2. 駿河湾周辺での津波の試算


 
2. 駿河湾周辺での津波の試算
 
 第7回調査会では、想定震源域により発生する津波のケースを基本とするいくつかのケースについて津波伝播試算を行い、1854年安政東海地震津波の実測値との比較を行った。その際、計算は沿岸までの伝播のみ扱ったが、今回は陸上への遡上についても計算を行って安政の津波と比較した。この場合、詳細な遡上計算では当時の状況をできるだけ復元することが重要である。
 
1.安政地震津波発生時の状況の復元
 

 詳細な遡上計算の結果と安政東海地震の津波との比較を行うにあたっては、地震(津波)発生時の状況をできるだけ復元しておくことが求められる。今回の試算では、以下の要素について考慮した。

・潮位の考慮
 理論潮汐計算で安政東海地震発生の当年当日当時刻の潮位を求めると、満潮水位にあたるT.P上おおよそ50㎝であることが分かったので、試算時にはこのレベルを津波来襲前の水位として考える。なお、これは、安政東海地震発生時は満潮時であったとされていることと調和している。

・地殻変動の考慮
 安政東海地震当時の標高を復元するには、地殻変動による影響を考慮する必要がある。地殻変動には、地震時に発生するものと、地震と地震の間の期間においてフィリピン海プレートの沈み込みに伴い地殻変動が定常的に進行しているものとがある。今回の試算では、後者の長期的な地殻変動による影響を補正して安政東海地震後の地形の標高を復元し、この地形に対して津波の試算を行った。長期的な地殻変動の補正は、地殻変動が一定速度で進行したと仮定し、国土地理院の水準測量の約95年間の垂直変動(1988〜1999年実施の測量と1883〜1913年実施の測量との差を取る)から外挿して、1854年安政東海地震直後の標高とした。

・陸上の土地利用形態等の考慮
 陸地では1854年当時は現在のような住宅等構造物の存在する市街地は少なかったと考えられるため、陸上での粗度係数を田畑での値に相当する0.02とする。また、現在の沿岸堤防、河川堤防等の線形構造物は考慮しないが、埋立地等は現在の地形をそのまま使用する。

   
   
 
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