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平成26年版 防災白書|特集 第4章 1 (2)事業者と行政の連携、事業者間の連携等に関する取組の事例


(2)事業者と行政の連携、事業者間の連携等に関する取組の事例

ここでは、事業者が主体となって、行政と連携したり、事業者間で連携を行って、特色のある防災活動を行っている事例について紹介する。


都心ターミナルの地域特性に応じた防災活動
(東京駅周辺防災隣組)

東京駅周辺の大丸有地区では、帰宅困難者対策のため、地区の事業者が「東京駅周辺防災隣組」を設立。その後、隣組事務局等が中心になって、同地区における自発的な防災活動に関する「東京駅周辺防災隣組ルールブック」を取りまとめ、千代田区等と連携して活発な訓練等を実施している。

<1> 東京駅周辺防災隣組の特徴

東京駅周辺の大手町・丸の内・有楽町(大丸有地区)は、多くの大企業本社が立地し、日本の経済活動の中枢機能が集中する地区であるが、平成16年にこの地区の事業者62社が中心となり、帰宅困難者対策のために「東京駅周辺防災隣組」を設立した。同年、千代田区より東京駅・有楽町駅周辺地区帰宅困難者対策地域協力会として指定された。現在、エリア内の会社は約4,000社あり、その内約100社が加盟している。

<2> 「ルールブック」の作成とその内容

発災時に東京駅周辺防災隣組が滞留者対策の一環として活動しうるルールを明確化し、東京駅周辺の混乱防止に役立てるため、大丸有地区における自発的な防災活動に関する「東京駅周辺防災隣組ルールブック」を東京駅周辺防災隣組事務局等が中心となって作成した。

ルールブックでは、平常時のルールとしてシンクタンク機能やコーディネーター機能の強化等を定め、発災時のルールとして情報連絡本部の開設基準や発災直後の取組内容等を定めている。

発災直後の取組内容としては、地区内を9組に分けたうえで、(1)安否・被害情報の収集・伝達、(2)帰宅誘導(帰宅経路の案内)、(3)応急救護、(4)食料・飲料水の配布、(5)千代田区災害対策本部への支援要請、(6)ボランティアの統括、(7)国等行政情報の収集を行うこととしている。

<3> みえてきた課題

東日本大震災での経験、千代田区等と連携した「ルールブック」に基づく帰宅困難者避難訓練等を通して、防災活動の検証・見直しを行い、ルールブックの改定等を実施している。

また、災害時に避難施設において収容する人数がオーバーしたときに、入所希望者を断ることが難しいという問題があることから、発災時には、インターネットを通じて避難施設に関する情報を流して避難者を誘導する等の対応が必要であると指摘されている。


防災拠点となる街づくり
(森ビル株式会社)

六本木ヒルズ等東京都心部を中心に再開発事業を手がける森ビルでは、地域の防災拠点としての「災害に強い街づくり」を推進しており、行政や地域コミュニティと連携しつつ、社員の防災活動に関する「震災対策要綱」を定める等の取組を実施している。

森ビルでは、「逃げ出す街から逃げ込める街へ」をコンセプトに、安全な建物や街を創るのはもちろん、ソフト面でも様々な対策を講じている。以下、六本木ヒルズを例に紹介する。

<1> 地域コミュニティとの連携

居住者、テナント等多彩な構成員による自治会活動が根付く六本木ヒルズでは、消防署の協力による震災講習会、六本木ヒルズ震災訓練を実施し、日ごろから防災意識を高めるとともに、六本木エリアの清掃活動や盆踊り等のイベント活動を通じて地域コミュニティの結束を深め、「自助と共助」の意識で、災害時に地域に貢献できるように取り組んでいる。

<2> 行政機関との連携

まず、官民連携強化を目的に、2012年3月1日、港区と「災害発生時における帰宅困難者の受入れに関する協力協定」を締結し、区から要望があれば一時滞在場所の提供や、備蓄食糧・飲料水、避難誘導用具の提供等を行うこととしている。

<3> 「震災対策要綱」の作成等防災拠点となる街づくり

また、災害時のテナント及び居住者へのサポート、地域コミュニティ及び行政機関への貢献・連携のため、社員の防災活動に関する行動基準である「震災対策要綱」を定めている。

さらに、発災後は1,400名の全社員が震災対策組織に移行し、迅速な復旧活動が行えるよう訓練を実施しているほか、休日・夜間の発災に備えて徒歩圏に防災社宅を設け、その居住者に向けた特別訓練も行っている。そして、10万食(森ビル全体では約20万食)の備蓄を行い、社員、帰宅困難者、テナント、居住者及び近隣住民に配布できるよう備えている。

森ビル総合震災訓練(1)森ビル総合震災訓練(1)
森ビル総合震災訓練(2)森ビル総合震災訓練(2)
六本木ヒルズ震災訓練六本木ヒルズ震災訓練

事業者間での災害情報の迅速な共有のための取組
(かんさい生活情報ネットワーク協議会)

大規模広域災害に備え、関西に拠点を置くライフラインや交通等の事業者等による災害情報共有システム「かんさい生活情報ネットワーク」が平成25年6月に発足し、異なった業種の事業者が連携して、業種を越えた危機管理や事業継続の推進を進めている。

<1> 事業者間の災害情報共有システム「かんさい生活情報ネットワーク」の発足

東日本大震災では、発災直後から電話やFAXが通じなくなり、さまざまな情報のやり取りができなくなり問題となったが、今後も南海トラフ地震等の大規模広域災害等において、被害の軽減を図り、また早期の復旧・復興を実現させるためには、多くの事業者や地方公共団体、報道機関、専門家等が、これまで以上に密接に連携し、災害情報を共有することが重要になる。

そこで、関西に拠点を置くライフラインや交通等の事業者、地方公共団体、報道機関、専門家等が参加し、インターネットのクラウドサービスを使って主に災害情報(停電、通信途絶、電車運行状況等)を迅速に共有するためのシステム(かんさい生活情報ネットワーク)を運営する「かんさい生活情報ネットワーク協議会」が平成25年6月に発足した。

<2> 大規模な異業種間連携による取組

協議会は、約100機関をメンバーに構成されているが、このような業態も規模も文化も違う団体による災害情報の共有を主目的とした大規模な連携は、日本初であるといわれている。

このシステムは、簡単・確実・安全・安価を旨としており、災害時に住民の生命や財産を守るとともに、さまざまな団体の危機管理や事業継続に貢献することを目指しているが、日本で初めて特別警報が発令された平成25年台風18号では、電力会社が定期的に停電情報を提供し、実際にメディアのL字放送で活用された。

<3> 「普段使い」の促進と訓練の実施

こうしたシステムが非常時に実際に機能するために大切なことの一つが「普段使い」であることから、平時から、「熱中症情報」、「防災番組情報」等の関係情報の共有を図り、災害時にも迅速に対応できるように備えている。なお、平成25年9月には、大阪府の「大阪880万人訓練」と連動する形で、南海トラフ地震にそったシナリオで災害情報を共有する訓練を実施した。

災害情報共有システムの概要災害情報共有システムの概要
災害情報を共有するための訓練の模様災害情報を共有するための訓練の模様

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