8 危険物災害対策
(1)危険物災害の防止に関する研究
消防庁においては,次の研究を行う。
・新技術・新素材の活用等に対応した安全対策の確保に係る調査研究(震災時等における危険物の仮貯蔵・仮取扱いの安全確保の在り方の検討)
東日本大震災においてガソリンスタンド等の危険物施設も大きな被害を受けたため,ドラム缶や地下タンクから手動ポンプ等を用いてガソリンを給油したり,タンクローリーから船舶に給油する等平時とは異なる対応を余儀なくされた。このため,今回の震災時に行われた仮貯蔵・仮取扱いの実態について調査するとともに,震災時等の仮貯蔵・仮取扱いの安全確保の在り方について実証実験も踏まえつつ検討を行う。
・屋外貯蔵タンクの安全対策の推進
平成23年1月,容量2万171kLの屋外貯蔵タンクにおいて,底部溶接線が約45cm破断し危険物が流出する事故が発生した。容量1,000kL以上の屋外貯蔵タンクの底部からの流出事故は,過去37年間に37件発生しており,そのほとんどは昭和52年より前に設置されたもので発生している。大規模流出に至るおそれが高い底部流出事故を防止するため,事故の発生要因に対してどのような検査手法があるか調査し,有効性について検討を行う。
・危険物施設の事故防止対策
各消防本部からのオンライン処理システムによる事故報告や危険物規制事務調査結果等を基に,事故の原因や傾向を詳細に分析する。
また,官民一体となった危険物事故防止対策に取り組むため,「危険物等事故防止対策情報連絡会」を開催し,事故の原因や傾向の詳細な分析結果を踏まえた危険物施設における事故防止対策の重点目標を設定し,当該重点項目の対応状況についての意見交換を行う。
さらに,事故の原因や傾向の詳細な分析結果を踏まえた危険物施設の技術基準の見直しを行う。
・危険性物質と危険物施設の安全性向上に関する研究
・危険物に係る流出等の事故原因の調査技術の高度化に関する調査研究
(2)爆発防止等に関する研究
独立行政法人産業技術総合研究所においては,化学物質の発火・爆発安全に係る実時間計測技術,爆発影響のシミュレーション技術,水素等の可燃性ガスや支燃性ガス,微燃性ガスのフィジカルリスク評価,爆発の高度制御等の爆発安全技術,爆発安全情報データベース,化学災害データベース整備等の共通基盤技術の研究開発を実施する。