第1部 災害の状況と対策
第1節 東日本大震災の教訓を踏まえた主な取組
1-1 災害対策法制の見直し
東日本大震災は、我が国に甚大な被害をもたらした。また、今後発生が懸念される首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模災害により、深刻な被害が発生することも想定されているところである。
中央防災会議に設置された専門委員会である「防災対策推進検討会議」での議論を通し、東日本大震災を踏まえ、
- 災害対応に「想定外」はあってはならないこと
- 災害から命を守るため「逃げる」ことが重要であること
- 被災者のニーズ変化や多様性に応じた支援が必要であること
- 行政のみならず、地域、市民、企業による取組との協働が必要であること
- 大規模災害からの恒久的な復興の枠組みが必要であること
などといった今後の大規模災害に対する課題が提示された。
「防災対策推進検討会議」での議論を踏まえ、政府としては平成24年度と平成25年度に「災害対策基本法」の改正を実施するとともに、恒久的な復興の枠組みを用意するものとして大規模災害からの復興に関する法律を制定した(図表1-1-1、1-1-2、1-1-3)。
しかしながら、法律はあくまでもツールであり、適切な運用・実行がなされてこそ、効力を発揮するものである。
そこで、内閣府では法改正に伴い以下のような取組を実施している。
- 地方公共団体への説明会を通した、「災害対策基本法」の改正内容及び「大規模災害からの復興に関する法律」の制度趣旨の周知
- 地区防災計画の作成・運用に関するガイドラインを策定するとともに、優良事例を広くPRすることを通した地区防災計画制度の全国展開の促進
- 避難行動要支援者名簿の作成・活用に係る取組指針の策定・公表
また、平成26年1月に災害対策基本法の改正等を踏まえた防災基本計画の修正を実施しており、指定行政機関や都道府県などでも防災基本計画の修正の趣旨を踏まえた防災業務計画・地域防災計画の修正が進められている。