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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
サンフランシスコ湾地域地震発生確率と想定地震
(SAN FRANCISCO BAY REGION PROBABILITY REPORT AND SCENARIO EARTHQUAKES)
 

3.想定地震
 
地震の危険については、想定地震を示すのが一番わかり易い。そこには、特定の地震発生について予想される人的、物的被害、地殻分裂が示される。 この会議において、既に想定地震が、産業界での問題研究、それぞれの地方、地域公共機関の緊急対策計画の策定、国家規模での経済損失概要の推定などに使用されていると聞いている。

 WG99地震発生確率報告の一部として、社会的、経済的に重要な影響をサンフランシスコ湾地区におよぼす二つの想定地震がとりあげられている。一つは、M7.2のサンフランシスコ半島に沿って、サンアンドレアス断層が破裂するもの。前回そこでの破裂は1906年の大地震。1838年にもそこで規模がマグニチュード約7の地震が有った。WG99は、今後30年間での地震の発生確率を15%と予測している。

 この地震は、HAZASプログラムによって、カリフォルニア州緊急サービス局と、鉱山・地質局カリフォルニア支部によって疑似予測された。このHAZASプログラムは連邦急事態管理庁 (FEMA Federal Emergency Management Agency www.fema.gov/hazus/)のために、国家建築学会 (National Institute of Building Sciences)が開発したものである。それに用いられた情報は、地盤に関しては米国地質調査所(USGS US Geology Survey)情報、建築に関しては1990年国勢調査と商業データベース、病院については、米国病院協会(the American Hospital Association)、学校に関しては、FEMA, 橋については連邦高速道路管理局(the Federal Highway Administration)、危険物資廃棄場所に関しては、環境保護庁(the Environmental Protection Agency)からのものである。被害推定は、アプライドテクノロジーカウンシル(the Applied Technology Council)が用意した基準建物種別によって行われた。最終的に推定を信用できるものにし確実性を増すために 多くの関係者が一致協力することが必要なのである。

 半島地震想定は、死者500人、入院負傷者500人、使用不能家屋10万軒、経済損失550億ドルを予測している。サンフランシスコからサンホセまでの半島に沿ってと、サンフランシスコ湾の東側沿岸地帯に相当の被害が発生すると予想されている。

 もう一つの想定地震は、M6.9規模で、ヘイワード断層の南半分で起こるもの。ここは、1968年のM6.9のヘイワード地震の震源地で、近くの人口は僅かであり、サンフランシスコ湾地域の人口も25万人だった。今日では、ヘイワード(Hayward)断層に沿った地域に100万人以上の人々が生活している。WG99の報告では、今後30年間でのこの地区での地震の発生確率は17%である。

 ヘイワード想定地震では、死者300人、入院負傷者3千人、使用不能家屋5万軒、経済損失380億円を予測している。最も被害が大きい地区は、サンフランシスコ湾の東縁際とサンホセである。サンフランシスコや、半島に沿った地区を含めその他の地盤が弱いところでも、かなりの被害発生が想定される。

 これら想定上の被害の数字は単なる概算に過ぎないが、災害規模の大きさを示している。二つの想定地震の規模は大地震、例えば、サンフランシスコ湾地域で言えば、1906年のM7.8の再来、といったものではない。WG99によれは、そのような地震は今後30年間に発生しないようだが、半島想定地震の被害予想は、想定地震に近いまずは賢明な想定被害概算と言えるだろう。

 その理由は、サンアンドレア型の地震は、M7規模を超える大きさになっても、それは断層の長さが大きくなることで、断層各所近辺からの震動発生の規模自体はそう大きくなるものではからである。このように、これら二つの想定地震は、少なくとも震源地断層近くで、どの様なことが大地震で発生するかを描き出してくれる。勿論、サンアンドレアス断層や、ヘイワード断層での長い分裂の結果は、影響を受ける地域が広がり、より深刻なものになる。

 
 

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