商店街は,流通の構造変化やモータリゼーションに伴う空洞化等の影響を受け,衰退の兆しがあるが,商店街に人の賑わいを取り戻すためには,ただ,従来どおり商品を並べるだけでなく,人々に関心をもって集まってもらうための何らかの仕掛けが必要となっている。ここでは,その仕掛けとして,リサイクル運動からスタートして,環境,福祉,防災等の地域の人々が共通に関心を持つことがらについて,ユニークな取り組みを行っている早稲田商店会を紹介する。
3−3 商店街
早稲田商店会は,近隣の商店会と連携して,「空き缶・ペットボトルを回収機に投入すると,商店街の割引チケット等のプレゼントが当たる」というリサイクル運動をスタートさせた。この「楽しく,店も客も儲かる」ことを目的としたリサイクル運動は全国50の商店街に広がり,「全国リサイクル商店街サミット」を開催するまでに至っている。
更に,商店会のメンバーは,「早稲田いのちのまちづくり実行委員会」に,早稲田大学の学生,教職員,行政,住民団体,身体障害者団体等とともに参加し,リサイクル分野にとどまらす,バリアフリー等の地域福祉,地域教育,情報化,防災対策といった地域の様々な共通の課題について,積極的に取り組んでいる。
このような広範な活動の中で生まれてきたのが,震災対策を通じた地域交流という「震災疎開パッケージ」というアイデアである。
今後とも,多種,多様な業種,人材,ノウハウを有する商店街は,地域コミュニティにおいて中核的な役割を果たすことが期待されている。
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