また、地上デジタル放送等の様々な伝達手段を通じたきめ細やかな河川情報の提供を推進した。

(8)国土交通省及び気象庁における河川及び気象等に関する情報のリアルタイム交換の整備

国土交通省及び気象庁においては、「水防法」及び「気象業務法」に基づき共同で実施する洪水予報業務その他の業務の高度化に資するため、それぞれの保有する河川及び気象等に関する情報のリアルタイム交換を実施した。

(9)流域治水対策の実施

国土交通省においては、浸水被害の著しい既成市街地が大部分を占める河川流域等について、河川や下水道の整備、流域の保水・遊水機能の確保等を行うための流域貯留浸透事業等の総合治水対策を推進した。

また、内水被害を軽減するため、地方公共団体と協力して、土地利用規制策等のソフト対策と一体となった計画を策定し、総合内水対策を推進した。

(10)総合的な都市型水害対策の推進

国土交通省においては、平成15年6月に成立した「特定都市河川浸水被害対策法」に基づき、浸水被害等の著しい都市部の河川の流域において、河川管理者、下水道管理者及び地方公共団体が共同で流域水害対策計画を作成し、本計画に基づき、河川管理者が河道改修等を行う総合的な都市型水害対策を推進した。

(11)被害想定区域図等の作成及び公表

国土交通省においては、浸水想定区域図及び土砂災害危険区域図の作成・公表を推進するとともに、市町村が災害が発生した場合の状況を想定して避難場所その他円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な事項等を示すハザードマップを作成することを支援し、住民の防災意識の高揚と災害への備えの充実を図った。市町村への支援としては、「洪水ハザードマップ作成の手引き(改定版)」の公表や全国の河川事務所等に設置している災害情報普及支援室における技術的助言等を推進した。また、国土交通省のホームページ上では、全国のハザードマップをweb上で閲覧できるハザードマップポータルサイトの充実を図った。

さらに平成17年7月の「土砂災害防止法」の改正により、土砂災害警戒区域における土砂災害ハザードマップ等の周知措置の徹底を図るとともに、「土砂災害ハザードマップ作成のための指針と解説(案)」により、土砂災害ハザードマップの作成・活用を支援した。

(12)氾濫域対策の推進

国土交通省においては、洪水被害が度々生じているにもかかわらず、上下流バランス等の理由から早期の治水対策が困難である地域において、輪中堤の築造、宅地の嵩上げ等を推進することにより、住家の洪水による氾濫からの防御を図った。

(13)総合的な土砂災害対策の推進

国土交通省においては、「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」に基づき、土砂災害のおそれのある区域の指定を促進し、既存の諸制度とあわせ総合的な土砂災害対策を実施した。また、土砂災害による被害の軽減を図るため、「土砂災害警戒避難ガイドライン(平成19年4月国土交通省砂防部)」及び「土砂災害警戒避難事例集(平成21年9月国土交通省砂防部)」により市町村の警戒避難体制整備を支援するとともに、避難勧告発令や住民の警戒避難行動等を支援するため都道府県と気象庁が共同発表する土砂災害警戒情報の作成・伝達を支援した。

このほか、土砂災害予警報システム等の整備等、適切な警戒避難体制の確立に向けた各種施策を講じた。

河道閉塞、火山噴火に伴う土石流、地すべり等といった大規模な土砂災害が急迫している状況において、住民に対し市町村長が行う避難指示等の適切な判断を支援するため、「土砂災害防止法」に基づく緊急調査及び土砂災害が想定される土地の区域及び時期に関する情報を適切に周知するために必要な体制の整備を推進し、土砂災害から国民の生命・身体を保護するための取組を進めた。

深層崩壊に対しては平成22年8月に、過去の深層崩壊発生箇所と地形・地質条件との関連を統計的に分析した「深層崩壊推定頻度マップ」を公表し、さらに、平成24年9月、深層崩壊の推定頻度が特に高い地域を中心に、地質条件等が同質の一定区域内における深層崩壊の相対的な危険度を示した「深層崩壊渓流レベル評価マップ」を公表した。

対策としては、警戒避難体制の強化に向け、大規模崩壊監視警戒システムの整備に加え、深層崩壊に対するハード対策及びソフト対策を検討するため、モデル地区を設定し、深層崩壊の規模や影響範囲等の推定手法、避難路を含む警戒避難体制の整備、既存砂防施設の効果検証及び改良手法の検討等を行った。

(14)土砂災害防止のための普及啓発活動

国土交通省においては、土砂災害に関する国民の理解と関心を深めるとともに、土砂災害に関する防災知識の普及、警戒避難体制整備の促進等を強力に推進し、土砂災害による人命、財産の被害の防止に資することを目的として、土砂災害防止月間及びがけ崩れ防災週間を実施した。

月間中には、土砂災害防止「全国の集い」を長崎県で開催したほか、「土砂災害・全国統一防災訓練」の実施、広報活動の推進、土砂災害防止功労者の表彰及び土砂災害防止に関する絵画・作文の募集を行うとともに、各地で講演会及び見学会の開催、土砂災害危険箇所の周知、砂防ボランティア等と連携した土砂災害危険箇所点検等を実施した。

また、教育関係者等への土砂災害に関する講習会の開催や、教材等の情報提供等、土砂災害防止教育の充実を推進した。

(15)水防に関する普及啓発活動

国土交通省においては、水防の意識及び重要性について国民の理解と関心を高めるとともに、水防に対する国民の協力を求めるため、水防月間において、都道府県、水防管理団体その他関係機関とともに各種の行事及び活動を実施した。

特に、関係団体と連携して、水防団員等に対して水防技術の習得・研鑽、水防に関する基本的考え方の普及を図るため、利根川等9河川において洪水時に際しての水防工法、情報伝達、救援、救護避難訓練等の総合的な演習を実施した。

また、都道府県及び市町村の職員に対し、水防に関する実務的知識を修得させるため、関係団体と連携して水防研修を実施するとともに、主として水防団員の水防技術の向上及び伝承を図るため、水防工法の実技演習を中心とした水防技術講習会を実施した。

(16)風水害基礎情報整備

国土地理院においては、ハザードマップ作成の基礎情報とするため、地形分類、防災関係施設等の分布に関する事項を空中写真判読、現地調査等により調査し、防災数値データを整備するとともに、土地条件図(2万5千分の1)の作成を行った。

(平成24年度決算額 35百万円)

(17)航空レーザーデータを用いた土地の脆弱性に関する新たな土地被覆分類の研究

国土地理院においては、航空レーザーデータを活用し、樹高や疎密度等の植生関連情報を加えた新たな土地被覆分類手法の構築を行った。

(平成24年度決算額 9百万円)

(18)予報、警報その他の情報の発表及び伝達

気象庁においては、避難勧告等の判断等、地方公共団体等が行う災害応急対策や、国民の自主的防災行動に資するため、以下のような防災気象情報の発表及び伝達を行った。

  • 気象、高潮、洪水に関する予報及び警報(警報は市町村等を対象区域として発表)
  • 「水防法」等に基づく、国土交通大臣又は都道府県知事が指定する洪水予報指定河川を対象とした洪水予報(国土交通省又は都道府県と共同で発表)
  • 土砂災害警戒情報(都道府県と共同で発表)
  • 竜巻注意情報
  • 警報・注意報を補完する気象情報
  • 降水ナウキャスト、竜巻発生確度ナウキャスト及び雷ナウキャスト

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