平成26年版 防災白書|第1部 第3章 第5節 5-2 国等の対応状況


5-2 国等の対応状況

内閣官房や内閣府等関係府省庁は情報収集体制を強化し、被害・対応状況の速やかな把握等を行った。

10月16日、内閣総理大臣は関係省庁に対し、<1>緊張感を持って被害状況の把握に努めること。<2>被災者の救命・救助を第一に、救出活動に全力を尽くすこと。<3>ライフラインの復旧など、関係省庁一体となって応急対策に当たることを指示し、さらに、10月24日には、台風第27号の接近に備え、<1>今後の大雨等に対し、引き続き緊張感を持って、警戒に当たること。<2>関係省庁と地方公共団体が緊密に連携し、国民に対する適時的確な情報の提供に努めるとともに、避難・誘導等住民の安全対策に万全を期すこと。<3>被害の拡大または新たな発生に備え、災害応急対策が万全に行えるよう態勢を整えることを指示した。

10月19日には、内閣府特命担当大臣(防災)を団長とする政府調査団を東京都大島町に派遣し、被災自治体の首長等と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施した。また、台風第27号の接近が懸念されることから、住民の避難や二次災害防止対策をはじめとする災害応急対策を、現地において、被災地方公共団体及び関係省庁が一体となって迅速かつ的確に実施するため、内閣府特命担当大臣(防災)の指示により、同日、政府現地災害対策室(室長:内閣府大臣官房審議官(防災担当)、8府省庁、東京都、大島町)を設置し対応に当たった。

台風第26号の被災地調査を行い、被災者を見舞う松本内閣府大臣政務官台風第26号の被災地調査を行い、被災者を見舞う松本内閣府大臣政務官

さらに、10月27日には、安倍内閣総理大臣が東京都大島町の被災地を調査した。

10月24日には、台風第27号の接近及び梅雨前線の影響に伴う大雨や強風のおそれがあったことから、内閣府特命担当大臣(防災)から国民に対して、空振りをおそれず、積極的な避難行動をとるよう呼びかけた。

政府では、10月16日に、関係省庁災害対策会議を開催し、今後の気象状況の見込み、被害状況及び各省庁の対応状況の情報共有を行うとともに、総理指示を踏まえ、緊張感を持って警戒・監視を行うことを確認した。その後も関係省庁災害対策会議等を計9回開催し、政府調査団の調査結果の共有や被害状況及び対応・支援状況などについて情報共有を行った。

大きな被害を受けた東京都大島町では、避難勧告地域内に所在する病院の入院患者21名を都心の病院へ自衛隊機により搬送したほか、台風第27号の接近に伴い、高齢者や障がい者等の127名が島外避難を実施した。また、島内全体の約4,800世帯、約8,400人に対して避難勧告等が発令された。

東京都からの災害派遣要請に基づき、延べ20,970名余りの自衛隊員が行方不明者の捜索や患者空輸、物資の輸送支援などを実施した。また、警視庁延べ6,470名、緊急消防援助隊等延べ4,700名による救出、救助活動などを実施した。また、国土交通省のTEC-FORCEを延べ1,300名、災害対策用機械延べ220台余りを派遣し、土砂災害危険箇所緊急点検や被害状況調査等を実施した。

11月8日に「平成25年10月15日及び同月16日の暴風雨による東京都大島町の区域に係る災害」を激甚災害に指定し、大島町の区域を対象として、農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、「中小企業信用保険法」による災害関係保証の特例、「小規模企業者等設備導入資金助成法」による貸付金の償還期間等の特例、小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等の措置を適用し、更に、11月15日には政令の一部を改正し、大島町の区域を対象として、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等の措置を追加した。

また、「災害救助法」が、10月16日に東京都大島町、千葉県茂原市に適用されたほか、「被災者生活再建支援法」が、10月16日に東京都大島町、千葉県茂原市、茨城県行方市に適用された。

東京都大島町の土砂災害において、住民避難により被害を防止できなかったことに関する主な教訓は、<1>土砂災害の危険性に対する認識が浸透していなかったこと、<2>災害が発生する前の段階で、避難所の準備や自主避難を促すことなど、「おそれ」の段階での対応がなされなかったこと、<3>危機管理情報の受信確認が十分にできなかったこと、<4>避難勧告等の発令基準が明確でないこと等が考えられ、これらを踏まえ、内閣府(防災担当)では、平成26年4月に「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」を抜本的に改正した。(参照;第1部 第1章 3-2(2)「避難勧告ガイドライン」


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