6−4 平成16年(2004年)新潟県中越地震災害の復興対策



6−4 平成16年(2004年)新潟県中越地震災害の復興対策

 平成16年10月23日17時56分頃に発生した新潟県中越地震による被害は,死者59名,負傷者4,805名(重傷636名,軽傷4,169名),住宅の全壊3,175棟,避難民は最大10万人規模となる甚大なものであった。政府においては,平成16年10月24日に災害対策基本法に基づく非常災害対策本部(平成16年新潟県中越地震非常災害対策本部,本部長:防災担当大臣)を設置した。同日に第1回本部会議を開催し,防災担当大臣を団長とする政府調査団を新潟県に派遣することなど,被害の状況に応じて万全の体制を期すること等の決定事項に基づいた災害応急対策に関する基本方針を決定し,平成16年11月19日までに21回にわたって本部会議が開催された。また,平成16年10月25日には現地連絡調整室を現地支援対策室に格上げし,内閣府副大臣や内閣府政務官を派遣し,平成16年12月3日に閉鎖されるまで現地支援を実施した。平成16年11月19日には,災害復旧及び災害からの復興を支援するため,内閣府副大臣を議長とする「新潟県中越地震復旧・復興支援会議」を設置し,本会議において,平成16年度補正予算で災害対策費として,約3,000億円を計上し,さらに,3,000億円規模で10年間に600億円程度の運用益を見込む復興基金の造成に必要な地方債の許可とその利子支払額に対する交付税措置を行うこととした。
 さらに,全村避難を余儀なくされた山古志村への復旧・復興支援については,内閣府に「山古志村復旧・復興支援関係省庁連絡会議」を設置し,帰村に向けた復旧・復興支援策について検討し,平成17年3月に山古志村復旧・復興支援プログラムをとりまとめた。また,新潟県において,平成17年8月9日に「新潟県中越大震災復興計画」を取りまとめている。
 なお,現在も引き続き行われている主な復興事業等については以下のとおりである。
(1)道路施設の復旧事業
 地震直後,国・県道の幹線道路での全面通行止めは延べ241箇所にのぼり,61集落を孤立させる大きな被害となった。更に被災地は有数の豪雪地帯であるため,冬に備えた降雪期までの1ヵ月間での道路の応急復旧が大きなテーマとなった。直轄国道は降雪期前に応急復旧を終える一方,県と市町村管理道路では重要路線に絞って応急復旧に取り組み,県管理道路の全体被災970箇所のうち746箇所,市町村管理道路の1,723箇所のうち423箇所を完了させ,冬期の道路交通を大きな混乱なく確保した。被災地は記録的な豪雪に見舞われたため,復旧工事は足踏みを余儀なくされているが,平成17年度末時点での進捗は県,市町村とも全箇所で着手し,そのうち概ね半分程度が完了している。
(2)土砂災害対策事業
 一級河川芋川流域において多数の河道閉塞が発生したため,国土交通省,新潟県,新潟大学の学識経験者らによる緊急調査チームを設置し,応急対策等の検討を実施した。現在,国土交通省の直轄砂防事業として復旧中である。この芋川流域において既に新潟県が実施している地すべり対策事業に加えて,平成18年度から新たに直轄地すべり対策事業も実施する。
 新潟県中越地震による砂防関係の公共土木施設の被災及び災害関連緊急事業等については,国,県,市町村事業併せて205箇所を採択し復旧に向け実施中である。なお,災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業及び災害関連地域防災がけ崩れ対策事業に関しては補助要件を緩和し,特例適用により実施している。
(3)農地・農業用施設の復旧事業
 被災直後作付けに影響があった水田面積は被災地域の約4割,1万haに及んだが,農地・農業用施設災害復旧事業等により,平成18年春の作付け不可能面積は概ね350haにまで縮減した。
(4)住宅対策
 災害救助法に基づく応急仮設住宅を13市町村(地震発生当時)に3,460戸建設し,平成17年3月31日時点では2,935世帯,9,649人が入居していたが,平成18年3月31日現在で2,371世帯,7,572人まで減少した。また,災害救助法による住宅の応急修理は5,814世帯について実施した。
 特に被害の大きかった長岡市,小千谷市,北魚沼郡川口町及び十日町市では,災害により住宅を失った低額所得者のためのり災者公営住宅を合わせて335戸整備する予定(平成18年3月31日現在)であり,243戸が着手済みで,そのうち80戸が完成した。また,被災者を優先的に入居させる予定の通常の公営住宅も長岡市(旧栃尾市)及び魚沼市で,合わせて41戸整備する予定で,そのうち21戸が着手済みである。そのほか川口町で,被災した公営住宅の復旧事業として16戸を整備中である。
 また,災害により住家が全壊した世帯等に対して,被災者生活再建支援法に基づき,平成18年3月31日現在3,159世帯に対し約34億7千万円の支援金を支給したのをはじめ,生活資金の貸付や給付において各種支援を行った。
(5)集落再生事業
 今回の地震による災害が発生した地域のうち,住民の居住に適当でないと認められる区域内の住居の集団的移転を促進するため,平成17年度に長岡市,小千谷市,川口町が,「防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律」に基づく防災集団移転促進事業計画を策定し(3市町合計で108戸の住居移転),移転先の住宅団地の整備等を行うことによって,コミュニティの維持・再生を進めている。なお,川口町小高地区では,同事業の施行に合わせ小規模住宅地区改良事業を実施し,住宅の集団的建設を行う。
 また,甚大な被害を受けた長岡市山古志地域では,いまだに避難指示が継続している6集落において,集落再生計画の策定が進められている。
(6)特定非常災害の指定
 特定非常災害の被災者の権利利益の保全等を図るための特別措置法に基づき,「平成十六年新潟県中越地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」により新潟県中越地震による被害を特定非常災害として指定し,行政上の権利利益の満了日の延長,期限内に履行されなかった行政上の義務の履行の免責,法人の破産手続開始の決定の特例に関する措置を適用した。さらに,同政令の一部を改正する政令により,長岡市,柏崎市,小千谷市,十日町市,見附市,栃尾市,魚沼市,北魚沼郡川口町,刈羽郡刈羽村及び同郡西山町の10地区に係る民事調停法による調停の申立ての手数料を免除する措置を講じた。
(7)激甚災害の指定
 今回の地震による災害で,特に中小企業者に甚大な被害が生じた長岡市,小千谷市,十日町市,越路町,山古志村,川口町及び川西町(いずれも旧市町村名)の区域については,平成16年12月1日に,激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づく局地激甚災害として指定し,平成17年5月31日を期限として中小企業信用保険法による災害関係保証の特例措置を講じ,平成17年5月には,その期限を半年間延長した。このうち,旧山古志村の区域においては,特例措置の適用期限を,平成18年12月29日まで延長した。
(8)税制改正
 平成18年度税制改正において,新潟県中越地震災害により滅失・損壊した家屋及び償却資産に代わるものとして一定の被災地域内で取得する家屋及び償却資産に係る固定資産税又は都市計画税について,最初の4年間2分の1減額する措置を,地震発生日(平成16年10月23日)から平成21年3月31日までの間に取得したものに対し講ずることとした。

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