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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
津波浸水早期評価システム
 

3-3 システムの機能
 津波予報が発表されると、気象庁から国土庁へ予報区ごとの津波の高さ(将来は予測地点ごとの津波高さ)の電文がオンラインで送られてくる。津波浸水早期評価システムでは、この電文に基づいて、津波浸水予測データべースの中から該当する個所を検索して画面 上に表示する。

 津波浸水予測データベースは、オリジナルは100mの格子のデータであるが、このシステム上ではそれを250mメッシュのデータに変換している。(メッシュ内に含まれる浸水深の最大値をデータとして持っている。)これは、ある程度広域的な評価をする際の表現の簡略化を図るためであり、特定地域の詳細について表現をすることは本システムの目的とはしていない。

本システムの表示内容は、以下のとおりである。
(1)広域表示(図−4)
300km以上の広域にわたる地域について、その概略を把握するために使用する。地図上には都道府県の境界と市町村単位 での最大浸水深さが海岸線で表示される。海上に示した点と数値は、予測地点とその予測地点に対応する領域の津波高さを意味している。
(2)中域表示(図−5)
100〜300kmのおよそ県単位程度の地域について、その概略を把握するために使用する。地図上には市町村の境界と市町村単位 での最大浸水深さが海岸線で表示される。
(3)狭域表示(図−6、7)
100km以内のおよそ市町村単位の地域について、面的な状況を把握するために使用される。地図上には市町村単位 の境界と250mメッシュでの浸水深が表示される。
(4)帳票表示(表−1)
市町村別の浸水域面積(浸水深2m以上および2m未満)、浸水域に含まれる建物棟数、人口の一覧表を表示する。ここで使用した建物棟数や人口データは、国土数値情報の3次メッシュ(約1km四方)データを、陸域のメッシュ数に応じて等分割して250mメッシュに変換したものを用いた。

 なお、図−4〜7および表−1に示した例は、昭和19年12月7日に発生した東南海地震をモデルとしたものである。ここでは、過去の浸水記録から予測地点における数値を推定し、それを入力値とした場合の津波浸水予測データベースからの検索結果 を表示している。

 

4. 今後の課題
 気象庁の新しい津波予報は、平成11年度から運用を開始されたが、幸い、現在までに津波予報が発表されるような津波は発生しておらず、従って、当システムもまだ実際に稼動した実績はない、しかし、このようなシステムを使用して地震発生直後に津波よる浸水の状況を把握することができることは、政府の初動対応を迅速化する上で大きな効果 があると考えられる。

 現在、気象庁から提供されるデータは予報区単位の津波高さであるが、近い将来にはこれを予測地点ごとの津波高さとし、よりきめの細かい評価ができるようになることが望まれる。また、津波による建物の倒壊、流出や人的被害、その他の具体的な被害内容についても推計することができるような機能も付加していきたいと考えている。

 

参考文献
1)国土庁、気象庁、消防庁:「津波災害予測マニュアル」(1997)
2)気象庁:「新しい津波予報」(パンフレット)
3)渡邊偉夫:「日本被害津総覧」東京大学出版会(1985)

 
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Table 1 Figure 1 Figure 2
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Figure 3 Figure 4 Figure 5
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Figure 6 Figure 7  
 
 

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