平成26年版 防災白書|第2部 第3章 2 2-2 防災施設設備の整備


2-2 防災施設設備の整備

(1)広域防災拠点施設の維持管理

内閣府においては、首都直下地震により広域的な災害が発生した場合の災害応急対策活動の拠点となる、立川災害対策本部予備施設及び東京湾臨海部基幹的広域防災拠点(有明の丘地区及び東扇島地区)の維持管理を行った。

(平成24年度決算額 85百万円)

(2)公共施設等耐震化事業の推進

総務省及び消防庁においては、地震等の大規模災害発生時の被害を軽減し、住民の安全を確保できるよう、公共施設等耐震化事業として地方財政措置を講じることにより、地方公共団体が行う災害対策拠点となる公共施設や地域防災計画上の避難所とされている公共施設等の耐震化を推進した。

(3)地震防災機能を発揮するために必要な合同庁舎の整備

財務省及び国土交通省においては、地域の地震防災活動の拠点としての役割を担っている国の庁舎の耐震化の状況が十分とは言えないことを踏まえ、地震防災機能を発揮するために必要な合同庁舎の整備を実施した。

(平成24年度決算額 12,583百万円)

(4)国立大学等施設の整備

文部科学省においては、地震による建物への被害等を防止し、学生等の安全を確保するため、校舎等の耐震補強整備への支援を行い、防災機能の強化を実施した。

(平成24年度決算額 119,916百万円の内数)

(5)公立学校施設等の整備

文部科学省においては、公立学校等の防災機能の強化のため、次の施策を行った。

  • 公立小中学校等施設について、地方公共団体からの要望に応じた予算措置を行い、耐震化事業を積極的に推進した。

    (平成24年度決算額 272,947百万円の内数)

  • 浄水型プール等の整備事業及び学校給食施設の整備事業に対し補助を行った。

    (平成24年度決算額 215,822百万円の内数)

(6)私立学校施設の整備

文部科学省においては、大規模災害時における幼児、児童、生徒及び学生の安全確保を図る観点から、私立学校の施設について、防災機能の強化のための施設整備事業に対し補助を行った。

(平成24年度決算額 17,563百万円の内数)

(7)医療施設の耐震化

厚生労働省においては、都道府県において災害拠点病院等の耐震整備に対する補助を行うための基金を設置するため、医療施設耐震化臨時特例交付金を都道府県に交付した。

(平成24年度決算額 22,029百万円)

厚生労働省においては、政策医療を担う病院が行う耐震診断に対する補助を行った。

(平成24年度決算額 7百万円)

(8)緊急時給水拠点確保等事業

厚生労働省及び国土交通省においては、地震の被害が予想される地域において、配水管等管路を利用した貯留施設及び緊急遮断弁の整備並びに貯水池容量の増大及び連絡管整備を促進するとともに、配水池や浄水場等の耐震補強事業等を推進するため、その整備に要する費用に対して補助を行った。

(平成24年度決算額 9,581百万円)

(9)水道管路近代化推進事業

厚生労働省及び国土交通省においては、地震等による被害を受けやすい石綿セメント管、老朽化した鋳鉄管等の更新の推進を図るため、その整備に要する費用に対して補助を行った。

(平成24年度決算額 7,832百万円)

(10)独立行政法人国立病院機構の施設整備

独立行政法人国立病院機構においては、老朽建物の建替等に取り組み、耐震性の向上を図った。

(11)独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の施設整備

独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園においては、共同溝と貯水槽の耐震化工事を行った。

(平成24年度決算額 500百万円)

(12)心身障害児総合医療療育センターの施設整備

心身障害児総合医療療育センターにおいては、高圧非常用発電機の更新工事を行った。

(平成24年度決算額 33百万円)

(13)国立更生援護機関の施設整備事業

国立障害者リハビリテーションセンターにおいては、病院の耐震化工事を実施するとともに、秩父学園において水道管の耐震化工事を実施した。

(平成24年度決算額 1,363百万円)

(14)山地災害に対する整備

農林水産省においては、地震による山地災害を防止し、これによる被害を最小限にとどめるため、地震による山地災害の発生の危険性が高い地区における治山施設の整備等を重点的に実施した。

(平成24年度決算額 33,067百万円の内数)

(15)漁港・漁村の防災力の向上

農林水産省においては、平成24年3月に策定された漁港漁場整備長期計画に基づき、地震発生後においても水産物供給機能の維持を図るとともに、地震発生時に漁港で作業する人々の人命や資産の防護を図るため、水産物流通拠点となる漁港において、産地市場前面の陸揚げ用の岸壁の耐震化を促進した。また、地震・津波に対する漁港及び背後集落の安全確保のための避難施設・避難路の整備、地震・津波に対応した外郭・係留施設などの防災対策を推進した。

(16)東日本大震災により被災した海岸防災林の復旧・再生

東日本大震災で被災した海岸防災林について、被災箇所ごとの地形条件及び地域の合意形成の状況等を踏まえながら、林帯幅の確保や人工盛土の活用も図りつつ、津波に対する減災機能も考慮した海岸防災林の整備等を推進した。

(平成24年度決算額 4,162百万円の内数)

(17)海岸保全施設の整備

農林水産省及び国土交通省においては、地震・津波対策として、堤防・護岸等の整備や陸こう等の自動化・遠隔操作化等を実施した。

(平成24年度決算額 3,495百万円の内数 (農水)25,389百万円の内数(国交))

(18)水力発電施設の耐震性能調査

経済産業省においては、昨今国民の関心が高まっているダム等水力発電設備の耐震性能について検証した。また、水力発電施設の耐震設計の方法について定めている「電気事業法」に基づく発電用水力設備の技術基準等についても検討した。

(平成24年度決算額 0百万円)

(19)防災拠点となる官庁施設等の耐震化

国土交通省においては、官庁施設の総合耐震診断結果に基づき、田辺港湾合同庁舎等の緊急性の高い要整備施設54件の耐震補強等整備を行った。

(平成24年度決算額 20,381百万円の内数)

(20)建設機械の整備

国土交通省においては、災害時の緊急輸送道路確保等に必要な機械を整備した。

(21)震災に強いまちづくりの推進

国土交通省においては、都市の防災性向上のための根幹的な公共施設の整備として、次の事業を実施した。

  • 避難地、避難路及び防災活動拠点となる都市公園の整備

    (平成24年度決算額 24,234百万円の内数 この他に社会資本整備総合交付金及び地域自主戦略交付金の内数)

  • 密集市街地等において避難路として活用される道路等における街路事業の実施
  • 避難地・避難路の整備を都市の防災構造化と併せて行う土地区画整理事業の整備
  • 避難地として活用される都市公園予定地等の取得を行う地方公共団体に対する都市開発資金の貸付

    (平成24年度決算額 1,734百万円の内数)

また、災害に強い都市構造の推進として、次の事業を実施した。

  • 密集市街地をはじめとする防災上危険な市街地における都市防災総合推進事業の実施

    (平成24年度決算額 社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金の内数)

  • 三大都市圏の木造密集市街地等における都市再生区画整理事業の実施

    (平成24年度決算額 社会資本整備総合交付金の内数)

  • 低層木造建築物の密集した既成市街地における市街地再開発事業の促進

    (平成24年度決算額 5,310百万円の内数 この他に社会資本整備総合交付金の内数)

  • 都市再生整備計画事業を活用した耐水性貯水槽、備蓄倉庫、避難空間等の施設整備支援
  • 災害時における都市交通施設の有効活用に関する調査

    (平成24年度決算額 9百万円)

  • 都市機能が集積する地域における災害時の滞在者等の安全を確保する都市安全確保促進事業の実施

    (平成24年度決算額 1百万円)

(22)下水道における震災対策

国土交通省においては、「下水道総合地震対策事業」を活用し、地震時に下水道が最低限有すべき機能を確保するため、重要な施設の耐震化・耐津波化を推進するとともに、被災した場合における下水道機能のバックアップ対策等を進めた。

また、液状化対策によるマンホールの浮き上がり防止等、災害に強い下水道づくりを推進するとともに、下水処理場間のネットワーク化による代替路の確保、下水道管渠を利用した情報通信網の整備、下水処理場等の避難地等としての活用等を推進した。さらに、耐震化等の機能向上や長寿命化対策を含めた計画的な改築を推進した。

(平成24年度決算額 4,993百万円の内数 この他に防災・安全交付金 及び社会資本整備総合交付金の内数)

(23)河川の耐震・液状化対策

国土交通省においては、液状化等により、多くの堤防が被災したことを踏まえ、堤防・水門等の耐震・液状化対策を推進し、被害の防止・軽減を図った。

(24)土砂災害に対する整備

国土交通省においては、南海トラフ地震や首都直下地震等による被害の発生及び拡大、長期化による我が国の国民生活や経済活動への甚大な影響の発生などに備え、地震により崩壊する危険性が高く、防災拠点、重要交通網、避難路等への影響、孤立集落発生の要因等が想定される土砂災害危険箇所について、土砂災害防止施設の整備、維持管理・更新等を戦略的に推進した。

特に、南海トラフ地震対策として、強い揺れが想定される紀伊半島や四国等の内陸部の山間地において緊急対応に不可欠な交通網の寸断や二次被害の恐れのある箇所等での砂防堰堤整備等の土砂災害対策を推進するとともに静岡県由比地区における大規模土砂災害対策を重点的に実施した。

(25)道路における震災対策

国土交通省においては、大規模災害への備えとして、代替性確保などネットワークの整備を推進するとともに、緊急輸送道路上の橋梁の耐震補強等各種道路事業を実施した。

(26)住宅市街地の防災性の向上の推進

国土交通省においては、不良住宅が密集すること等によって保安、衛生等に関し危険又は有害な状況にある地区において、地方公共団体が不良住宅を除却し、従前居住者向けの住宅(改良住宅)を建設するとともに、生活道路、児童遊園等を整備する住宅地区改良事業等について補助を行った。

国土交通省においては、既成市街地において、快適な居住環境の創出、都市機能の更新、密集市街地の整備改善等都市再生の推進に必要な政策課題により機動的に対応するため住宅等の整備、公共施設の整備等を総合的に行う事業について補助を行った。

(平成24年度決算額 社会資本整備総合交付金等の内数)

(27)老朽公営住宅の建替の推進

国土交通省においては、耐震性の低い既存の公営住宅団地について、早急に建替事業を実施し、防災性の強化を図った。

(平成24年度決算額 社会資本整備総合交付金等の内数)

(28)港湾の大規模地震対策

国土交通省においては、人口や産業が集中する臨海部において、大規模地震発生時における避難者や緊急物資等の輸送機能、経済活動に資する一定の海上輸送機能を確保するため、基幹的広域防災拠点や耐震強化岸壁を整備するとともに、緊急輸送ルートに接続する臨港道路の耐震強化、緑地等オープンスペースの確保を行った。

(平成24年度決算額 <港湾整備事業>直轄 212,909百万円の内数補助 12,190百万円の内数)

(29)総合的な宅地防災対策の推進

国土交通省においては、大地震時の大規模盛土造成地の被害を軽減するため、「宅地造成等規制法」に宅地の耐震基準を導入し、住民への情報提供等を図る変動予測調査(大規模盛土造成地マップ作成)及び滑動崩落を防止する工事に要する費用について補助を行い、造成された宅地等の安全性の確保を図る等の総合的な宅地防災対策を推進した。

(平成24年度決算額 社会資本整備総合交付金、地域自主戦略交付金及び防災・安全交付金の内数)

(30)情報通信基盤の整備

国土交通省においては、災害時に迅速かつ的確に災害情報等を収集し、関係機関に伝達するとともに、河川利用者等への情報提供に資する河川情報通信基盤の整備を推進した。

さらに、東日本大震災を踏まえて、情報通信設備の耐震対策、津波・洪水対策、停電対策等の検討を行った。

公共施設の耐震化・津波対策等の推進

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、津波による被災の恐れがある全国の港湾整備事業に必要な情報システム等の、想定浸水区域外への移設等を行った。

(平成24年度決算額 189百万円)

(31)地震観測施設の整備等

気象庁においては、東日本大震災を受けて、緊急地震速報の予想精度の向上や情報発表の迅速化を図るため、多機能型地震観測施設を新設するとともに、関係機関が海域や地中深くに設置した地震計のデータを計算システムに取り込む装置の整備を行った。

また、大規模停電や通信回線途絶等の障害発生時も観測データが活用できるように、歪観測施設について非常電源の強化や衛星通信機器の整備を行った。

(平成24年度決算額 495百万円)


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