3−6 台風第16号



3−6 台風第16号

(1)災害の状況
 台風第16号は,8月19日21時にマーシャル諸島付近の海上で発生,その後日本の南海上を北西に進み,29日には奄美大島の東の海上で進路をやや北よりに変えた。30日朝,大型で強い勢力で鹿児島県に上陸し,ゆっくりとした速度で九州,中国地方を縦断し,30日夜に日本海に達し北東に進んだ。31日昼過ぎには北海道に再上陸し,31日夕方にはオホーツク海に抜け,その後,温帯低気圧となった。台風がゆっくりとした速度で進んだため,長時間にわたって暴風,高波,大雨の状態が続き,九州,四国及び近畿地方の各地で500mmを越える大雨や記録的な風を観測した。また,一年を通して最も潮位が高い時期でもあったことから,記録的な高潮となったところもあった。
 この台風により,死者14名,行方不明者3名,負傷者288名,住家全壊35棟,住家半壊133棟,住家一部破損8,909棟,床上浸水14,565棟,床下浸水32,266棟の被害が発生したほか,最大189,619人に避難指示・勧告が出された。
 土砂災害については,土石流27件,地すべり8件,がけ崩れ83件発生した。
 河川については,多数の河川で警戒水位を超え,一部は危険水位に達し,各地で浸水被害等が発生した。
 また,記録的な潮位による高潮により香川県高松市等で浸水被害が発生した。
 ライフライン関係においては,北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州電力管内で延べ約2,516,000戸が停電となったほか,ガスについては高知県内で約1,300戸が供給停止,上水道については10,720戸が断水した。電気通信関係では,宮崎県や高知県等の約3,729回線の電話が不通となったほか,携帯電話基地局1,004局が停波した。
 道路については,高速自動車国道,国道等1,450か所で通行規制が行われ,鉄道については,全国各線で雨量規制等のために運休が発生した。
 公共土木施設では,河川1,837か所,海岸122か所,砂防施設等128か所,道路(橋梁を含む)2,817か所,港湾128か所,下水道22か所,公園33か所で被害が発生した。
 農林水産業関係では,農地4,934か所,農業用施設3,828か所,林地等542か所,林道等3,980か所,漁港200か所に被害が発生した。
 文教施設等では,国立学校施設37校,公立学校施設866校,私立学校施設117校,社会教育・体育施設124施設,文化財等144件,研究施設等1施設に被害が発生した。
 社会福祉施設等では,老人福祉施設10か所,児童福祉施設135か所,障害者施設11か所等に被害が発生した。

(2)国等の対応状況
 9月2日16時30分より,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を開催し,災害対策に万全を期すことを確認した。さらに,9月6日に関係省庁合同現地調査団12府省庁29名を香川県及び岡山県に派遣した。
 また,香川県が8月30日,高松市,丸亀市,さぬき市,東かがわ市,庵治町,直島町,多度津町,坂出市,観音寺市,内海町,土庄町,牟礼町及び詫間町に,宮崎県が8月30日,高岡町及び椎葉村に,愛媛県は8月30日,大洲市に,岡山県が8月30日,岡山市,倉敷市,玉野市,笠岡市,日生町,牛窓町,邑久町,寄島町及び備前市に災害救助法を適用した。
 さらに,被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援金支給制度を適用日8月30日として,岡山県倉敷市,笠岡市,玉野市及び寄島町,香川県坂出市及び観音寺市,愛媛県大洲市に適用した。
 さらに,11月5日閣議決定・同月10日公布・施行の,「平成十六年八月二十七日から同月三十一日までの間の豪雨及び暴風雨による災害についての激甚災害並びにこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」により激甚災害として指定し,公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助,農地等の災害復旧事業等に係る補助の特例措置等を適用した。加えて,11月5日閣議決定,同月10日公布・施行の「平成十六年八月十七日から九月八日までの間の天災による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」により激甚災害として指定し,天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置の特例を適用した。
 内閣府は,8月29日19時,情報対策室を設置し,関係機関から情報収集を行うとともに,官邸,関係省庁との情報連絡を行った。
 警察庁においては,8月30日5時,「災害警備連絡室」を設置して,関連情報の収集及び関係機関との連絡調整等に当たった。また,機動警察通信隊は通信施設の監視を強化した。
 防衛庁は,岡山県,香川県,熊本県,宮崎県,鹿児島県の各知事及び第六管区海上保安本部長からの災害派遣要請を受け,8月30日から9月12日までに人員約2,300名,車両約740両,航空機6機により,孤立者の救出活動,行方不明者の捜索活動,給水支援,防疫活動及び座礁船乗組員の救出等を実施した。
 消防庁は,8月30日6時,災害対策室を設置し,関係機関との連絡調整に当たった。
 総務省は,8月29日19時30分,省内及び関係事業者との情報収集体制を整備,9月16日,高松市において,特別総合行政相談所を開設した。また,岡山県倉敷市,玉野市,笠岡市,寄島町,香川県坂出市,観音寺市及び愛媛県大洲市に対し,9月22日,11月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰上げて交付した。
 文部科学省は,新潟・福島豪雨に際し設置した災害情報連絡室において引き続き対応した。
 厚生労働省は,8月30日9時,省内関係局庁の連絡体制を整備した。
 農林水産省は,8月27日14時,省内関係局庁連絡会議を開催した。
 資源エネルギー庁は,電気及びガス料金の支払期限の延長等の災害特別措置を認可した。
 中小企業庁は,9月1日,岡山県,香川県,愛媛県,宮崎県及び広島県(9月9日追加)の政府系中小企業金融機関,信用保証協会,主要商工会議所,商工会連合会及び中国,四国,九州の各経済産業局に対し,災害に係る特別相談窓口設置を指示するとともに,政府系中小企業金融機関に災害復旧貸付の適用,政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に被災中小企業の実情に応じた対応を指示した。また,10月29日,岡山県9市町,香川県13市町,愛媛県1市について,信用保証協会のセーフティネット保証(4号)の対象として指定(官報告示)した。
 国土交通省は,8月28日21時15分に警戒体制をとり,排水ポンプ車,照明車等を現地に派遣した。
 気象庁は,防災関係機関や住民に対して適宜適切に防災気象情報を提供した。

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