表示段落: 第3部/第4章
第4章 国土保全
1 河川事業
国土交通省においては,第9次治水事業七箇年計画に基づき,5年度となる平成13年度は,大規模放水路等の治水事業を始めとして,基幹大河川の整備を重点的に実施し,近年激甚な災害が発生した河川についての再度災害の防止対策や慢性的な床上浸水被害の解消を図る治水対策を推進する。また,常襲的な浸水被害を防止するための中小河川の整備や内水対策を推進する。
このほか,住宅宅地供給や下水道整備等とあいまって,流域が一体となった総合的な治水安全度の向上を図るための河川事業及び超過洪水等に備える危機管理対策等を推進する。
また,都市化の進展等に対処し,水害の防止を図るため,市街化地域等に関連する都市河川の治水対策を重点的に推進するとともに,安全で快適な生活環境の実現等を図るため,まちづくりと一体的な河川整備を推進する。特に,床上浸水被害が頻発している地域に関する河川のうち,特に対策が必要な河川を対象とした床上浸水対策特別緊急事業,全国の都市域のゼロメートル地帯等において,高潮・津波対策等を実施する低地対策河川事業,流域の保水・遊水機能の維持増進,水害に対して安全な土地利用の誘導等と併せて,治水施設を総合的・計画的に整備する総合治水対策特定河川事業等を引き続き実施する。
さらに,周辺の環境に対し河川環境が著しく劣悪な市街地等の中小河川において,河岸の緩傾斜化,多自然化等を行う河川再生事業,市が施行主体となって地域に密着した河川整備を実施する都市基盤河川改修事業,周辺の市街地整備等と一体となり,安全かつ良好な水辺空間の創出を図る特定地域堤防機能高度化事業等を実施する。
平成13年度予算額 (649,263百万円)
平成12年度予算額 (663,608百万円)
差引増△減 (△14,345百万円)
1-1 河川事業
(1) 直轄事業
a 直轄河川改修事業
(a) 一般河川改修
基幹大河川の整備では,一般河川117河川及び北海道の指定河川3河川について改修を実施する。
(b) 総合治水対策特定河川改修
流域における保水,遊水機能の確保のための各種流域対策と併せて治水施設を計画的,総合的に整備する必要のある5河川の改修を実施する。
(c) 特定構造物改築事業
老朽化が著しく,施設機能に著しい障害を生じている大規模な河川管理施設及び流下能力を著しく阻害している大規模な許可工作物の改築を18施設について実施する。
(d) 高規格堤防(スーパー堤防)整備事業
6河川の区間において,破堤による壊滅的被害の防止を図るため幅の広い堤防を築造し,併せて水辺を生かした良好な市街地環境の形成を図る。
(e) 水防対策特定河川事業
連続堤防による治水対策に代えて,集落を輪中堤や宅地嵩上げ等で効率的に短期間で整備する必要のある7河川について実施する。
b 直轄床上浸水対策特別緊急事業
床上浸水被害が頻発しており,特に対策を促進する必要のある10か所について,総合的な治水手法を集中的に実施する。
c 直轄河川維持修繕
直轄河川において,従前の機能を保持するために必要な維持修繕を行う。
d 直轄河川工作物関連応急対策事業
堰,水門,橋梁等工作物の附属施設又は関連施設である護岸,擁壁,護床工,又は門扉等について,前後の一連区域の治水機能に比較して,工作物周辺の治水機能が劣っているものについて,応急的に改良及び新増設の改善措置を図る。
e 直轄流水保全水路整備事業
直轄河川のうち,流入支川等の水質汚濁が著しく,適切な水利用に支障が発生すると認められる河川の区間について,水質保全を図るため,新たな低水路等を整備する。
f 直轄消流雪水導入事業
消流雪用水を導入するための水路等の整備を5か所において実施する。
g 直幹河川災害復旧等関連緊急事業
上流部での災害復旧等による下流部での流量増への対策を機動的,集中的に実施する必要がある10河川において実施する。
h 直轄河川激甚災害対策特別緊急事業
浸水家屋2,000戸等に相当する洪水被害を生じた直轄河川で,再度災害を防止するため,改修工事を3河川について実施する。
(2) 補助事業
a 河川改修事業
(a) 河川改修
指定区間内の一級河川及び二級河川において,特に近年災害を受けた河川を重点的に河川改修工事を実施する。
(b) 水防災対策特定河川事業
宅地等のかさ上げ及び輪中堤等の築堤により早期に治水効果を上げる事業を3か所において実施する。
(c) 耐水型地域整備事業
氾濫水による破滅的な被害を受けやすい地域において,まちづくりと一体となった氾濫流制御施設の整備を2か所において実施する。
(d) 鉄道橋梁緊急対策事業
洪水の疎通能力が著しく不足しており早急に対策を図らなければならない鉄道橋梁の改築の改築を6か所において実施する。
(e) 情報基盤緊急整備事業
降雨,水位情報等,都道府県の各種観測施設及びデータ収集処理施設の整備を実施する。
b 床上浸水特別緊急対策事業
床上浸水被害が頻発しており,特に対策を促進する必要のある13河川について,総合的な治水手法を集中的に実施する。
c 河川修繕
指定区間の一級河川における河川管理施設等の修繕を行う。
d 河川災害復旧等関連緊急事業
上流部での災害復旧等による下流部での流量増への対策を21河川において実施する。
e 河川激甚災害対策特別緊急事業
激甚災害対策特別緊急事業を実施する。
f 総合河川整備事業
治水上等の影響が小さい河川工事を地域で裁量的に実施する。
1-2 都市河川事業
(1) 直轄事業
直轄河川環境整備事業を霞ヶ浦等122河川(うち新規5河川)について実施する。
(2) 補助事業
a 都市河川改修事業
広域河川改修事業として139河川,局部改良事業として33河川について実施する。
b 総合治水対策特定河川事業
17河川について実施する。
c 都市基盤河川改修事業
169河川(うち新規4河川)について実施する。
d 都市水防災対策事業
1か所について実施する。
e 調節池整備事業
11河川について実施する。
f 流域貯留浸透事業
37河川(うち新規3河川)について実施する。
g 低地対策河川事業
30地区について実施する。
h 特定地域堤防機能高度化事業
7河川について実施する。
i 河川環境整備事業
47河川について実施する。
j 床上浸水対策特別緊急事業
12河川(うち新規3河川)について実施する。
k 準用河川改修事業
314河川(うち新規8河川)について実施する。
2 河川総合開発事業
国土交通省においては,国土の総合的な保全及び整備を図るための洪水調節等の治水対策と併せて,今後見込まれる水需要の増大への適切な対処に不可欠な水資源を確保するため,渇水頻発地域における渇水対策等に資する多目的ダム,流況調整河川,治水ダムの建設,湖沼の開発等を実施する。
平成13年度予算額 (324,953百万円)
平成12年度予算額 (337,235百万円)
差引増△減 (△12,282百万円)
2-1 直轄事業
74事業(建設工事58事業,実施計画調査16事業)について実施する。
2-2 補助事業
123事業(建設工事101事業,実施計画調査22事業)について実施する(休止事業を除く)。このほかに生活貯水池68箇所の建設工事を実施する(休止事業を除く)。
2-3 水資源開発公団事業
10事業(建設工事8事業,実施計画調査2事業)について実施する。
3 砂防事業
国土交通省においては,第9次治水事業七箇年計画に基づき,土砂災害対策を強化するため,緊急土砂災害防止対策,高齢者等の災害弱者対策,都市山麓グリーンベルト整備事業,重要交通網集中地域等に係る土砂災害対策事業等のハード対策を推進する。
ソフト対策としては,土砂災害予警報システム等の整備や土砂災害危険区域図及び活火山におけるハザードマップの作成・公表支援やダイレクトメールによる危険箇所の周知など適切な警戒避難体制の確立に向けた各種施策を推進する。
また,砂防設備の整備にあたっては,地域の活性化や自然環境との調和に配慮するとともに,総合的な流木災害防止緊急対策等の他省庁との連携,公共工事に係るコスト縮減の推進,砂防ボランティアとの連携等により効率的・効果的な整備を目指す。
特に平成13年度は,土砂災害防止施設によるハード対策とともに,ソフト対策として,土石流や斜面の監視カメラ,GPS等による斜面監視等の機器及びそれらの災害情報を伝達するための光ファイバー網の整備などITを活用した土砂災害対策を実施する。
また,迅速な避難が困難なことにより土砂災害の犠牲になりやすい高齢者,幼児などの災害弱者を守る土砂災害対策を重点的に実施する。
平成13年度予算額 (189,801百万円)
平成12年度予算額 (194,741百万円)
差引増△減 (△4,940百万円)
3-1 直轄事業
34水系について,重荒廃地域,火山地域,都市地域等に重点をおいて事業を実施する。
3-2 補助事業
a 通常砂防事業
近年の災害による荒廃の著しい溪流や土石流の発生により人命,財産に大きな被害を及ぼす危険性の高い溪流及び都市地域等に重点を置き,事業を実施する。
また,情報基盤緊急整備事業によりテレメータ雨量計やワイヤセンサーなどの観測機器や,これらのデータを処理する監視装置,情報の伝達等に関する機器の設置,及びこれらを統合する土砂災害警戒避難システムの整備を推進する。
さらに,平常時から災害時を通じて,住民と行政機関が土砂災害関連情報を相互通報する土砂災害情報相互通報システム整備事業を実施する。
b 火山砂防事業
火山地,火山麓地,又は火山現象により著しい被害を受ける恐れのある地域における,泥流,土石流等に関する対策を実施する。
また,警戒避難体制を整備する火山噴火警戒避難対策事業を実施する。
c 砂防環境整備事業
砂防設備が整備され,直接的な土砂災害のおそれがなくなり,特に環境整備が必要とされる溪流,すぐれた自然,歴史環境をもつ地域等の溪流等において周辺の地域環境に相応しい良好な溪流を保全・創出する事業の推進を図る。
d 砂防設備修繕事業
老朽化した既設の砂防設備の修繕を行うことにより,機能回復を図り,災害の発生を未然に防止することを目的として事業を実施する。
e 砂防激甚災害対策特別緊急事業
平成11年6月末梅雨前線豪雨により,広島市を中心に土石流が多発した。この様な災害に対処するため,広島市において砂防激甚災害対策特別緊急事業により再度災害防止のための対策工事を推進する。
f 特定緊急砂防事業(特緊砂防)
土石流により人的被害,家屋被害等が発生した地区について,同規模の土石流が再び発生した場合でも安全が確保されるよう,災害関連緊急事業と一体的かつ緊急的に対策を実施する。
g 火山砂防激甚災害対策特別緊急事業
平成12年度は,有珠山および三宅島において火山の噴火活動による火山泥流や土石流等により,甚大な災害が発生した。
このため,火山活動により激甚な災害が発生した一連地区において,広域的かつ大規模な土砂災害に対処するため平成13年度より事業を創設し,一定期間内(概ね5年)に緊急的かつ機動的な火山災害防止対策を実施する。
h 砂防関係基礎調査補助
「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)が平成13年4月より施行されたことに伴い,土砂災害警戒区域等の指定等を目的とする基礎調査に対し,平成13年度より補助制度を創設し総合的な土砂災害対策を推進する。
4 急傾斜地崩壊対策事業
国土交通省においては,各地で台風,集中豪雨,地震等によりがけ崩れ災害が多発している事態をふまえ,第4次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画に基づき急傾斜地崩壊防止施設の整備を強力に推進する。
平成13年度予算額 (47,563百万円)
平成12年度予算額 (49,411百万円)
差引増△減 (△1,848百万円)
a 補助事業
災害発生箇所等の施設整備を推進するとともに,土砂災害の犠牲者となりやすい高齢者,幼児などの災害弱者に関連した施設を保全対象に含む急傾斜地崩壊危険箇所等を重点的に整備する。
また,急傾斜地崩壊危険箇所の増加を抑制するため,急傾斜地崩壊危険箇所の指定を促進するほか,関連諸施策との連携を図る。さらに,ボランティア団体と連携した「斜面カルテ」「土砂災害110番」の充実等,警戒避難体制の整備を促進する。
さらに,平常時から災害時を通じて,住民と行政機関が土砂災害関連情報を相互通報する土砂災害情報相互通報システム整備事業を実施する。
一方,斜面環境・景観を保全しつつ安全度を向上するため,既存樹木を活用した緑の斜面工法による斜面整備や危険な斜面の直下の土地を利用して崩壊土砂を捕捉するがけ崩れ緩衝樹林帯の整備を推進する。
b 急傾斜地崩壊対策事業調査
事業の効率的な執行を図るため,がけ崩れの警戒避難基準雨量の設定,避難支援並びに自然を生かした斜面安定化工法等に関する調査研究を行う。
c 砂防関係基礎調査費補助
「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)が平成13年4月より施行されたことに伴い,土砂災害警戒区域等の指定等を目的とする基礎調査に対し,平成13年度より補助制度を創設し総合的な土砂災害対策を推進する。
5 治山事業
農林水産省においては,災害に強い安全な国土づくり,水源地域の機能強化,豊かな環境づくりを基本方針とする「第九次治山事業七箇年計画」の5年度として緊急かつ計画的に治山事業を推進する。
特に近年の火山・地震災害や集中豪雨等に伴う激甚な山地災害の多発状況に対処するため,大規模な火山災害が発生した地域において,治山施設の整備,大規模な緑化等を集中的,総合的に行う火山治山激甚災害対策特別緊急事業を新たに実施するほか,荒廃地,荒廃危険地等の整備の積極的な実施や山地災害予知施設の設置を推進する。
また,森林が過密化し,山崩れや土砂,流木等の流出が発生するおそれのある水土保全機能が著しく低下した保安林について,本数調整伐等を積極的に推進する。
さらに,台風や集中豪雨によって上流部の森林から発生した流木が大量に流下し,下流部の集落が被災する事例が多発したことに対応するため,砂防事業との連携を強化し,上流部における森林整備や流木防止対策と下流部において流木を捕捉する透過型ダムの整備などを実施する。
平成13年度予算額 (168,030百万円)
平成12年度予算額 (171,593百万円)
差引増△減 (△3,563百万円)
5-1 国有林治山事業
国有林野内における治山事業を国費310億900万円をもって実施する。
5-2 民有林治山事業
(1) 直轄事業
a 治山事業
継続21地区について,民有林直轄治山事業を事業費109億4,043万円,国費81億7,900万円をもって実施する。
b 地すべり防止事業
後掲(4章6-1(1)c)
c 治山計画等に関する調査
治山事業の効果的な推進を図るため,山地保全調査,地すべり対策調査及び治山事業積算基準等分析調査を国費9,968万円をもって実施する。
(2) 補助事業
a 治山事業
荒廃地,荒廃危険地の復旧整備等を行うため,山地治山,防災林造成,保安林整備,保安林管理道整備,防災対策総合治山,水源地域整備及び環境保全保安林整備の各事業を事業費2,407億500万円,国費1,263億9,474万円をもって実施する。
b 治山激甚災害対策特別緊急事業
甚大な被害を受けた平成11年災害に係る2地区について,再度災害を防止する事業を29億7,288万円,国費15億9,758万円をもって実施する。
c 国有林野内補助治山事業
国有林野に係る治山事業のうち,集落,公共施設等と密接な関連を有する地域を対象とする事業を事業費19億8,139万円,国費10億円をもって実施する。
6 地すべり対策事業
6-1 直轄事業
(1) 農林水産省所管事業
農林水産省においては,次の事業を実施する。
平成13年度予算額 (11,452百万円)
平成12年度予算額 (10,884百万円)
差引増△減 (△568百万円)
a 直轄地すべり対策事業
継続8地区について,国費66億4,000万円をもって実施する。
b 農地地すべり防止対策計画基準調査
農地地すべり防止対策に係る計画基準について,最近の技術開発による調査・計画・設計手法を取り入れた基準の改定を図る調査を,国費2,100万円をもって実施する。
c 地すべり防止事業
継続11地区(直轄治山と重複している地区を含む。)について,民有林直轄地すべり防止事業を事業費61億354万円,国費47億1,300万円をもって実施する。
(2) 国土交通省所管事業
国土交通省においては,次の事業を実施する。
平成13年度予算額 (5,893百万円)
平成12年度予算額 (6,037百万円)
差引増△減 (△144百万円)
a 地すべり対策事業
継続12地区において事業を実施する。
また,GPS観測装置等によって地すべりの挙動を把握する地すべり監視モデル事業,広域情報伝達手段としての光ファイバー網の構築等を推進する。
b 地すべり調査
継続11地区において,地すべり機構の解明と,地すべり対策の計画・立案に資するための基礎的な調査を実施する。
6-2 補助事業
(1) 農林水産省所管事業
農林水産省においては,次の事業を実施する。
平成13年度予算額 (17,769百万円)
平成12年度予算額 (18,548百万円)
差引増△減 (△779百万円)
a 地すべり対策事業
農地,農業用施設に被害を及ぼすおそれのある地域のうち,緊急度が高くかつ事業効果の大きいものに重点を置き,事業費141億3,545万円,国費70億6,048万円をもって実施する。
b 地すべり防止事業
集落,公共施設等に被害を及ぼすおそれが大きくかつ緊急に対策を必要とする林地等について,事業費214億8,600万円,国費107億900万円をもって実施する。
(2) 国土交通省所管事業
国土交通省においては,次の事業を実施する。
平成13年度予算額 (17,929百万円)
平成12年度予算額 (18,596百万円)
差引増△減 (△667百万円)
a 地すべり対策事業
地すべりにより,人家,公共施設等に被害を及ぼすおそれが大きく,かつ,近年の豪雨等により被害のあった区域など緊急に対策を必要とする区域及び治水上影響が特に大きい区域,並びに老人福祉施設等の災害弱者施設を含む区域に重点を置き事業を実施する。
また,地すべり防止工事により排出される地下水の有効利用を図る特定地下水関連地すべり対策事業,より望ましい地すべり斜面空間利用の誘導を図る特定利用斜面保全事業,GPS観測装置等により警戒避難等ソフト対策に資する地すべり監視モデル事業等を推進する。
さらに,平常時から災害時を通じて,住民と行政機関が土砂災害関連情報を相互通報する土砂災害情報相互通報システム整備事業を実施する。
b 地すべり防止施設修繕事業
既設の地すべり防止施設の機能回復を図るための事業を実施する。
c 特定緊急地すべり対策事業(特緊地すべり)
地すべりにより人的被害,家屋被害等が発生した地区について同規模の災害が再び発生した場合でも安全が確保されるよう,災害関連緊急事業と一体的かつ緊急的に対策を実施する。
d 砂防関係基礎調査費補助
「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(土砂災害防止法)が平成13年4月より施行されたことに伴い,土砂災害警戒区域等の指定等を目的とする基礎調査に対し,平成13年度より補助制度を創設し総合的な土砂災害対策を推進する。
7 海岸保全事業
7-1 直轄事業
(1) 農林水産省所管事業
農林水産省においては,海岸保全施設整備事業を海岸事業調査費を含めて,国費45億6,300万円をもって実施する。
平成13年度予算額 (4,563百万円)
平成12年度予算額 (4,203百万円)
差引増△減 (360百万円)
(2) 国土交通省所管事業
国土交通省においては,全国23海岸において,直轄海岸保全施設整備事業,直轄海岸維持管理事業及び海岸事業調査を,国費197億8,700万円をもって実施する。
平成13年度予算額 (19,787百万円)
平成12年度予算額 (19,482百万円)
差引増△減 (305百万円)
7-2 補助事業
(1) 農林水産省所管事業
農林水産省においては,緊急度が高くかつ保全効果の大きい地区に重点を置き,海岸保全施設整備事業,海岸環境整備事業及び公有地造成護岸等整備事業を,事業費493億3,216万円,国費242億1,300万円をもって実施する。
平成13年度予算額 (24,213百万円)
平成12年度予算額 (25,617百万円)
差引増△減 (△1,404百万円)
(2) 国土交通省所管事業
国土交通省においては,緊急度が高くかつ保全効果の大きい海岸に重点を置き,海岸保全施設整備事業,海岸環境整備事業等を事業費1,071億1,808万円,国費517億8,170万円をもって実施する。
平成13年度予算額 (51,782百万円)
平成12年度予算額 (54,681百万円)
差引増△減 (△2,899百万円)
8 農地防災事業
8-1 直轄事業
a 国営総合農地防災事業等
農村地域の自然的社会的条件の変化により生じた農地,農業用施設の機能低下又は災害のおそれに対処するため農業用排水施設等の整備を行う事業を事業費431億2,607万円,国費328億2,344万円をもって実施する。
また,農地を取り巻く環境条件等に対応して,総合的な農地防災計画指針の策定のための調査等を,国費2,115万円をもって実施する。
8-2 補助事業
a 農地防災事業
洪水被害や土壤の侵食被害等を末然に防止し,農業生産の維持,農業経営の安定及び国土保全に資するため,防災ダム事業,ため池等整備事業,湛水防除事業,農地保全整備事業,中山間地域総合農地防災事業等について,事業費1,150億5,354万円,国費663億6357万円をもって実施する。
(注)
農地防災事業のうち,地すべり対策事業及び地盤沈下対策事業を除く。
b 地すべり対策事業
前述(4章6-2(1)a)
c 地盤沈下対策事業
後述(4章10(3))
9 災害関連事業
(1) 農林水産省所管事業
農林水産省においては,次のとおり災害関連事業を実施する。
平成13年度予算額 (4,753百万円)
平成12年度予算額 (4,846百万円)
差引増△減 (△93百万円)
a 直轄地すべり対策災害関連緊急事業
豪雨等による地すべりに緊急に対処する事業を,国費4,200万円をもって実施する。
b 農業用施設等災害関連事業
農業用施設等の効用を増加し,再度災害を防止するため,農業用施設等災害関連事業を事業費1億6,718万円,国費1億4,100万円をもって実施する。
また,農地等の再度災害を防止するため,農地災害関連区画整備事業を,事業費1億7,144万円,国費1億1,300万円をもって実施する。
さらに,農村生活環境施設の災害に対処するため,災害関連農村生活環境施設復旧事業を,事業費1億1,600万円,国費5,800万円をもって実施する。
このほか,地すべりに緊急に対処するため,災害関連緊急地すべり対策事業を,事業費1億400万円,国費5,200万円をもって実施する。
c 直轄治山等災害関連事業
再度災害を防止するため,豪雨等による土地の崩壊等に対処して緊急に荒廃林地等の復旧整備を行う事業を,国費7億3,300万円をもって実施する。
d 災害関連緊急治山等事業
再度災害を防止するため,豪雨等による土砂の崩壊等に対処して緊急に荒廃林地等の復旧を行う事業を,事業費30億8,475万円,国費19億9,600万円をもって実施する。
e 治山施設等災害関連事業
治山施設等の災害復旧事業と併せて行う治山施設等災害関連事業を,事業費1,200万円,国費600万円をもって実施する。
また,豪雨等による災害に対処するため,災害関連山村環境施設復旧事業を,事業費2,000万円,国費1,000万円をもって実施する。
f 林地崩壊対策事業
激甚災害の指定が行われた災害等により発生した小規模な山腹崩壊地の早期復旧を図るとともに,山地災害危険地区において発生した土砂の崩壊等の災害に緊急に対処する事業を,事業費1億9,699万円,国費9,100万円をもって実施する。
g 森林災害復旧事業
平成10年,平成11年発生の激甚災害による被害森林の復旧を図る事業を,事業費10億7,600万円,国費5億3,800万円をもって実施する。
h 漁港施設,海岸保全施設災害関連事業
漁港施設及び海岸保全施設の効用を増加し,再度災害を防止するための事業を,事業費144万円,国費100万円をもって実施する。
i なお,後進地域等における公共事業の実施を推進するため,後進地域特例法適用団体等補助率差額10億円を補助する。
(2) 国土交通省所管事業(港湾)
国土交通省においては,港湾施設及び海岸保全施設の効用を増加し,再度災害を防止するため,災害関連事業を事業費7,200万円,国費3,600万円をもって実施する。また,後進地域特例法適用団体等補助率差額1,000万円を補助する。
平成13年度予算額 (46百万円)
平成12年度予算額 (53百万円)
差引増△減 (△7百万円)
(3) 国土交通省所管事業(河川等)
国土交通省においては,河川等の災害関連事業を次のとおり実施する。
平成13年度予算額 (12,842百万円)
平成12年度予算額 (13,609百万円)
差引増△減 (△767百万円)
a 直轄河川等災害関連緊急事業
被災箇所の単独復旧のみでは効果が局限され,再度災害が繰り返される恐れがある場合において,災害復旧と併せて一定区間において改修計画に基づく改良事業を実施する。また,河川砂防設備,地すべり防止施設の改良復旧や豪雨等により生じた土砂の崩壊等に関連し,緊急的施行を必要とする砂防工事,地すべり防止工事を,国費17億円をもって実施する。
b 河川等災害関連事業
河川,海岸,砂防,地すべり,急傾斜,道路及び橋梁について,災害復旧事業のみでは十分な効果が期待できないと認められる箇所について,再度災害を防止するため,末被災箇所を含めた改良復旧を,事業費40億9,700万円,国費21億8,500万円をもって実施する。
c 河川等災害復旧助成事業
河川又は海岸について,被害が激甚であって災害復旧事業のみでは十分な効果が期待できないと認められる箇所について,再度災害を防止するため,未被災箇所を含めた改良復旧を,事業費74億6,200万円,国費37億5,500万円をもって実施する。
d 河川等災害関連特別対策事業
河川に係る災害復旧助成事業及び河川又は砂防に係る災害関連事業の改良復旧効果を確保するために,障害物等支障となる原因の除去を,事業費2,800万円,国費1,100万円をもって実施する。
e 河川等災害特定関連事業
河川,砂防設備及び道路の災害復旧に関し,災害発生の原因となった障害物の除去等を行うため,事業費1億8,300万円,国費9,200万円をもって実施する。
f 特定小川災害関連事業
河川の災害復旧に関連して,小規模な河川において,当該災害復旧事業箇所とこれに接続する未災箇所で,緩勾配護岸その他環境に配慮した護岸等の整備を,事業費200万円,国費100万円をもって実施する。
g 災害関連地域防災がけ崩れ対策事業
激甚な災害によるがけ地の崩壊等が発生した箇所で,緊急に施行する必要のある箇所についてがけ崩れ防止工事を,事業費4億4,600万円,国費2億2,300万円をもって実施する。
h 災害関連緊急砂防等事業
平成13年に発生する災害に関連して緊急的施行を必要とする砂防工事,地すべり防止工事,急傾斜地崩壊防止工事,雪崩防止工事及び大規模漂着流木対策工事を,国費24億9,600万円で実施する。
i なお,後進地域等における公共事業の実施を推進するため,後進地域特例法適用団体等補助率差額23億7,900万円を補助する。
10 地盤沈下対策事業
(1) 地盤沈下対策事業等
農林水産省においては,地盤沈下の防止のために水源の転換が必要な地区及び地盤沈下により生じた農地及び農業用施設の効用の低下を回復する必要であるもののうち,緊急度が高くかつ事業効果の大きい地区に重点を置き,事業費79億9,176万円,国費43億5,034万円をもって実施する。
(2) 地盤沈下防止対策事業等
経済産業省においては,地盤沈下防止のため,次の事業を実施する。
平成13年度予算額 (1,833百万円)
平成12年度予算額 (1,861百万円)
差引増△減 (△28百万円)
a 地盤沈下防止対策工業用水道事業
地下水に代わる水源としての工業用水道の整備を推進するため,建設2事業及び改築10事業につき,事業費80億5,412万円,国費17億6,180万円をもって実施する。
b 地下水利用適正化調査
地盤沈下等地下水障害の見られる地域等における,地下水の適正利用を推進するための地下水理解析,地下水の安全揚水量の算定等の調査,また,地下水利用対策協議会に対する指導の拡充を図るための自主規制の効果等に関する調査,既調査地域における地下水位観測を国費5,304万円をもって実施する。
c 地下水位観測調査
工業用水法に基づく指定地域における規制効果の測定を行うため,地下水位についての観測を国費513万円をもって継続的に実施する。
d 地域別工業用水使用合理化指導調査
水需給のひっ迫への対処及び,地盤沈下等地下水障害の防止を図るため,水使用合理化準則の策定と水使用合理化の指導を行う調査を国費658万円をもって実施する。
e 業種別工業用水使用合理化基礎調査
技術革新の進展等による各業種の質的変化及び先端産業の新展開に適切に対処するため,業種別に工業用水の動向及び最新実態を踏まえた合理化の方策を検討する調査を国費682万円をもって実施する。
(3) 地下水対策調査
国土交通省においては,濃尾平野,筑後・佐賀平野及び関東平野北部について,地盤沈下防止等対策要綱に基づく対策を推進するほか,関東平野北部地盤沈下防止対策要綱の見直しに向けての調査検討,地下水データベース構築・管理手法についての調査を実施する。
平成13年度予算額 (54百万円)
平成12年度予算額 (54百万円)
差引増△減 (0百万円)
(4) 低地対策河川事業等
国土交通省においては,次の事業を実施する。
a 低地対策河川事業(地盤沈下対策)等
地盤沈下による内水被害を防除するため,排水機場の設置等を実施する。
平成13年度予算額 [13,951百万円]
平成12年度予算額 [13,787百万円]
差引増△減 [164百万円]
(注)
[ ]書きは,4章1に計上したものの内数である(予算額については,(2)h低地対策河川事業に係るものであり,地盤沈下対策はこの内数として実施)。
b 地盤沈下対策調査
河川管理施設の沈下対策を検討するため,5河川で水準測量を実施する。
c 地下水保全管理調査
地下水を適正に保全,管理し,地盤沈下等の地下水障害を防止するための諸施策の立案に資するため,全国主要地下水域において,地下水の水位及び水質の観測を継続実施するとともに,水循環再生構想等策定のための調査を行なう。
平成13年度予算額 (30百万円)
平成12年度予算額 (30百万円)
差引増△減 (0百万円)
d 地盤沈下調査関連水準測量
国土交通省国土地理院においては,全国の主要地盤沈下地域において水準測量を行い,地方公共団体の行う調査結果と合わせて地盤沈下実態を明らかにする。
また,地盤沈下地域の地盤高図及び地盤沈下量図の作成資料を得るための簡易水準測量等を実施する。
平成13年度予算額 (18百万円)
平成12年度予算額 (18百万円)
差引増△減 (0百万円)
(5) 地盤沈下対策調査
環境省においては,地盤沈下防止等対策要綱に基づく施策の推進及びその他の地盤沈下対策のため,次の調査を実施する。
平成13年度予算額 (64百万円)
平成12年度予算額 (45百万円)
差引増△減 (19百万円)
a 地盤沈下監視測定調査
地下水採取規制地域等における地盤沈下の監視測定のため,地盤高,地下水位の変動状況及び地質の調査を事業費1億1,058万円,国費3,686万円をもって実施する。
b 地下水揚水量等実態調査
地盤沈下地域及びそのおそれのある地域については,地下水揚水量等の実態調査及びその解析を,国費732万円をもって実施する。
c 深層地下水採取における地盤沈下機構解明調査
深層地下水(鮮新世の地層)の採取の増加による地盤沈下の発生が懸念されているため,その機構を解明し,必要な対策手法を検討する調査を,国費1,911万円をもって実施する。
11 その他の事業
(1) 自然災害防止事業債等
総務省においては,地域防災計画に掲げられている災害危険区域において,地方公共団体が災害の発生を予防し,又は災害の拡大を防止するために単独で実施する事業について,自然災害防止事業債を措置することとしており,779億円を予定している。また,地方公共団体が単独事業として実施する河川管理施設又は砂防設備に関する工事その他の治山治水事業等について,臨時河川等整備事業債を措置することとしており,1,355億円を予定している。
(2) 保安林整備管理事業
農林水産省においては,保安林整備臨時措置法の規定により策定された保安林整備計画に基づき保安林の配備を進めるとともに,保安林の適正な管理を推進するため,立木伐採等の許可事務,保安林標識・台帳の整備,保安林の境界等の実態把握等の事業に対して助成する。
平成13年度予算額 (828百万円)
平成12年度予算額 (823百万円)
差引増△減 (5百万円)
(3) 休廃止鉱山鉱害防止等事業
a 休廃止鉱山鉱害防止等事業
鉱害防止義務者が不存在又は無資力の休廃止鉱山の鉱害防止のために地方公共団体の実施する事業に対して補助を行うとともに,鉱害防止義務者が実施する休廃止鉱山の坑廃水処理のうち,義務者に起因しない汚染に係る部分に対し補助を行う。
平成13年度予算額 (3,543百万円)
平成12年度予算額 (3,537百万円)
差引増△減 (6百万円)
b ぼた山災害防止対策事業
崩壊流出等の危険性のあるぼた山のうち,防災工事を実施する義務者が不存在又は無資力のものについて,地方公共団体が実施する災害防止工事(崩壊防止工事,保全工事等)に対して助成を行う。
平成13年度予算額 (1,152百万円)
平成12年度予算額 (1,547百万円)
差引増△減 (△395百万円)
c 放置坑口閉そく対策事業
石炭の採掘事業の廃止後放置されている坑口及び坑道に係る陥没穴への周辺住民の墜落等の危険防止のため,閉そく工事を実施する義務を有する鉱業権者が不存在又は無資力のものについて,地方公共団体が実施する放置坑口の埋戻し工事等に対して助成を行う。
平成13年度予算額 (13百万円)
平成12年度予算額 (11百万円)
差引増△減 (2百万円)
(4) 鉄道防災事業
国土交通省においては,旅客鉄道株式会社等及び日本鉄道建設公団がそれぞれ施行する国土保全に係る荒廃山地及び海岸等並びに青函トンネルの防災事業に対し,補助を行う。
平成13年度予算額 (566百万円)
平成12年度予算額 (1,096百万円)
差引増△減 (△530百万円)
(5) 下水道事業
国土交通省においては,都市化の進展に伴う雨水流出量の増大に対処し,都市における安全性の確保を図るため,浸水の防除に寄与する公共下水道事業,都市下水路事業,緊急都市内浸水対策事業等を推進する。
平成13年度予算額 (182,102百万円)
平成12年度予算額 (179,394百万円)
差引増△減 (2,708百万円)
(6) 特殊地下壕対策事業
国土交通省,農林水産省,林野庁においては,戦時中に築造された防空壕等の特殊地下壕について,現存する危険度が高いものに対して,埋戻し等の対策事業を行う。