3 緊急安全対策等


3 緊急安全対策等

東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け,3月30日に,経済産業大臣は,各電気事業者等に対し,緊急安全対策の実施を指示した。この指示では,まず,緊急安全対策として,今回の事故を引き起こしたものと同程度の津波により全交流電源喪失等に至ったとしても,炉心損傷及び使用済燃料の損傷を防止し,多量の放射性物質を放出することなく,冷温停止状態に繋げることができるよう,緊急対応の実施手順を整備し,訓練を行うこと及び電源車の確保や消防車の配備,消火ホースの配備などの設備面の対応等を求めた。また,同指示では,中長期対策として,海水ポンプ等の予備品の確保や空冷式の大容量非常用発電機の設置,津波に対する防護措置等について計画を策定することも求めた。その後,原子力安全・保安院は,各電気事業者等から,同指示に基づく緊急安全対策の実施状況の報告を受け,その実施状況について立入検査等を通じて厳格な確認を行った上で,5月6日に各電気事業者等の実施状況が適切であるとの確認結果を公表した。

また,4月7日の宮城県沖を震源とする余震により東北電力東通原子力発電所1号機の非常用ディーゼル発電機が動作不能の状態に陥ったことを踏まえ,同月9日に原子力安全・保安院は,原子炉が冷温停止中であっても原子炉毎に2台以上の非常用ディーゼル発電機を動作可能としておくことを指示した。

さらに,4月7日の同地震により広域にわたる停電が発生し,一部の原子力施設で一時的に外部電源を喪失する事象が発生したことを踏まえ,4月15日に原子力安全・保安院は,電気事業者等に対し,外部電源の信頼性確保に向け,各号機について複数(すべて)の外部回線への接続を確保することや所内の電源施設の強化等の対策を指示した。

続いて,5月1日には,各再処理事業者に対しても,経済産業大臣が緊急安全対策の実施を指示した。

中部電力浜岡原子力発電所については,5月6日に,想定東海地震により30年以内に震度6強の地震に見舞われる可能性が84%と際だって高く,これによる大規模な津波襲来の切迫性という特有の事情を踏まえ,内閣総理大臣は,経済産業大臣を通じて,防潮堤の整備などの中長期対策が完了するまでの間,国民の一層の安心のために全号機を停止するよう,中部電力に対して要請した。この要請を受け,中部電力は,5月14日までに同発電所の運転中の原子炉を停止した。


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