平成26年版 防災白書|特集 第4章 1 (1)町内会、小学校区単位等での取組の事例


(1)町内会、小学校区単位等での取組の事例

ここでは、町内会、小学校区単位(自主防災組織)等で住民が主体となって、行政と連携して実施している特色のある取組について紹介する。


地域特性を踏まえた地区の防災計画(地区防災ガイド)の策定
(北海道石狩市)

石狩市では、津波、河川の氾濫や土砂災害等地区によって起こり得る災害が異なる特性があったことから、地域防災計画の見直しと同時に、地域住民、事業者等が参加して、平成25年3月に各地区の特性を踏まえた防災活動に関する計画である「地区防災ガイド」を市内を8地区に分けて策定した。

石狩市は、面積721km2、人口6万人であり、西側には南北約80kmにわたる日本海の海岸線、北部は山がちの農漁村地域、南部は石狩川の沖積平野に市街地や工業団地が広がっている。このため、津波、河川の氾濫や土砂災害等地区によって起こり得る災害が異なっている。

<1> 地区防災ガイド作成のきっかけ

石狩市では、東日本大震災を契機として地域防災計画・水防計画を抜本的に見直したが、市の特性に鑑みると、「地区レベルの防災計画がなければ災害時には役に立たない」と考えられたため、有識者からの提言を受け、地域防災計画・水防計画の改訂と並行して、各地区の防災活動に関する計画である「地区防災ガイド」の策定に取り組んだ。

<2> 地区防災ガイドの作成プロセスとその内容

このガイドは、市内を社会特性、地形、企業の立地、集落としてのまとまりなどを踏まえた8地区に分け、その地区ごとに町内会・自治会や教育機関、福祉・医療機関、企業関係者等で構成した「地区防災計画策定会議」が主体となって、全戸アンケート結果なども踏まえて「地域で作った計画、地域で育てていく計画」として策定した。

平成25年3月に完成したガイドは、避難経路や地区のルールを定め、地域防災計画と相互に補完するものとし、自助・共助の地区単位の行動指針として、「地区の基本的な考え方」「地区の特性」「平常時の行動」「災害時の行動」「実践」「資料」で構成されている。

<3> 地域防災計画と地区防災ガイドの整合の確保

地域防災計画で自助・共助の目標を明確化し、公助も含めた平常時・災害時における責務を明示したことと、地域防災計画の改訂と併せて、全地区一斉にガイドの検討に取り組むことで、地域防災計画との整合を図ることができた。

地区防災ガイド(1)地区防災ガイド(1)
地区防災ガイド(2)地区防災ガイド(2)取組の紹介(石狩市ホームページ)~地域防災計画・水防計画全面改定・各地区防災計画策定会議~
http://www.city.ishikari.別ウインドウで開きます(別ウィンドウで表示)

東日本大震災を踏まえた「地区津波防災計画」
(岩手県大槌町安渡町内会)

大槌町安渡町内会では、東日本大震災を受けて住民、防災の専門家及び行政が連携して防災計画づくりに着手しており、地区における防災活動計画である「地区津波防災計画」を作成したほか、平成26年3月には、地域防災計画の中に位置付けられた。

<1> 東日本大震災を受けた町内会、防災の専門家及び行政が連携した防災計画づくり

安渡地区は、平成23年3月11日の東日本大震災によって、犠牲者218人(地区人口比11.2%)という甚大な被害に見舞われた。町内屈指の防災活動が活発な地区と評されながら、なぜこれほどの被害が出てしまったのか。

安渡町内会では、平成24年6月、防災専門家、町役場の支援を受け、「安渡町内会防災計画づくり検討会」を立ち上げ、東日本大震災の検証と新しい防災計画づくりに着手した。

町内会では、検討会を平成24年度内に8回開催し、地区住民の避難行動、死亡状況、避難生活、地域防災活動等に関わる各種調査や津波シミュレーション、土石流調査の結果等をもとに、毎回4時間以上の熱心な議論を経て、安渡地区防災計画(案)を取りまとめた。

<2> 地区津波防災計画の作成

そして、平成25年4月、町長に対して、計画案と併せて町内会と町役場との懇談の場を求める「要望書」を提出し、「安渡町内会・大槌町懇談会」の設置に結びつけた。同懇談会では、町との連携が必要な検討課題7項目の具体的な協議を行い、合同防災訓練の実施やコミュニティ施設(避難所)の整備等の防災施策への反映を果たした。

安渡地区防災計画(案)は、その後の懇談会や住民意向調査での結果を反映し、平成25年10月に「安渡地区津波防災計画」(以下「地区津波防災計画」という。)として成文化された。地区津波防災計画は、避難行動と避難所運営についての東日本大震災の教訓とルール(行動規範)、安渡町内会の防災組織体制及び今後の予防対策の3章構成で、避難行動のルールを時系列に12項目、避難所運営のルールも同様に23項目に分けて規定した。

<3> 地域防災計画への反映

地区津波防災計画の検証結果や考え方は、平成26年3月に公表された「大槌町東日本大震災検証報告書(平成25年度版)」に反映され、検証報告に基づき修正された「大槌町地域防災計画」に地区津波防災計画の全編が収録されたほか、内容を検証するため平成26年3月には「安渡町内会・大槌町合同防災訓練」も実施された。

地区津波防災計画住民懇談会の模様地区津波防災計画住民懇談会の模様
安渡町内会・大槌町合同訓練の模様安渡町内会・大槌町合同訓練の模様

地域特性を踏まえた「地域版避難所運営マニュアル」
(宮城県仙台市)

仙台市では、地域と行政が連携して、地域の状況に応じた避難所における防災活動に関する「地域版避難所運営マニュアル」の作成を進めているが、地域が主体となって、その取組が広がりつつある。

<1> 「地域版避難所運営マニュアル」の作成推進

東日本大震災の際の避難所運営については、避難者が多く発生した中で、誰が避難所の開設・運営を行うのかが不明確であったことなどから、震災後、新たな「仙台市避難所運営マニュアル」を作成し、それを参考に地域団体、施設管理者、市の担当職員の三者による避難所運営の意識の共有化を図り、地域の状況に応じた避難所における防災活動に関する「地域版避難所運営マニュアル」の作成を推進していくこととした。

<2> 地域の町内会・学校と行政の連携

取組の内容としては、平成25年4月から本庁各課を中心に191箇所の指定避難所毎に避難所担当課を割り当て、同年7月から「地域版避難所運営マニュアル」の作成のための地域及び施設管理者(市立学校等)との事前協議を開始しており、町内会、学校及び仙台市が様々な情報や意識を共有化し、平時より「お互いの顔が見える関係」を構築して円滑な避難所運営を目指すこととしている。

また、「地域版避難所運営マニュアル」の作成を支援するため、有識者を支援アドバイザーとして派遣したり、「仙台市避難所運営マニュアル」について、視覚的にも分かりやすいように解説を加えたDVDを作成し、町内会をはじめとする避難所運営関係者に配布している。

<3> 地域が主体となった取組の広がり

この市の取組については、地域の代表である仙台市連合町内会長会の平成26年度の目標として、平成26年度内の全地域における「地域版避難所運営マニュアル」の作成及び避難所運営訓練の実施を掲げている等地域が主体となって取り組んでおり、平成26年度中には、「地域版避難所運営マニュアル」の作成と避難所運営訓練による検証を行う予定になっている。

仙台市避難所運営マニュアル(1)仙台市避難所運営マニュアル(1)
仙台市避難所運営マニュアル(2)仙台市避難所運営マニュアル(2)

宿泊型避難所開設訓練
(愛知県名古屋市緑区)

名古屋市緑区では、住民と行政の共同により、実践的な訓練を目指し、「宿泊型避難所開設訓練」を実施している。訓練を通じて課題の洗い出しや最適な運営方法を模索しており、住民の防災意識の向上と地域防災力の強化につながっている。

<1> 実践的な宿泊型避難所開設訓練の実施

名古屋市緑区は近年、区画整理事業の進展、地下鉄桜通線の延伸、JR南大高駅の開業、名古屋環状2号線の開通など都市基盤が整備され、人口も市内の行政区で最も多い約23万6,000人である。東日本大震災を契機に、避難所の開設・運営の重要性を再認識し、参加者と運営者がともに多くの気づきと学びが得られる実践的な訓練を目指し、本市で初めて、平成23年度に「宿泊型避難所開設訓練」を実施した。

発災直後には行政による地域住民への十分な対応が困難となることが想定され、地域住民が主体的に避難所を開設し、円滑に運営することが必要となるため、地域が主体となって取り組む訓練としている。

訓練は毎年6月に行い、本市の避難所運営マニュアルに基づき、避難所の鍵の開錠や応急危険度判定、施設内スペースの確保、管理・運営体制の確立など初動時の対応から始まり、区本部との無線訓練、仮設トイレ組立、地下式給水栓操作など長期にわたる避難所運営も見据え、ストーリーを重視した内容としている。

<2> 訓練の効果と見えてきた課題

平成25年度の訓練の参加者は約400名、うち宿泊者は約100名であり、親子での参加者が非常に多かった。訓練参加者のアンケートによると、訓練全体の評価について「ためになった」と回答した方が93%であった。また、避難所運営の中で協力できる取組について「何でも協力したい」と回答した方が40%と最も多く、防災意識の高まりがうかがえた。

今後は、避難所の運営者が、訓練を通じて様々な課題を洗い出し、それぞれの避難所にあった最適な運営方法を目指し、経験を積むことが必要であり、また、訓練の参加者には、避難所での様々な体験を踏まえて、必ずしも避難所に行かなくても良い対策を各家庭で取り組んでもらい、自身の被災を最小限に抑えてもらうことが必要である。

宿泊型避難所開設訓練の模様宿泊型避難所開設訓練の模様

「身近な地域の市民防災行動計画」による住民の防災意識・地域防災力の向上
(京都府京都市)

京都市では、住民と行政が連携して、平成12年から「身近な地域の市民防災行動計画」策定を進めている。この取組は、地域の消防署員の情報提供等の支援を受けつつ、住民自身が自らの手で地域の事情にあった計画を策定するものである。

<1> 町内版地域防災計画「身近な地域の市民防災行動計画」

京都市では、「自らの身の安全は自らが守る」、「自らのまちは自らが守る」を基本に、市民と行政が一丸となって防災・減災の取組を推進してきた。その取組の一つが、「身近な地域の市民防災行動計画(以下「行動計画」という。)」づくりである。これは、地域住民主体の町内版地域防災計画であり、おおむね町内単位で結成されている約6,300の自主防災組織を対象とし、ほぼ全ての地域で策定されている。

<2> 行動計画づくりの流れ

行動計画策定の流れは、まず、地域で集まっていただき、消防局が持つその地域の防災関連情報を提供することで、住民自身に自分の町の防災力に対する「気付き」を喚起する。

次に、「気付いた」防災上の脆弱性に対し、それを解消するためワークショップ形式で知恵を出し合い、地域の事情に合った行動計画を策定する。

消防署員の役割は、地域住民から出ていない視点からの問題提起や、参加者全員の発言を引き出す進行等中立的な立場からワークショップの調整役を担うことである。

<3> 計画策定の効果と今後の課題

行動計画について地域住民からは、「行動計画を策定したことで減災が具体的にイメージできた。」「災害は何が起きるか分からない。計画どおりにいくかどうか。訓練による検証が必要ではないか。」等の意見もあり、本取組により、市民の防災意識・地域防災力の向上に一定の成果があった。

しかし、平成25年9月の台風第18号による豪雨災害では、隣接地域と連携した対応や連携体制の確立等の必要性が明らかになり、より広域版の行動計画の必要性も認められた。

今後は、前途の課題を解消するため、小学校区単位を対象に、町内単位の活動を集約し、避難所到達までの活動要領を明記した行動計画を策定するとともに、消防署員が行動計画の策定・維持・更新に積極的に関わり、より実効性のあるものにしていくこととしている。

ワークショップの模様ワークショップの模様

災害リスクの種別が異なる「防災福祉コミュニティ」間の連携訓練
(兵庫県神戸市)

神戸市では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、福祉活動と連携しつつ、防災活動を行う自主防災組織である「防災福祉コミュニティ」を結

成した。住民と行政が連携して活動が活発化しており、災害リスクの種別が異なる地域コミュニティ間での連携訓練が行われる等地域間連携の強化が進んでいる。

<1> 住民主体の「防災福祉コミュニティ」の結成

「防災福祉コミュニティ」とは、災害発生時においても、市民が主体となり適切な防災活動が展開できるように地域の連帯感を強くするため、日ごろから福祉活動と連携した活動を行う自主防災組織で、阪神・淡路大震災を教訓に市内191全地区で結成された。

<2> 住民と行政の連携

「防災福祉コミュニティ」は、住民と行政が密接に連携して推進されており、行政による地域への活動支援としては、<1>新規の「防災福祉コミュニティ」の結成時の防災資機材の配布、<2>活動に必要な経費の一部助成、<3>「防災福祉コミュニティ」内の市民防災リーダーの育成、<4>津波防災マップの作成支援等を行っている。

その結果、「防災福祉コミュニティ」の活動は活発化しており、平成25年度は全市で828回の訓練等が行われた。

<3> 災害リスクの種別が異なる「防災福祉コミュニティ」間の連携訓練

特徴的な活動の例としては、津波対策を進めている海に面した東灘区の「魚崎町防災福祉コミュニティ」と土砂災害への対策を進めている山側の「本山第二小学校区防災福祉コミュニティ」の2つの「防災福祉コミュニティ」の連携訓練がある。

南海トラフ地震発生を想定し、作成した「魚崎町防災津波マップ(改訂版)」に沿って、津波発災時を想定して、「魚崎町防災福祉コミュニティ」が魚崎地区から本山第二小学校区内の住吉川東緑地への避難訓練を実施し、その所要時間の検証等を行うとともに、避難先では、「本山第二小学校区防災福祉コミュニティ」が避難者の受入れの実施と両コミュニティ合同での炊き出し訓練を行い、訓練を通じて地域間の連携強化を図る等地域全体の防災力の向上を図った。

防災福祉コミュニティ間の連携訓練の模様(1)防災福祉コミュニティ間の連携訓練の模様(1)
防災福祉コミュニティ間の連携訓練の模様(2)防災福祉コミュニティ間の連携訓練の模様(2)

津波に対する危機意識から生まれる地域再生の動き
(和歌山県串本町)

串本町では、南海トラフ地震による津波が最短2分で到達すると言われており、当初はあきらめの声もあったが、町民と行政が連携して自助・共助によるハード・ソフト対策を進めたところ、防災をきっかけに地域コミュニティと行政との一体感の再生につながった。

<1> 南海トラフ地震による津波が最短2分で到達

串本町は、本州最南端に位置しており、南海トラフ地震による津波が、全国で一番早い最短2分で到達すると言われている。

2分で津波が到達するという発表は、町民に大きな衝撃を与え、「逃げ切れない」というあきらめの声が聞こえてきた。

<2> 町民と行政の連携によるハード・ソフト対策

しかし、町民が避難することを助ける公助を担う行政があきらめるわけにはいかない。行政がやるべき対策を迅速に、かつ町民の理解を得ながら進めていくことにより、町民と行政の間に信頼関係が生まれ、町民による自助・共助の意識と行動も更に高まってきた。

そこで、串本町では、あらゆる防災対策に加え、町民と行政が連携して、自助・共助によるハード・ソフトの両面からの対策も推進してきた。まず、ソフト面では、全ての地区においてワークショップを開催し、町民主体での津波ハザードマップの作成、津波避難路の検討等を重ね、自発的に行うべき防災活動について整理するとともに、それを受けて、ハード面については、行政プラス自主防災会による避難路整備作業等を促進している。

<3> 防災をきっかけとした地域コミュニティと行政との一体感の再生

「逃げ切れない」という絶体絶命の想定であったが、防災という老若男女共通のテーマをもとに、希薄化しつつあった地域におけるコミュニティと行政との一体感が今、まさに再生されようとしている。

全地区で開催したワークショップ全地区で開催したワークショップ
自主防災会による避難路整備作業自主防災会による避難路整備作業

地域特性を踏まえた自主防災活動
(広島県広島市)

広島市では、地域特性を踏まえた自主防災活動を促進しており、自主防災組織と多様な主体が連携して、各地域の緊急退避施設、避難場所等を掲載した「避難計画マップ」の作成を進めている。

<1> 地域特性を踏まえた自主防災活動

広島市では、町内会、自治会単位を基本とした自主防災組織が、ほぼ市内全域で結成されている。

自主防災組織は、会長・副会長をリーダーとして、地震等の大規模災害が発生した場合を想定し、あらかじめ情報連絡班、応急活動班及び避難誘導班などの班編成を組織内で定めている。

こうして編成された自主防災組織は、地域の特性を踏まえた自主的な防災活動を行っており、大規模災害時に自主防災組織は、福祉施設入居者の避難誘導、介護援助及び初期消火活動等を行い、福祉施設は自主防災組織に対して、避難場所を提供し救護処置等の協力を行うといった福祉施設と相互応援協定を締結している。また、地元企業とは物資供給や火災消火等について協定を締結する自主防災組織もある。

<2> 各地域の緊急退避施設、避難場所、避難経路等を掲載した「避難計画マップ」

平成24年度以降は、津波、洪水又は高潮の浸水想定区域を有する小学校区において、浸水想定区域に加え浸水時緊急退避施設や地域の避難場所、避難経路等を掲載した「避難計画マップ」の作成を進めている。

このマップの作成に当たっては、自主防災組織をはじめとする地域住民が、主体的に防災に取り組む姿勢を醸成するため、マップの原案は地域実情に精通した住民が主体となって検討・作成し、行政がこれを支援することとしている。

このような取組を行うなか、工業団地と住宅地からなる安芸区の矢野・矢野西学区において、自主防災組織、町内会連合会、事業所、区役所及び消防署が協力して、高潮、洪水、津波による浸水を想定した「避難計画マップ」を作成した。

矢野・矢野西学区の「避難計画マップ」矢野・矢野西学区の「避難計画マップ」

世帯別津波避難カルテ
(高知県黒潮町)

黒潮町では、震度7、最大津波高34mでも犠牲者ゼロをめざし、全職員に防災業務を兼務させる「防災地域担当制」を導入したほか、「世帯別津波避難カルテ」の作成を進めている。

<1> 震度7、最大津波高34mでも犠牲者ゼロをめざす

2012年3月31日、黒潮町に衝撃が走った。「町が日本最大の津波高34.4mに襲われる可能性がある。」ということが中央防災会議から公表されたのである。しかも、最大震度は7、高知県には最短2分で津波が到達するかもしれないというものであった。マスコミからは「町が消えてしまう」等の報道が流れ、多くの住民にあきらめの声が広がった。

しかし、町は「避難放棄者を出さない」という基本的な考え方を示し「あきらめない。揺れたら逃げる、より早く、より安全なところへ。」を町民が共有するメッセージとした。

<2> 全町職員に防災業務を兼務させる「防災地域担当制」の導入

また、全町職員に防災業務を兼務させる「防災地域担当制」を導入した。全職員(約200人)を消防分団管轄地域に振り分けて、自主防災会や消防団と協働して地域の防災対策に取り組む制度である。

<3> 「世帯別津波避難カルテ」の作成

さらに、津波浸水危険区域で住民一人一人の避難行動を調査することとし、2013年2月~2014年1月にかけて地区の最小単位である「班(10軒~15軒)」ごとにワークショップを202回実施し3,790の「世帯別津波避難カルテ」を完成させた。このワークショップへの参加率は63.33%、カルテの回収率は99.98%である。

このカルテにより、津波浸水危険区域の住民が「自力避難ができるか」「家族の力だけで避難できるか」「避難方法」「避難経路と避難場所」「住宅の耐震状況」「避難上の課題」等が明確になってきた。

この情報は、避難行動要支援者台帳や今後作成する避難行動要支援者の個別計画や地区防災計画に反映させていく予定である。

帯別津波避難カルテ関係の記入シート帯別津波避難カルテ関係の記入シート

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