防災白書の刊行に当たって



防災白書の刊行に当たって

内閣府特命担当大臣(防災) 佐藤 勉の写真
内閣府特命担当大臣(防災)
佐藤 勉

昨年は,6月に岩手・宮城内陸地震,7月に岩手県沿岸北部を震源とする地震と,東北地方で相次いで大きな地震が発生しました。また,昨年は台風の上陸はありませんでしたが,局地的な大雨による災害が各地で発生しました。政府においては,被災された方々が一日も早く生活を再建できるよう,全力を挙げて取り組んでおります。

本白書は,5月29日に閣議において決定され,国会に報告いたしました。今回の白書では,地球温暖化等の影響により災害を取り巻く自然的,社会的な環境が変化する中で,従来の想定を超えるような災害の発生や被害が懸念され,それに対する適切な対応が必要となっていることについて報告しています。また,従来とは異なる災害リスクに,多くの国民の方々も不安を感じています。こうした中で,防災対策の実効性を高めるためには,行政,地域社会,国民一人ひとりが,大雨の増加に伴う水関連災害の増加,高齢化の進展に伴う地域防災力の低下などの課題を正しく認識し,適切な役割分担の下に,連携して対応していくことが重要です。

また,本白書では,平成20年に発生した災害の状況等を報告するとともに,最近の災害対策の取組みとして,学校や病院,住宅等の耐震化の更なる促進,首都直下地震で想定される避難者・帰宅困難者対策,重要文化財建造物等の防災対策,首都地域における大規模水害対策等を紹介しております。

さらに,海外においても,昨年5月のミャンマーのサイクロンや中国四川省における大地震による被害等,アジアを中心に大規模な災害が多発しており,本年4月にもイタリア中部で地震が発生し,多くの方々が被害を受けました。本白書では,過去の幾多の災害で培った我が国の知識や経験を最大限活用し,世界の防災活動の推進に積極的に貢献していくことについても紹介しています。

いつどこでも起こりうる災害に対して備えるためには,行政による「公助」とともに,「自助」「共助」の役割が極めて重要です。このため,各省庁や地方公共団体と連携しつつ,引き続き防災対策の強化に向けた取組みを推進してまいりますが,国民,地域,企業や業界団体,NPO等の方々も,本白書を通じ,災害を自分のこととしてとらえていただき,自助,共助の取組みを実践していただくようお願いいたします。

平成21年6月

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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