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平成27年度 広報ぼうさい

防災リーダーと地域の輪 第25回

若者のエネルギーで被災地を元気づける
特定非営利活動法人「国際ボランティア学生協会」は、日本最大規模の学生ボランティア団体である。若者の力を最大限に活かし、災害救援など様々な活動に取り組んでいる。

国際ボランティア学生協会(IVUSA)が設立されたきっかけは、1992年から東京の国士舘大学が始めた「夢企画」である。これは、大学が学生から「夢」を募集し、その実現を支援するというもの。その中の「ラオス小学校建設活動」、「多摩川清掃大作戦」、「北海道南西沖地震災害救援活動」に参加した学生を中心にして結成されたのがIVUSA(イビューサ)である。IVUSAにはその後、様々な大学の学生が参加するようになり、現在は全国85大学の約2700名の会員を持つ団体へと成長した。

IVUSAは「国際協力」、「環境保護」、「地域活性化」、「災害救援」の4つの分野で活動している。災害救援ではこれまでに、阪神淡路大震災や東日本大震災を含む、地震、津波、水害、豪雪、噴火、竜巻など約60の災害に対して、約8000名の学生が救援活動に参加している。

2015年9月の関東・東北豪雨災害でも、特に被害の大きかった茨城県常総市で約1か月半にわたり災害救援活動を行い、延べ1300名の学生が参加した。具体的な活動は、被災家屋の床板はがし、床下の土砂の除去、石灰撒き、瓦礫の撤去、家財の運び出し、炊き出し、住民のニーズ調査などである。

「私はこれまで、学生たちと一緒に様々な被災地で救援活動を行っていますが、若者の持つエネルギーは本当にすごいです。彼らが懸命に活動していると、落ち込んでいた被災者の気持ちが前向きに変わっていくのです」とIVUSA理事の宮崎猛志さんは言う。

IVUSAの強みはマンパワーだけではない。IVUSAでは、必要な物資・装備の管理・備蓄、物資の運搬、調理など、それぞれ担当する学生が決まっており、被災地で迅速に救援活動を始められるように日頃から備えている。また、蓄積した経験、ノウハウを継承していくために、それぞれの担当のリーダーが後輩の中から次のリーダーを育てるというシステムも整えている。

さらに、IVUSAに入会した学生は全員、応急救命措置や危機回避の方法を学ぶ「危機対応講習」、社会課題の解決のための方法を考える「社会理解講習」、コミュニケーション能力を身に付ける「総合的コミュニケーション講習」という3つの研修を受講することが必須となっている。

「研修と現場を繰り返すことで災害救援など社会の課題解決のための能力を高めてきました。また、リスク管理を徹底してきたので、これまでに大きな事故もなく活動を続けられています」と宮崎さんは言う。

関東・東北豪雨災害で被害を受けた茨城県常総市で土砂の除去作業を行うIVUSAのメンバー     関東・東北豪雨災害で被害を受けた茨城県常総市で土砂の除去作業を行うIVUSAのメンバー
関東・東北豪雨災害で被害を受けた茨城県常総市で土砂の除去作業を行うIVUSAのメンバー(写真はすべて国際ボランティア学生協会提供)


被災地から学ぶ

IVUSAの救援活動の基本方針は「全ては被災された方のために」である。学生たちは被災者と同じ目線に立ちながら、自分の事として活動することを心がけている。その中で、彼らは多くのことを学んでいる。

「ものすごい量の土砂に衝撃を受けました。匂いやほこりもひどく、咳が止まらなくなったほどです」と、大学4年生の前田智美さんは、2013年7月の豪雨で被災した静岡県西伊豆町での救援活動を振り返る。前田さんたちIVUSAのメンバーは、家の床下や庭に入り込んだ土砂の除去などに取り組んだ。また、作業の合間をみては、積極的に被災者に声を掛けるようにした。

「何気ない会話をするだけで、皆さんの表情が明るく変わってくるのが分かりました。力作業だけではなく、会話も大事だということも実感しました」と前田さんは言う。

救援活動をきっかけに生まれたIVUSAと西伊豆町とのつながりは現在も続いている。学生たちが地元の人々と協力し、清掃、森林整備、干潟の再生など多岐にわたる地域活性化活動に取り組んでいる。

「自分たちの出来ることの限界を知って、くやしい思いをする時もあります」と、関東・東北豪雨災害の被災地である常総市で救援活動に参加した大学4年生の松島望さんは言う。松島さんは、水害の被害を受けた酒蔵や一般家庭での片付けなどを行ったが、想像以上の被害の大きさや被災者の心の傷の深さに、落ち込むこともあった。しかし、「片付けに行った家の高校生から、『皆さんから勇気を頂きました』と連絡をもらった時は、私自身が救われた気持ちになりました」と松島さんは言う。

「高校1年生の時に東日本大震災がありましたが、岡山県に住んでいる自分には、何もできないもどかしさを感じていました」と大学3年生の佐藤幸晃さんは振り返る。東京の大学に入学した佐藤さんは、被災地の支援をしたいという思いからIVUSAに入会、それ以来、宮城県山元町での復興支援活動に取り組んでいる。関東・東北豪雨災害の救援活動にも参加、床下の土砂の除去などを行った。

「今後、災害の被害を少しでも減らせるように、自分の持つ防災の知識、経験をIVUSAの後輩だけではなく、私の大学がある地域の人々にも伝えていきたいです」と佐藤さんは言う。

静岡県西伊豆町の森林整備活動
静岡県西伊豆町の森林整備活動

新潟県中越地震の被災者が住む長岡市の仮設住宅での雪下ろし
新潟県中越地震の被災者が住む長岡市の仮設住宅での雪下ろし



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