6. 津波予測


6. 津波予測  
 
津波数値シミュレーション計算の各過程において使われている理論、手法
 
項目 理論・手法 特徴等 今日の検討での採用案
A. 津波発生
(1) 断層モデル 平面矩形一様滑り断層モデル 地震断層を単純化し少数のパラメタで規定/地殻変動及び津波の大まかな様子を表現可能/現実の複雑な断層運動を正確に表現するのは難しい
平面矩形非一様滑り断層モデル 上に比べて現実の断層運動により近い表現/断層面上での滑り分布を設定する必要がある
(2) 海底変動の計算 Mamsinha and Smylie(1971)
Sato and Matsu"ura(1974)
Okada(1985)
上記の断層モデルに対して、弾性体理論により地表(この場合は海底)での変動を計算
(3) 津波初期波形 断層運動が瞬時に完了するとして、海面の初期上下変位は海底変動の永久上下変位に等しいとする方法 海底変動の永久変位のみ必要/時間経過を考える必要なし/断層運動が通常の破壊伝搬速度で生じるならばこの方法で十分(下の方法と結果はあまり変わらない)
断層運動が有限時間内に行われるとして、津波初期波形も動的に与える方法 上に比べて現実の断層運動により近い表現/断層運動の起こり方を設定する必要あり
(参考)地滑り、土石なだれによる津波の場合 物質の海中での移動または海中への流入の場所、量等を仮定して海面初期変位を求める 発生場所、移動・流入量、移動・流入の形態、海岸線や海底地形の変化などを予め設定するのは困難
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B. 津波伝播
(1) 津波伝搬の理論 線形長波理論 計算時間が少なくて済む/移流項・摩擦項を省略できる水深の深い場所で通用可
非線形長波理論 移流項・摩擦項を省略できない浅海で使用
非線形分散波理論 波数分散の効果を考慮/液状段波(ソリトン波)を再現/平面的な拡がりを持つ場で解くのは難しい
(2) 理論方程式の数値積分 差分法(leap-frog法が主流) 計算が簡単/細かい地形の表現には格子の細分化が必要
有限要素法

計算時間を要する/複雑な地形の表現に優れる

C. 遡上・浸水
(1) 遡上域の推定 津波先端部を含む遡上部分の挙動を直接計算する方法 遡上箇所において時系列で津波を表現できる
レベル湛水法 簡便法/沿岸における津波の高さと同じ標高の地点まで一律に浸水するものとしており、精度的には上の方法に劣る
(2) 陸上での障害物の効果 摩擦係数を大きくする方法 簡便法/実際の記録と数値計算値とを比較して妥当な係数を求める必要がある
個々の建物の効果の積算により等価摩擦係数を決める方法 各々の建物の効果を見積もるのが難しい
個々の建物を表現できるほどの非常に細かい格子を使う方法 実際の建物、構造物の正確な位置・大きさを把握する必要がある/計算時間を要する
(3) 河川への遡上 非線形長波理論を使い、差分法または有限要素法で数値積分を行う 河川からの遡上による氾濫を推定するために非線形浅水理論を使用/河川の規模によって格子の大きさを調整する必要あり
◎:採用 ○:場合によっては採用
△:採用しない ×:検討しない
 
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