6 火災対策



6 火災対策

(1)火災に関する一般的研究

 独立行政法人消防研究所においては,火災の予防,警防に関し次の研究を行った。
a 災害時要援護者の火災時避難安全のための警報・通報手法の開発
 高齢者や聴覚障害により警報音の聞取りが困難な人に対しても有効な警報伝達手法の開発及び病気・身体不自由などにより自力避難が困難な人を救助する通報システムの開発のための研究を行った。
b 地下施設,大規模複合建築物等における避難誘導効果評価法に関する研究
 地下施設,大規模複合用途建築物等で火災等非常事態が発生した場合,最終避難口に至る経路選択の困難性及び多人数の合流による動線の混乱等が懸念されることから,新たに開発した人工現実感(VR)災害体験装置を用い,煙・光環境等様々な環境下における誘導灯等の避難誘導設備の効果を,避難者の視点から評価可能な手法の検討を行うとともに,効果的な避難誘導設備について技術的な提言を行った。
c 消防用防護服の総合的な評価手法に関する研究
 消防用防護服の耐熱性能に加えて快適性,機能性などに関する研究を実施し,耐熱性能,快適性能,機能性能に関する我が国基準の提案と日本の気候風土に適した消防隊員用防護服の総合評価手法の開発を行った。
d 廃棄物及びその処理施設の火災安全技術に関する研究
 屋外に大量に放置された廃棄物からの火災及び廃棄物処理施設における火災の出火防止策の開発研究及び火災時の消火技術の開発研究を行った。
e 新反応性物質等の危険性を把握するための研究
 科学技術の発達及び社会環境の変化により,その用途及び科学的性質が特殊な化学物質等で,高エネルギーを内在するものが使用される状況にかんがみ,これらの物質の安全な貯蔵,取扱い及び輸送の基準作成に資するとともに,適切な危険性評価方法の確立を実施した。

(2)多様な防火対象物における総合防火安全評価基準に関する調査研究

 消防庁においては,防火対象物の大規模化,複雑化,利用形態の高度化・多様化が進むとともに,新技術・新素材等の円滑な導入や弾力的運用による性能的・経済的メリットの高いシステムが開発されており,技術基準の性能規定化が消防の分野においても求められている状況にかんがみ,防火対象物の火災危険性に応じた防火安全対策を講じることを目的として,総合的な防火安全性能について種々多様な状況に応じて適切に評価を行うための検証法・基準に関する調査研究,実証実験等を行った。
 (国費 118,688千円)

(3)消防防災科学技術研究推進制度(競争的研究資金制度)の促進

 消防庁においては,消防防災科学技術の振興を図るため,消防防災技術に係る競争的研究資金制度により,産学官の連携,地方公共団体における研究等,消防防災科学技術に係る総合的な研究を積極的に促進した。 
(国費 299,744千円)

(4)燃料電池実用化に対応した防火安全対策のあり方に関する調査研究

 消防庁においては, 燃料電池の実用化・普及に備え, ①燃料電池自動車について, 火災性状の把握, 燃料電池自動車の火災を想定した駐車場の消火実験等を踏まえ,燃料電池自動車用駐車場に係る消火設備等のあり方等についての検討を行った。②家庭用燃料電池構造, 機能, 特性等から考えられる火災危険要因を踏まえ, 安全確保に必要な技術基準等を検討し,その整備を図った。
 (国費 20,163千円)

(5)森林火災に関する研究

 独立行政法人森林総合研究所においては,林野火災対策として,林内可燃物の含水率と日射量の関係に関する研究を行った。

(6)特殊な火災外力に関する研究

 独立行政法人建築研究所においては,駐車場空間及びトンネル空間における特殊な火災性状を明らかにするとともに,その対処方法など火災安全性に関する知見を蓄積し,防災安全性評価手法を作成した。

(7)市街地火災の延焼シミュレーションモデル

 独立行政法人建築研究所においては,市街地火災の延焼を防止するために,火炎からの放射伝熱及び熱気流からの対流伝熱による延焼について研究し,現象解明を行った。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.