2-2 首都直下地震の被害想定



2−2 首都直下地震の被害想定

(1)首都直下地震の切迫性
 我が国の政治,経済,文化等の高度かつ中枢的な機能が集中している首都東京のエリアにおいては,過去,1923年の関東大震災をはじめ,マグニチュード8クラスの海溝型の巨大地震が200〜300年程度の周期で発生している。
 次のマグニチュード8クラスの地震が発生するのは100年以上先と考えられるが,これまで,マグニチュード8クラスの地震の間にマグニチュード7クラスの直下地震が数回発生しており,マグニチュード7クラスの直下地震の切迫性が指摘されている。

首都直下地震の切迫性

(2)首都直下地震の被害想定
 このため,中央防災会議に設置された専門調査会において,首都直下地震対策に係る被害想定について,平成15年9月より積極的な議論が重ねられ,平成16年11月に震度分布等が,同年12月及び本年2月に被害想定結果が公表された。
 同専門調査会では,首都直下で18ケースの地震を想定し,その震度分布等をもとに被害想定を行った。中でも蓋然性が高いと考えられる東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震では,最大で,死者数約1万1千人,建物全壊棟数約85万棟,経済被害は国家予算の約1.4倍に及ぶ約112兆円という甚大な被害となっている。
 その主な特徴は次のとおりであり,各種の中枢機能が集積する首都地域の特性を反映した被害想定結果となった。
[1]発災時刻や風速によって火災による建物や人的被害が極めて多い場合があり,最大で,建物全壊棟数の77%,死者数の55%が火災による被害となっている。
[2]経済被害のうち,全国に影響が波及する間接的な被害額が約4割を占める。
[3]就業者,通学者や買い物客等で交通の途絶により帰宅までの距離が遠く徒歩による帰宅が困難となる帰宅困難者が1都3県(東京都,埼玉県,千葉県,神奈川県)で最大約650万人発生する(1都3県の常住人口の約2割)。

首都直下地震の被害想定の概要

 さらに,注意しなければならないのは,この被害想定は,過去のデータに基づき一定の仮定の下で算出したものであり,定量評価が困難な課題が残されていることである。例えば,長周期の地震動が発生した場合の超高層ビル等への影響,細街路の道路閉塞による消火活動や避難生活の阻害,鉄道事故での対向列車との衝突,大規模な集客施設におけるパニックの発生,さらには,金利,株価等の変動による経済活動への影響が挙げられ,さらなる調査研究が求められる。
 今後,同専門調査会において,この被害想定を踏まえ,首都の中枢機能の継続性の確保,大規模な発生が予想される火災対策,大規模な避難者,帰宅困難者対策といった首都直下地震特有の課題を中心に対策の検討が進められ,本年夏頃を目途に報告がとりまとめられる予定である。この報告をもとに,首都直下地震対策の大綱を策定するとともに,地震防災戦略を策定することとしている。



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