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※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
米国における地震被害軽減に関する公共政策
 

IV. 米国憲法により地震政策は影響される
 アメリカ合衆国は、最初に独立した13州が、権限の限られた連邦政府を設立して自主的に連合することによって建国された。連邦政府には、外交、国防、州間の商業や通 貨、他の定められた事項に関する権限がある。年の経過とともに、連邦政府は、全米的な管轄権と豊富な資源を保有することから州政府よりも適しているとの理由で、一部の政策の責任を委ねられた。これらには宇宙計画や、「ソーシャル・セキュリティ」と呼ばれる国民年金計画、調査援助、環境規制、大規模災害への対応や復旧支援などがある。

 憲法は州に対して大きな権限を残している。住民の健康、安全、福祉は、州の管轄とされている。被害軽減に関する連邦政府の権限が限られているのは、このためである。またこのことは、連邦政府が情報面 、政治面でのリーダーシップの提供、被害軽減策の唱導、地震の危機に対処するための州・地方自治体へのインセンティブの提示などに限られている理由を説明している。

 憲法は市民の権利を保護して、政府による私的な活動への介入へを規制している。被害軽減の政策に大きく関係するのが財産権で、政府機関が財産に対して、どの程度までその使用やその価値に影響するような規制をするかが大きな影響を及ぼす。

 

V. 州と地方自治体の権限
 各州は、地方自治体を構成する市、郡、州政府機関などが行使する権限を分割するための、独自のユニークな憲法を保有している。州は健康、安全、福祉を守る権限、つまり「警察力」を持っており、この権限に基づき将来の地震の被害を軽減するために必要な建築基準、土地利用計画、技術者・建築技師の免許制度、その他の措置を実施している。州は、建築基準、土地利用計画、そしてその他の規則が必要かどうかの判断を行う。州政府は、安全に関する問題での連邦政府の介入に抵抗し、「州の権利」の概念に基づき、その独立性を擁護しようとしている。

 州は、州内に適用される種々の規則を公布する。多くの場合、かなりの権限を郡や市の当局に委譲することによって、この警察力を行使する。州は、市による建築基準の適用や土地計画の実施の適用に関する法律を制定するものの、常に地方機関に対して実施に際し、柔軟性を与えている。
 市は州や連邦政府からの圧力に多くの場合抵抗し、州や連邦政府の命令に対して独立性を維持しようとする。市は、市町村レベルの問題に対処するのは市が最も適しており、州や連邦政府の命令は(特にそれが予算を伴わないものは)実行されるべきではないとする「ホームルール」を主張する。被害軽減に関する公共政策は、州と地方自治体の独立性を維持するような法律的・政治的枠組みの中で、州と地方自治体により制定されている。米政府の分権や政治姿勢は、柔軟な公共政策に反映されている。

 同様の基本方針により、民間部門に影響する政策を構築している。米国人は個人主義と独立性を重視している。米国人は、個人として人権や財産権の自由を擁護しており、個人の行動に指示をするような政府計画には抵抗する。言うまでもなく、連邦、州、地方の法律の枠内で、個人や企業は地震に対する対策で大幅な柔軟性を持っていることになる。

 

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