特集2 平成26年夏の災害状況について

台風第8号

台風第8号は、大型で非常に強い勢力となって、7月8日に沖縄本島と宮古島の間を北上し、10日7時前には、鹿児島県阿久根市付近に上陸しました。特に沖縄本島地方では大雨等の特別警報が発表されるなど、記録的な大雨となりました。また、台風周辺の湿った南風と梅雨前線の影響で、台風から離れた地域でも局地的に猛烈な雨の降った所がありました。

被害状況
この台風等による大雨により、死者3人及び負傷者67人の人的被害が発生しました。また、住家被害については、住家全壊14棟、住家半壊3棟、床上・床下浸水が1384棟等の被害が発生しました。

政府の対応
政府では、7月7日に関係省庁災害警戒会議を開催し、古屋内閣府特命担当大臣(防災)(当時)から国民の皆様に対し、災害から自らの身を守るため、早めの積極的な避難を呼びかけるとともに、関係省庁に対し、対応に万全を期すよう要請しました。また、同日、安倍内閣総理大臣から関係省庁に対し、大雨、暴風、高波等に関する情報提供を国民に対し適時的確に行うこと等の指示があったことを踏まえ、政府全体としてより一層災害対応に万全を期すため、菅内閣官房長官出席のもと関係省庁災害警戒会議を開催し、今後の気象状況の見込み、被害状況及び各省庁の対応状況の情報共有を行うとともに、総理指示を踏まえ、関係省庁が緊密に連携し、事前対策等に万全を期すことを確認しました。
この他、7月11日以降3度にわたり、亀岡内閣府大臣政務官(当時)を団長とする政府調査団を長野県、山形県、沖縄県へ派遣し、被災自治体の首長等と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施しました。

支援策
具体的な支援として、7月9日に、災害救助法及び被災者生活再建支援法が長野県木曽郡南木曽町、山形県南陽市に適用されるとともに、災害救助法の適用を踏まえ、7月23日、2市町に対し、9月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰り上げて交付しました。

土石流による被害状況(長野県南木曽町読書(よみかき)地区)

山形県知事、南陽市長等と意見交換をする亀岡政務官(当時)(山形県南陽市役所)

台風第12号及び11号

7月29日12時にマリアナ諸島付近で発生した台風第11号は、強い勢力を維持したまま比較的ゆっくりとした速度で北上し、10日6時過ぎに高知県安芸市付近に上陸した後、次第に速度を速めながら四国地方、近畿地方を通過しました。この期間、前線が西日本の日本海側から北日本にかけて停滞し、前線に向かって台風周辺の湿った空気が流れ込み、西日本から北日本の広い範囲で大雨となり、特に、高知県では7日から11日までの総降水量が多いところで1000ミリを超えるなど、四国地方から東海地方にかけて総降水量が600ミリを超える大雨となりました。また、大気の状態が非常に不安定となり、栃木県鹿沼市、壬生町、栃木市において、10日11時30分頃から50分頃、竜巻が発生しました。
この他、7月30日3時にフィリピンの東の海上で発生した台風第12号は、31日から8月1日にかけて沖縄本島地方に最も接近し、特に四国地方では、降り始めからの雨量が1000ミリを超える等、8月の月降水量(平年値)の2〜4倍となった所がありました。また、8月10日には、三重県に対し、大雨特別警報が発表されました。

被害状況
この台風等による大雨により、死者6人及び負傷者88人の人的被害が発生しました。また、住家被害については、住家全壊10棟、住家半壊10棟、床上・床下浸水5964棟等の被害が発生しました。

床上浸水被害を受けた加茂谷中学校(徳島県阿南市加茂谷(かもだに)地区)

山腹崩壊の状況(高知市鏡地区鏡的渕(かがみまどぶち))

政府の対応
政府では、8月3日以降、関係省庁災害警戒会議を開催し、警戒体制の強化に努めるとともに、8月8日、安倍内閣総理大臣から関係省庁に対し、政府の総力を挙げて、災害応急対策に万全を尽くすこと等の指示があったことを踏まえ、関係省庁災害対策会議を開催し、今後の気象状況の見込み、被害状況及び各省庁の対応状況の情報共有を行うとともに、総理指示を踏まえ、関係省庁が緊密に連携し、災害応急対策等に万全を期すことを確認しました。また、8月11日から13日に、西村内閣府副大臣を団長とする政府調査団を徳島県及び高知県へ派遣し、被災自治体の首長等と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施しました。更に、竜巻による被害状況を調査するため、11日に亀岡内閣府大臣政務官(当時)を団長とする政府調査団を栃木県へ派遣しました。

高知県知事等との意見交換(高知県庁)

支援策
具体的な支援として、災害救助法が、8月3日に高知県吾川郡いの町に、8月9日に高知県の高知市、長岡郡大豊町、高岡郡四万十町、徳島県の那賀郡那賀町にそれぞれ適用されるとともに、被災者生活再建支援法が、8月3日に高知県吾川郡いの町、8月6日に玖珂郡和木町に、8月9日に那賀郡那賀町に、それぞれ適用されました。また、9月5日に「平成二十六年七月三十日から八月二十五日までの間の暴風雨及び豪雨による災害」を激甚災害に指定し、全国を対象として、農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例、小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等を適用しました。

8月15日からの大雨

8月15日から17日にかけて、本州付近に前線が停滞し、前線に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、東日本と西日本では広い範囲で大気の状態が非常に不安定となりました。局地的に雷を伴って非常に激しい雨が降り、16日と17日の2日間に降った雨の量が、京都府福知山市や岐阜県高山市等で観測史上1位を更新する等、近畿、北陸、東海地方を中心に大雨となりました。また、8月24日には、低気圧の影響で北海道を中心に大雨となりました。

被害状況
8月15日から17日の大雨により、死者7人及び負傷者7人の人的被害が発生しました。また、住家被害については、住家全壊24棟、住家半壊109棟、床上・床下浸水が5227棟等の被害が発生しました。この他、8月24日の大雨により、北海道礼文町において、死者2人の人的被害が発生しました。

浸水被害を受けた給食センター(福知山市問屋町(とんやまち)地内)

被
被害を受けた橋梁の様子(兵庫県丹波市市島町上竹田地区)

政府の対応
政府では、8月15日及び18日に、関係省庁災害対策会議を開催し、今後の気象状況の見込み等の情報共有を行うとともに、被害状況等の迅速な把握、関係省庁間での情報共有に努め、災害応急対策に全力を挙げること等を確認しました。また、8月18日に西村内閣府副大臣を団長とする政府調査団を兵庫県及び京都府へ、19日に亀岡内閣府大臣政務官(当時)を団長とする政府調査団を岐阜県へそれぞれ派遣し、被災自治体の首長等と意見交換を行うとともに、被災現場の調査を実施しました。

土砂災害の様子を調査する西村内閣府副大臣(兵庫県丹波市市島町徳尾地区)

支援策
具体的な支援として、災害救助法が、8月17日に京都府福知山市、兵庫県丹波市に適用されるとともに、同日、京都府福知山市に対し、被災者生活再建支援法が適用されました。また、災害救助法の適用を踏まえ、8月25日、2市に対し、9月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰り上げて交付しました。
この他、9月5日に「平成二十六年七月三十日から八月二十五日までの間の暴風雨及び豪雨による災害」を激甚災害に指定し、全国を対象として、農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例、小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等を適用しました。

京都府知事等との意見交換(京都府庁)

8月20日広島土砂災害

8月18日以降も、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、中国地方や九州北部地方を中心に大気の状態が非常に不安定となりました。20日3時30分には、広島県で1時間に約120ミリの猛烈な雨を観測したほか、24時間雨量が観測史上1位を更新するなど、記録的な大雨となりました。

被害状況
この大雨により、死者73人、行方不明者1人、負傷者44人の人的被害が発生しました。また、住家被害については、住家全壊133棟、住家半壊122棟、床上・床下浸水が4132棟等の被害が発生しました。また、広島市内166箇所以上で土砂災害が発生し、避難を余儀なくされる方が最大で約2300人を超えるなど、甚大な被害に見舞われました。

土砂災害発生箇所(一部)(広島市安佐南区八木地区)

土砂災害発生箇所(一部)(広島市安佐南区八木地区)

関係省庁災害対策会議等の開催及び政府現地災害対策室の設置
政府では、8月20日、安倍内閣総理大臣から関係省庁に対し、早急に被害状況を把握するとともに、政府の総力を挙げて、被災者の救命・救助等の災害応急対策に全力で取り組むこと等の指示があったことを踏まえ、関係省庁災害対策会議を開催し、今後の気象状況及び被害状況並びに各省庁の対応状況について情報共有を行いました。また、被災地方公共団体及び関係省庁が一体となって災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため、同日、広島県に政府現地災害対策室を設置しました。

平成26年8月豪雨非常災害対策本部等の設置
8月22日、広島県における土砂災害の発生から2日経過後もなお、行方不明者が多数発生し、救助活動が長期化する事態が生じていることを踏まえ、安倍内閣総理大臣の指示により、災害対策基本法に基づき、「平成26年(2014年)8月豪雨非常災害対策本部」を格上げ設置するとともに、広島県に、西村内閣府副大臣を本部長とする「非常災害現地対策本部」を設置しました。また、同日開催した第1回本部会議において、行方不明者の一刻も早い救命救助に全力を尽くす等の災害応急対策に関する基本方針を決定するとともに、関係省庁一体となって、対応に万全を期すことを確認しました。その後も本部会議を計14回開催し、非常災害現地対策本部とのテレビ会議による被害状況等の聴取及び意見交換、関係省庁における対応・支援状況等についての情報共有を行いました。
この他、非常災害現地対策本部に「被災者支援チーム」を設置し、県市と連携しながら、被災者の住宅確保、避難所の環境整備等の被災者の生活支援を実施するとともに、非常災害現地対策本部、県、市による「8・20土砂災害応急復旧連絡会議」を設置し、土砂災害による道路等に堆積した土砂及びがれき等の処理、砂防・治山・河川・道路等の応急復旧などの加速化を図りました。

非常災害現地対策本部(広島県庁内)

平成26年8月豪雨非常災害対策本部第1回本部会議(中央合同庁舎第8号館災害対策本部会議室)

内閣総理大臣の現地調査及び政府調査団の派遣
8月20日には、古屋内閣府特命担当大臣(防災)(当時)を団長とする政府調査団を広島県へ派遣し、8月25日には、安倍内閣総理大臣及び松本文明内閣府大臣政務官(当時)が広島県を訪問し、それぞれ被災自治体の首長等との意見交換及び被災現場の調査を実施しました。また、9月5日にも、山谷内閣府特命担当大臣(防災)を団長とする政府調査団を広島県へ派遣し、被災自治体の首長等との意見交換及び被災現場の調査を実施しました。

避難所で聞き取りをする安倍内閣総理大臣(広島市安佐南区八木地区・梅林(ばいりん)小学校)

政府現地災害対策本部で激励をする山谷防災担当大臣 (広島市役所)

避難所で聞き取りをする山谷防災担当大臣(広島市安佐南区八木地区・梅林小学校)

支援策
具体的な支援として、広島県からの災害派遣要請に基づき、延べ14965名余りの自衛隊員が人命救助や入浴支援などを実施しました。また、警察は、延べ35100名余りの体制で、救出救助や交通対策、検視や身元確認、防犯パトロール等の活動を行いました。消防機関では、延べ18460名余りによる救出・救助活動などを実施したほか、国土交通省においては、TEC-FORCEを延べ1817名余り派遣し、二次災害防止のための技術的助言等の支援を行いました。また、8月20日に災害救助法及び被災者生活再建支援法が広島県広島市に適用されたほか、災害救助法の適用を踏まえ、8月27日、同市に対し、11月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰り上げて交付しました。更に、9月5日に「平成二十六年七月三十日から八月二十五日までの間の暴風雨及び豪雨による災害」を激甚災害に指定し、全国を対象として、農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例、小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等を適用しました。
(平成26年9月16日現在)

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