1 東京電力福島第一原子力発電所の事故等


第1部 東日本大震災  第2編 原子力災害の概要とその対策等

第1章 原子力災害の概要

1 東京電力福島第一原子力発電所の事故等

3月11日14時46分の東北地方太平洋沖地震の発生により,東京電力福島第一原子力発電所の原子炉6機のうち,運転中の1号機から3号機までのすべてが自動停止した(4号機から6号機までは定期検査により運転停止中であった)。

同日15時42分には,東京電力により,1号機から3号機までにおいて全交流電源が喪失したとして,原子力災害対策特別措置法(以下「原災法」という。)第10条事象が発生したとの判断がなされ,原子力安全・保安院等関係機関に連絡がなされた。

さらに,同日16時36分には,東京電力が,1号機及び2号機において原災法第15条該当事象(非常用炉心冷却装置による注水が不能)が発生したとして,16時45分に原子力安全・保安院等に連絡した。3号機においては,同月13日の早朝,東京電力が,原災法第15条事象(原子炉冷却機能喪失)が発生したとして,原子力安全・保安院等に連絡した。また,1号機から4号機までの使用済燃料プールの冷却も困難となった。

その後,同月12日午後に1号機において,同月14日午前に3号機において,同月15日朝に4号機において,水素爆発と思われる爆発が発生した。2号機においては,同月15日朝に水素爆発によるものと思われる大きな衝撃音が確認されたほか,4号機においては,同日朝,火災の発生も確認された。また,汚染水の滞留,外部流出も発生しており,本事故は,発電所内施設の損傷に留まらず,放射性物質が外部へと放出される事態へと進展した。

こうした中,政府は,事態の収束のため,原子炉等規制法第64条第3項の規定に基づき,経済産業大臣から東京電力に対し,原子炉格納容器内の圧力抑制のための措置や海水注入等の実施を命令した。また,自衛隊,警視庁機動隊や緊急消防援助隊による放水活動なども実施されている。東京電力は,原子炉及び使用済燃料プールの冷却のための注水・放水作業,原子炉格納容器の圧力抑制のための措置,水素爆発の防止のための窒素封入措置(1号機)や汚染水の放出を防ぐための措置等を実施している。政府及び東京電力は,一日も早く事態を収束させるべく,総力を挙げて取り組んでいる。

なお,本事故により,原子力安全・保安院は,同月12日に国際原子力・放射線事象評価尺度(International Nuclear and Radiological Event Scale:[INES]と略す。)において,レベル3(重大な異常事象)と暫定評価した後,同日,レベル4(事業所外への大きなリスクを伴わない事故)に,同月18日にレベル5(事業所外へリスクを伴う事故)に,4月12日にはレベル7(広範囲な影響を伴う事故)に引き上げ,国際原子力機関(InternationalAtomic Energy Agency:[ IAEA]と略す。)に通報している。

事故が発生した東京電力福島第一原子力発電所の様子(4月26日,3号機)提供元:陸上自衛隊 事故が発生した東京電力福島第一原子力発電所の様子(4月26日,3号機)提供元:陸上自衛隊
事故が発生した東京電力福島第一原子力発電所の様子(3月21日,3号機)提供元:東京電力 事故が発生した東京電力福島第一原子力発電所の様子(3月21日,3号機)提供元:東京電力

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