3−4 台風第11号
(1) 災害の状況
平成13年8月13日21時,マリアナ諸島の東海上で発生した熱帯低気圧は,14日21時に同海域で台風第11号となった。台風は21日午後7時過ぎに,大型で強い勢力を保ったまま和歌山県南部(田辺市付近)に上陸した後,本州の太平洋岸をゆっくり進み,23日昼頃には三陸沿岸で熱帯低気圧に変わった。
この台風の影響で,8月20日から23日にかけて四国から北海道にかけての太平洋側の広い範囲で大雨となった。この期間,紀伊半島の和歌山県,奈良,三重県では総降水量が600mmを超え,奈良県上北山村では21日に日降水量789mmを記録した。
この台風により,死者6名,負傷者29名,住家の半壊及び一部損壊160棟,床上浸水299棟,床下浸水894棟の被害が発生した。
ライフライン関係においては,北海道電力管内から四国電力管内にかけて延べ約113,300戸が停電となったのをはじめ,上水道についても岐阜県で25戸,奈良県で30戸が断水となった。電気通信関係では,NTT西日本において和歌山県内の通信規制が実施されたほか,関東,東海,関西地方の携帯電話基地局12局が停波した。また放送関係では,三重県・和歌山県内の日本放送協会及び三重県・岡山県内のその他の放送事業者の中継局が停電により停波した。
河川については,新宮川水系相野谷川の越水により三重県紀宝町で浸水被害があった。また法面崩壊等により国道及び県道で46か所が通行止めに,冠水等により県道で41か所が通行止めとなった(8月23日16時現在)。土砂災害については,がけ崩れ,地すべり,土石流等合わせて全国で22件発生した。
農林水産業関係では,農地500か所,農業用施設479か所,治山施設22か所,林地190か所,林道1,278か所,漁港等17か所及び水稲を中心とした農作物等に被害が発生した。
(2) 国等の対応状況
内閣府においては,関係機関と情報収集及び情報連絡を行った。
消防庁では,8月20日11時30分全都道府県に対して台風警戒情報を送付し警戒を要請,同日13時第1次応急体制をとった。
文部科学省では,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,臨時休校等適切な対応をとるよう指示した。
国土交通省では,8月19日13時20分注意体制とし,21日6時30分警戒体制をとった。
政府は,今回の災害について「平成13年8月20日から同月22日までの間の豪雨及び暴風雨による災害(台風第11号)」として局地激甚災害の指定を行った (表1−3−2) 。
(表1−3−2)平成13年局地激甚災害適用措置及び対象区域
