特集 命を守る防災訓練

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九都県市の連携で首都圏を守る

首都圏には政治・経済の中枢機能が集中しています。そのため、首都直下地震や南海トラフ地震などの大きな災害が発生した場合、被害やその影響は広範囲に及ぶと想定されています。

こうした災害の被害を自治体間の連携で最小限に抑えることを目指して行われているのが「九都県市合同防災訓練」(以下、「合同防災訓練」)です。合同防災訓練は、昭和55年(1980)に埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市の六都県市によって始められ、その後、千葉市、さいたま市、相模原市が加わり、平成 22年(2010)から九都県市で実施しています。

合同防災訓練は、毎年9月1日の「防災の日」、または8月30日から9月5日の「防災週間」に、九都県市に設けられる会場で、大地震に備えた広域・ 応受援訓練、災害対策本部訓練、救出救助訓練、津波対策訓練などを連携・協力して実施します。

毎年持ち回りで担当する幹事都県市には、合同防災訓練の主会場が設置されます。39回目となる今年は川崎市が幹事都県市となり、9月1日に川 崎区東扇島の主会場を中心に訓練が行われました。 川崎市直下を震源とするマグニチュード7.3、最大震度7の地震が発生したことを想定した訓練には、警察、消防、自衛隊、病院、自主防災組織など約140機関、観覧した市民も含めると約8000人が参加しました。

川崎市危機管理室の並木麻・九都県市合同防災訓練担当課長は訓練の意義を次のように話します。

「大災害が発生した場合、救援救助など様々な場 面で、政府や他の自治体、消防、警察、自衛隊など多くの機関との連携が必要になります。合同防災訓練は、そうした機関との連携を実践する大きな機会です。訓練を準備する過程で、担当者と顔の見える関係を築けることも重要です。」

川崎市は合同防災訓練に合わせた啓発活動として、東扇島中公園で「こども防災塾」を8月31日から1泊2日でNPOと協働で開催、市内の小学生とその保護者約100組が参加し、テント組立、非常食炊き出し、投光器組立などを体験しました。この他、市内に7つある全ての区で今年度中に2回の総合防災訓練を実施して、地域防災力強化を進めます。

川崎市川崎区で開催された九都県市合同防災訓練で行われた救助救出訓練

川崎市川崎区で開催された九都県市合同防災訓練で行われた救助救出訓練

臨海部事業所会場

臨海部事業所会場周辺は、石油などの危険物を大量に扱う事業所が多いことから、製油所での災害を想定して訓練を実施、東亜石油株式会社と国・自治体 の防災関係機関との連携で行われました。海上では、海上保安庁の巡視艇や川崎市、東京都、横浜市の消 防艇などが、オイルフェンスの展張、海面への一斉放水などの訓練を行いました。陸上では東亜石油㈱の自衛防災隊、扇島共同防災協議会に加え、川崎市と東 京都の大型化学高所放水車や横浜市の「ドラゴンハイパー・コマンドユニット」が、石油タンクへの放水訓練を行いました。

消防艇などにより行われた、海面へのオイルフェンスの展張や放水の訓練

消防艇などにより行われた、海面へのオイルフェンスの展張や放水の訓練


マリエン会場

広場や体育施設のある「川崎マリエン」の広い駐車 場では、NPO、自主防災組織、企業など様々な団体 が訓練や啓発活動を行う防災イベント「備える。フェスタ」が開催されました。安倍総理も会場を訪れ、毛布 と物干し竿で組み立てた簡易担架で負傷者を搬送する 訓練や、「無事です」と書かれた安否確認用の黄色い タオルを利用した訓練に、地元の小中学生と共に参加しました。会場では、川崎市が作成した防災訓練事例集「みんなで訓練48」を使った体験型訓練や防災絵本「ダイジシーンからのおねがい」の読み聞かせなども行われました。

安否確認用の黄色いタオルを利用した訓練に参加する安倍総理

安否確認用の黄色いタオルを利用した訓練に参加する安倍総理


東公園会場

人工海浜やグラウンドを有する広大な東扇島東公園では、消防、警察、自衛隊などから多数の部隊が参加し、発災からタイムラインに沿って、様々な実動訓練が 行われました。訓練は、参加者全員によるシェイクアウト訓練で始まり、負傷者応急救護、クレーン車などを使った車両や障害物の撤去、倒壊したビルでの救助犬 による捜索、土砂崩れで埋まった木造家屋からの救出、化学工場でのNBC災害への対応などの訓練が行われました。最後は、地元の消防団による一斉放水でしめくくられました。

川崎市の消防団による一斉放水

川崎市の消防団による一斉放水



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