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第2章 我が国の災害対策の推進状況 1 災害対策の推進体制 1−1 災害被害軽減に向けたこれまでの取組み



第2章 我が国の災害対策の推進状況

1 災害対策の推進体制

1−1 災害被害軽減に向けたこれまでの取組み

我が国は,第1章で述べたとおり,地理的,地形的,気象的諸条件から,地震,噴火,台風,豪雨,豪雪等の自然災害が発生しやすい国土となっている。

自然災害は,地震,台風などの自然現象(自然要因)とそれを受け止める側の社会の災害脆弱性(社会要因)により,その被害の大きさが決まってくると考えられる。これらのうち自然要因をコントロールすることは困難であるが,社会要因については努力次第で軽減することが可能であり,戦後の防災対策は,社会の災害脆弱性軽減の取組みの積み重ねであった。毎年のように発生する各種災害から得た教訓を基に,防災体制の整備・強化,国土保全の推進,気象予報精度の向上,災害情報の伝達手段の充実等に取り組み,災害脆弱性の軽減,災害対応能力の向上を図ってきたところである。

戦後間もない頃には,死者・行方不明者1,443人を出した昭和21年の南海地震(マグニチュード8.0)を契機として昭和22年には災害救助法,死者・行方不明者1,930人を出した昭和22年のカスリーン台風等水害の多発を契機に昭和24年には水防法,また,死者・行方不明者3,769人を出した昭和23年の福井地震(マグニチュード7.1)を契機として昭和25年には建築基準法を制定した。

(伊勢湾台風を契機とした災害対策基本法の制定)

昭和34年9月26日に東海地方を襲い,死者4,697人,行方不明者401人の人的損害を出した伊勢湾台風は,我が国の防災対策の転換点となった災害であった。政府はこの台風を受け,災害対策基本法を昭和36年に制定したが,この中で大きく2つの点で政策転換を行った。一点目としては,それまでの災害対策が災害発生後の応急対策に重点が置かれていたことを見直し,災害の予防から応急対策,復旧・復興まで一貫した災害対策を実施していくこととした点である。二点目としては,それまでの防災対策に総合調整の仕組が存在しておらず,ややもすると各分野で個別に対応がとられていたことを見直し,各分野の取組みの調整をとって総合的な防災対策を推進することとした点である。この考えに基づき,内閣総理大臣を議長とする中央防災会議の設置,防災基本計画を土台とする防災計画体系が災害対策基本法上に位置づけられ,総合的かつ体系的な防災対策の実施が行われることとなった。

その後も昭和36年豪雪を契機とする豪雪地帯対策特別措置法や昭和48年の桜島噴火を契機とする活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律(現,活動火山対策特別措置法),昭和53年の宮城県沖地震を契機とする昭和56年の建築基準法の改正などにより防災体制の充実・強化に取り組んできた結果,平成7年の阪神・淡路大震災までは毎年の自然災害による死者・行方不明者数は数十名から数百名で推移した。

(阪神・淡路大震災を契機とした防災体制の充実・強化)

平成7年1月17日,淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の直下型地震が関西地方を襲った。この地震により,神戸市,芦屋市,西宮市などの一部で震度7を観測したほか,豊岡,彦根,京都などでも震度5,その他東北から九州の広い範囲で有感となった。

阪神・淡路大震災は,社会的経済的な諸機能が高度に集積する大都市を直撃した地震であり,死者・行方不明者6,000人以上,負傷者4万3,700余名に上る甚大な人的被害をもたらした。この地震では,情報網の寸断,行政機能のマヒ状況の発生とともに,道路,鉄道,港湾機能の機能停止,更にライフライン関係も約130万戸の断水,約260万戸の停電,都市ガス約86万戸の供給停止など,完全に都市機能がマヒするという事態に陥った。

このような被害をもたらした阪神・淡路大震災を受け,政府は,各種法令の改正・制定,防災基本計画の大幅な修正,各種情報システムの整備や初動対応の強化など様々な分野における防災対策の充実・強化を迫られることとなった。このうち,各種情報システムの整備や初動対応の強化としては,24時間体制の情報収集を可能とする内閣情報集約センターの設立,官邸の危機管理センターの設置,緊急参集体制の構築,緊急参集チームの設置,消防組織法や自衛隊法の改正による緊急消防援助隊や自衛隊の迅速な出動などに取り組んだところである。

図2−1−1 戦後の防災法制度・体制の歩み 図2−1−1 戦後の防災法制度・体制の歩みの図

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