特集 「防災推進国民大会2018(ぼうさいこくたい)」

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「防災推進国民大会」とは

平成27年3月に第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030」において、各ステークホルダー(企業、学術界、ボランティア等市民団体、メディア等)に災害リスク削減に向けた取組を奨励することとされました。

これを受け、平成27年9月、防災に取り組む様々な団体のネットワークを活用し、幅広い層の防災意識の向上を図ることを目的として、中央防災会議会長である安倍内閣総理大臣の呼びかけにより、「防災推進国民会議」が発足しました。

内閣府では、「防災推進国民会議」及び主に防災に関連する業界団体からなる「防災推進協議会」とともに、平成28年から毎年、防災に関するシンポジウムや展示等を行う国内最大級の防災総合イベント「防災推進国民大会」を開催しております。

はじめに

今回で3回目となる「防災推進国民大会2018(ぼうさいこくたい)」は、本年10月13日( 土)・14日( 日) に、東京ビッグサイトと東京臨海広域防災公園(そなエリア)において、防災推進国民大会2018実行委員会(内閣府、防災推進国民会議、防災推進協議会)主催により開催されました。また、東京都主催の「防災展2018」もそなエリア内で同日開催されました。

以下、本大会について報告します。

開催概要

今回の「ぼうさいこくたい」は、「大規模災害に備える~みんなの連携の輪を地域で強くする~」をテーマとし、ご家族連れから専門家まで幅広い方々が防災について楽しく学ぶことができるイベントとすることを目指しました。それぞれの出展団体は、「自助・共助」、「多様な主体の連携」及び「地域における防災力の向上」を促進することや、災害に関する知識や経験等の共有を図ることなど、訴えたいメッセージを来場者にわかりやすく伝えるセッションや展示を展開しました。

オープニング・セッション( 開会宣言、ハイレベル・パネルディスカッション)

13日(土)10時から東京ビッグサイトでオープニング・セッションが行われ、山本順三防災担当大臣が開会宣言を行いました。山本大臣は、

『今年の「ぼうさいこくたい」の開催地である東京は、人口や産業が集積し、我が国にとって世界へのゲートウェイです。しかしながら、首都直下地震や大規模水害などが発生した場合には、大きな被害が生じると予想されております。今回の「ぼうさいこくたい」を、小池都知事のご協力を得て、東京都の防災展と同時開催できたことは、大いに意味のあることと考えております。』『「自助・共助」は皆さんが主役です。この2日間の様々な議論を通じて、防災について楽しく学び、経験を共有し、連携を深めていただければと思います。』と述べ、「自助・共助」の重要性や各ステークホルダー間の連携の必要性、災害の経験を国内外に発信していくことの大切さについて宣言しました。

その後、小池都知事からは、開催都市挨拶として、東京都は「安心・安全」 な「セーフシティ」を実現していく旨発表がありました。具体的には災害に強いまちづくりの推進、自助・共助・公助の連携による防災力の向上など、ハード・ソフト両面からの災害対策に取り組んでいると表明しました。また、女性の視点からまとめた「東京くらし防災」や「東京都防災アプリ」を通じ、都民への身近な防災情報を、東京都が、配信していることについて紹介がありました。

主催挨拶では、秋本防災推進国民会議副議長(日本消防協会会長、日本防火・防災協会会長)が、『7年前の東日本大震災などの被災経験からも明らかなように、行政だけで防災・減災に対応することは不可能であり、地域の皆さんが自助・共助により対応していくことが必要です。最近の災害の状況をみると、従来とは異なる進路の台風のように、いつでもどこでも発生するという状況です。このような様々な災害へ対応するには、災害発生時の救助や消火だけでなく、発災前の避難行動、発災後の健康な生活維持など、それぞれの場面での対応が必要であり、平素から、地域の状況に応じた想定のもと、地域で取り組んでいただく必要があるでしょう。』と述べ、防災推進国民会議を通じて、「公助」と連携した「自助・共助」の大切さが改めて認識され、我が国全体の防災意識向上が図られることへの期待が表明されました。

  • 開催宣言をする山本防災担当大臣
    開催宣言をする山本防災担当大臣
  • 開催都市挨拶をする小池都知事
    開催都市挨拶をする小池都知事
  • 主催挨拶をする秋本副議長
    主催挨拶をする秋本副議長

「ハイレベル・パネルディスカッション」では、東京大学の田中淳教授をファシリテーターに迎え、6名の各界の代表者が、今大会のテーマである「みんなの連携の輪を地域で強くする」ため、それぞれの立場から大規模災害にいかに備えているかについて、「連携」に関する最近の経験に基づきご紹介されました。災害弱者に対する支援、企業の防災リーダー育成、地方防災機関との連携強化などの大規模災害に備えた連携について意見交換が行われました。

ハイレベル・パネルディスカッションの様子

ハイレベル・パネルディスカッションの様子

テーマセッション・団体別セッション

東京ビッグサイトとそなエリアの2会場では、2日間で35のセッションが催されました。内閣府や防災に取り組む様々な団体が行うテーマ別セッションでは、具体的に今後必要となる「自助・共助」の取組について議論を行いました。

日本消防協会と日本防火・防災協会主催によるセッションは、「将来の地域防災の担い手育成」をテーマとし、関東近県(埼玉県三郷市、千葉県浦安市、東京都世田谷区成城、東京都町田市、神奈川県大和市)5つの少年消防クラブにより、日頃行っている地域の防災力を高めるための活動内容が紹介されました。

事例を踏まえ、セッション後半では、少年消防クラブの指導者と会場内の参加者により、将来の地域の担い手となる子ども達の人材育成のあり方について活発な意見交換がなされました。

「あなたが知りたい防災科学の最前線―首都直下に備える」のセッションでは、防災学術連携体と日本学術会議が、防災に関する科学的知見を市民に正しく伝達できるよう取り組んでいることを発表しました。

内閣府が主催した「あってよかった!みんなの地区防」は、自治体の事例紹介を踏まえたディスカッションや演劇を通じて住民が正しい避難行動の計画を立てることの重要性を訴えるセッションとなりました。

や大規模水害など東京において予想されている災害に関するセッションが多く、また、10月13日が「国際防災の日」であることを踏まえ、「仙台防災枠組」や「持続可能な開発目標」(SDGs) の推進を目的とした国際セッションなども行われました。

  • 内閣府「あってよかった!みんなの地区防」のセッション
    内閣府「あってよかった!みんなの地区防」のセッション
  • 日本消防協会と日本防火・防災協会主催によるセッション
    日本消防協会と日本防火・防災協会主催によるセッション

展示について

東京ビッグサイト会議棟の7階ロビー及びそなエリアの本部棟には63のプレゼンブースやポスター展示が並び、出展団体が日頃から行っている防災・減災活動が発表されました。ロビーや展示スペースには人があふれ、出展者が来場者に詳しく説明を行っている様子を見ることができました。

そなエリアの本部棟では、「地震ザブトン」の展示が防災アトラクションの一つとして注目されました。揺れるザブトン椅子に乗りながらVRヘッドセットから流れるリアルな災害映像を見ることで、地震災害を自分事として考えるきっかけを作りました。

また、そなエリアのヘリポートには、屋外展示を用意し、消防車、自衛隊車両、起震車等の大型車両の展示、はしご車の体験が行われました。

  • 総務省 消防庁「地域防災力の向上のために」プレゼンブース
    総務省 消防庁「地域防災力の向上のために」プレゼンブース
  • あいち・なごや強靭化共創センター「巨大地図を使ったワークショップ」
    あいち・なごや強靭化共創センター「巨大地図を使ったワークショップ」

クロージング・セッション

14日(日)に行われたプレクロージング・セッションでは、くまモンが登場し、熊本復興のテーマである「創造的復興」の事例紹介が行われました。また、兵庫県出身の防災士と防災を学ぶ大学院生の2人からなるボーカルグループBloom Works による音楽を通じた防災活動が紹介されました。

クロージング・セッションでは、池上市民防災研究所理事より2日間の成果のとりまとめがなされ、大学生により、若い世代による防災に関する考え方や取組みが発表されました。

最後に、福和名古屋大学減災連携研究センター長をモデレーターとして迎え、防災推進国民大会2018の締めくくりとして「自助・共助」、「多様な主体の連携」をテーマとしたパネルディスカッションを行いました。社会の全構成員の参画による具体的行動を起こすことの重要性を会場参加者と登壇者で確認し、来年の防災推進国民大会2019への期待が表明されました。

  • プレクロージング・セッション
    プレクロージング・セッション
  • パネルディスカッションの様子
    パネルディスカッションの様子

効果について

約1万2千人の方が大会期間中に来場され、加えて約1千人が動画の生中継を閲覧されました。また、テレビや新聞報道でも多く取りあげられました。これにより、多くの方々に「自助・共助」「多様な主体の連携」の大切さという「ぼうさいこくたい」のメッセージが受けとめられたものと考えています。

特に来場者に対するアンケートでは、98%の人が来場により防災意識が向上したと答えており、大きな効果が見られました。本大会が多くの一般の方々に対して、防災について楽しく学べる場を提供できたといえます。また、出展団体からも本大会を通じて、日頃目指している防災テーマを来場者に効果的に発信することができたというご意見が多数寄せられました。

98%が大会に参加して防災意識が向上したと回答
98%が大会に参加して防災意識が向上したと回答

今後の防災を担う若い世代の活躍が多く見られたことも今回の大会の特徴であり、出展者として参加した高校生が他校の学生と「防災に強いまちづくり」に向けて議論するためのつながりが生まれるなど、今後の展開への期待を感じました。

大会を通じて、国や地方自治体による「公助」と連携し、国民一人ひとりが想定されている災害リスクを正しく理解し、自らの身は自分で守る「自助」、また、住民、地域コミュニティ、企業等が一体となって、お互いに助け合う「共助」によって、社会の全構成員の参画による具体的行動を起こすことの重要性が確認されたことは大きな成果と考えております。

次回大会について

第4回目の「防災推進国民大会2019(仮称)」は、2019年10月19日(土)、20日(日)に名古屋市にて開催する予定としています。今年の成果を踏まえ、「自助・共助」及び「多様な主体の連携」をより一層深められるような大会にすべく鋭意準備を進めてまいります。



●「ぼうさいこくたい」の各セッションの動画やディスカッション等で使用した資料の一部については、「ぼうさいこくたい」のHPよりダウンロード可能です。

▶http://bosai-kokutai.jp/ QRコード


〈内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当〉

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内閣府政策統括官(防災担当)

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