次頁 ３−６ 平成１９年台風第９号
（１）災害の状況
８月２９日９時に南鳥島の南東海上で発生した台風第９号は，発達しながら，９月４日には父島の北の海上を西に進んだ。その後進路を北よりに変え，伊豆諸島の西海上を北上し，７日０時前に強い勢力で静岡県伊豆半島南部に上陸した。その後，関東地方，東北地方に大雨や暴風をもたらしながら北上し８日１時前には北海道函館市付近に再上陸し，同日９時に石狩湾付近の海上で温帯低気圧となった。
台風の接近により，静岡県南伊豆町石廊崎で６日に東の風５４．６m/s，東京都三宅村三宅島で南南西の風５０．７m/sの最大瞬間風速を観測した。
また，９月４日から７日にかけて，東京都奥多摩町小河内で６９４ミリ，静岡県伊豆市湯ヶ島で６９２ミリの雨量を観測，７２時間雨量として観測史上１位の記録となった。
この台風により，死者１名，行方不明者２名，負傷者９０名，住家全壊１０棟，住家半壊２７棟，住家一部破損６４７棟，床上浸水４１５棟，床下浸水１，１９５棟などの被害が発生したほか，最大６９，９１８名に避難指示・勧告が出された。
土砂災害については，土石流１５件，地すべり２件，がけ崩れ４９件が発生した。
河川については，多摩川水系多摩川で計画高水位を超えたほか，４水系７河川ではん濫危険水位（危険水位）を超え，３水系６河川で避難判断水位（特別警戒水位）を超え，１１水系２６河川ではん濫注意水位（警戒水位）を超え，各地で浸水被害等が発生した。
ライフライン関係においては，北海道・東北・東京・中部電力管内で延べ約３１７，５５０戸が停電となったほか，都市ガスについては群馬県内で１３２戸が供給停止，上水道については千葉県，群馬県，埼玉県等で２１，４８７戸が断水した。電気通信関係では，長野県等で携帯電話基地局５４局が停波した。
道路については，西湘バイパス，国道１８号，県管理道路等１２７区間で通行規制が行われた。鉄道については，全国各路線で雨量規制等のために運休が発生した。
公共土木施設では，河川１，３５３か所，海岸７か所，砂防施設等７１か所，道路（橋梁を含む）７７２か所，港湾１０か所，下水道４か所，公園３か所に被害が発生した。
農林水産関係では，農地１，４９８か所，農業用施設２，０６２か所，林地荒廃３８３か所，治山施設６８か所，林道施設２，１２６か所，森林被害４５０ha，漁港施設等２５か所に被害が発生した。
文教施設では，国立学校施設１９校，公立学校施設１５３校，社会教育・体育，文化施設等１４０施設，文化財等３３件で被害が発生した。
社会福祉施設等では，１７施設に被害が発生した。
（２）国等の対応状況
９月７日１４時に泉防災担当大臣が出席し，内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し，被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有するとともに，引き続き早期の避難対策に万全を期すること等を申し合わせた。
各府省の対応は， 附属資料２ のとおり。