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平成24年度 広報ぼうさい

特集 大雪に備える

平成22年度、23年度は、2年続けて、100名を越す人的被害を生じる大雪が降りました。被害の多くは、日本の「特別豪雪地帯」で発生しています。
今冬の大雪対策は万全ですか? 大雪は不定期に発生するものですが、「備えあれば憂い無し」です。
除雪用具や装備の点検、隣近所との声かけなど、自分で出来る備えが大雪に対する地域防災力の向上につながります。

本物そっくりの地震の揺れを体験できる本所防災館の地震体験コーナー(本所防災館 提供)
(出典 平成18 年豪雪災害活動記録 新潟県魚沼消防本部)



近年の大雪災害

戦後の主な大雪としては、「昭和38年1月豪雪」、「平成18年豪雪」のほか、戦後2番目に犠牲者が多い昭和55年度の大雪や、その次に犠牲者が多い昭和58年度の大雪がありました。そして近年では、平成22年度、23年度と記録的な大雪が続き、22年度は、死者131名、重傷者636名、また、23年度は、死者134名、重傷者883名と、多くの人的被害が生じました。


恒常的な降積雪に見舞われる豪雪地帯では、屋根や道路等の除雪は必須ですが、除雪作業中には、屋根から転落する、屋根からの落雪に埋まる、除雪機に巻き込まれる、水路に転落するなど、様々な原因で死亡事故が発生しています。

内閣府、国土交通省の報告書によると、平成22年度の大雪による死者の死亡状況の約82%が除雪作業中でした。また死者全体のうち約66%は65歳以上の高齢者です。

除雪作業中の事故防止の徹底は、重要な雪害対策です。除雪器具や装備の点検・手入れを行い、作業中の用具の取り扱いにも十分注意しましょう。

また、除雪作業は複数人で行うようにしましょう。作業中に事故に遭っても、直ぐに発見されれば助かる可能性があります。家族や隣近所の地域コミュニティと協力して行い、たとえ作業を一緒に行えなくとも、作業の様子を見ていてもらうことが安全管理として重要です。

除雪作業中の事故は、「慣れた作業だから」、あるいは「除雪機のエンジンを止めて雪詰まり除去をするのは面倒だ」といった、小さな油断から発生することも多々あります。除雪作業に対する慣れや過信は禁物です。

どのような状況で除雪中の事故が発生しやすいのか、また、安全な作業を行うためにはどのような点に気をつけたらよいのか確認しておきましょう。


命を守る除雪中の事故防止10箇条

1.作業は家族、隣近所にも声をかけて2人以上で行う!

2.建物の周りに雪を残して雪下ろし!
 ・転落死亡事故の51%で地面に身体を強打しています。

3.晴れの日ほど要注意、屋根の雪がゆるんでいる!
 ・暖かい日の午後の作業は、特に注意が必要です。

4.はしごの固定を忘れずに!
 ・はしごの足元をしっかり固め、上部はロープ等で固定。長さは、軒先より60cm以上高くしましょう。
 ・はしごの昇り降りに加え、はしごから屋根への移動時は特に注意が必要です。

5.エンジンを切ってから、除雪機の雪詰まりの取り除き
 ・除雪作業中の死亡事故の5%は、除雪機に巻き込まれたことが原因です。

6.低い屋根でも油断は禁物!
 ・転落死亡事故の60%は、1階の屋根からの転落が原因です。

7.作業開始直後と疲れた頃は特に慎重に作業!
 ・屋根に上がる前に準備運動をしておきましょう。
 ・雪下ろしは重労働です。事前に体調を整えておくとともに、雪下ろし中は、十分に休息をとりながら、何回かに分けて作業を行いましょう。

8.面倒でも命綱とヘルメットを!
 ・ヘルメットは、あご紐を締めて正しく着用しましょう。
 ・命綱は、ザイルや麻ロープ等、すべりにくく、ゆるみにくいものを使用し、正しく結びましょう。

9.命綱、除雪機など用具はこまめに手入れ・点検を!

10.作業のときには携帯電話を持っていく!


1時間降水量50mm以上の年間発生回数
(出典 「よくある除雪作業中の事故とその対策」チラシ 作成:内閣府/国土交通省)



日本の豪雪地帯

日本では、「豪雪地帯対策特別措置法」に基づき「豪雪地帯」や「特別豪雪地帯」(豪雪地帯のうち積雪量が特に多く、住民の生活に著しい支障を生ずる地域)が指定されています。豪雪地帯の指定地域は、北海道全域、東北地方、関東地方、北陸地方全域、中部地方、近畿地方、中国地方に分布。また特別豪雪地帯は、北海道から近畿地方にかけて分布しており、豪雪地帯の面積(※1)は、全国の50.7%、特別豪雪地帯は、全国の19.8%を占めています。

豪雪地帯、特別豪雪地帯の人口(※2)は、それぞれ総人口の15.3%と2.5%です。また、平成22年の豪雪地帯の高齢化率(※3)は25.5%、特別豪雪地帯は29.2%。全国平均の22.8%よりも高くなっています。このような動向からみても、豪雪地帯では人口減少、高齢化が進んでいることがわかります。

※1 面積は、国土地理院「全国都道府県市町村別面積調」(平成21年10月1日時点)による。
※2、※3 人口、高齢化率は、総務省「国勢調査」による。


地域と合同で実施した防災訓練の様子(2012年5月)。放水による初期消火訓練(左)、がれきの中からの救出・搬送訓練(右)(ダイキン工業株式会社 提供)
国土交通省「豪雪地帯対策の推進」より
http://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/crd_chisei_tk_000010.html

地域と合同で実施した防災訓練の様子(2012年5月)。放水による初期消火訓練(左)、がれきの中からの救出・搬送訓練(右)(ダイキン工業株式会社 提供)


地域コミュニティの共助による雪処理活動

豪雪地帯では、高齢者世帯など、自ら除雪作業を行うことが難しい世帯を支援するため、自治会等の地域コミュニティの共助や地域内外のボランティア等の協力を得た雪処理の取り組みが行われています。

地域コミュニティの中では、住民同士で、日ごろから地域内を見守る意識を持ち、除雪作業中の人に声をかけたり、ひとりで作業している人に注意を呼びかけることも大切です。

●長野県飯山市桑名川区のケース
除雪が困難な世帯を対象に、事前に隊員登録した地区住民が有償で除雪を行う自治会独自の制度「桑名川除雪協力隊」を実施。市が認定する要支援世帯においては、一部費用が補助されます。

●山形県朝日町のケース
住民が主体となって地区内の高齢者宅や町道等の除雪活動を行っている町内の行政区に対し、町から交付金が支給される「雪対策事業」を実施。雪下ろし、雪かき、町道の除雪などを行います。とりわけ、過疎高齢化の進む山間部の集落でこの事業が活用されています。


地域内外のボランティア等、雪処理の担い手による協力

除雪作業は危険を伴うため、作業参加を希望するボランティアに対しては、安全な除雪作業に関する学習・講習会の受講やボランティア保険への加入を要請しましょう。また、ボランティアの受入れ側においては、原則、屋根の上での雪下ろし等危険な作業は担当させない、ヘルメット等の装備の点検を徹底する等の対策を十分に講じる必要があります。

● 山形市社会福祉協議会と市内高等学校のケース
山形市社会福祉協議会が福祉教育指定校事業(※4)を活用して市内の高校生による除雪ボランティアの取り組みを推進。福祉教育指定校の期間終了後も継続して自主的な地域の除雪支援を行っている学校もみられ、地域の新たな雪処理の担い手として活躍しています。

※4 市内の小・中学校及び高等学校を対象に行われている事業。社会福祉への理解と関心を高め、体験を通じて助け合いによる地域社会づくりを推進することを目的としています。指定された学校には市社協から助成金が交付されます。指定校期間は3年間。

● NPO法人中越防災フロンティアのケース
都市部の若者等が豪雪地において地元のベテラン指導者から雪かきの知識と技術を学ぶ「越後雪かき道場」を中越地域を中心に全国の降雪地域で実践。

参加者の技能に応じて初級(地上の雪かき等)、中級(屋根の雪下ろし等)上級(重機を使用した除雪等)までの3つのコースが設けられ、毎年延べ100名以上が修了しています。平成23年2月20日時点では、初級530名、中級54名、上級33名が認定されています。
雪に対する「減災」の知恵・お役立ち情報等を左記でご紹介しています。


内閣府「雪害対策のページ」
http://www.bousai.go.jp///setsugai/index.html
国土交通省「豪雪地帯対策の推進」
http://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/crd_chisei_tk_000010.html





雪崩(なだれ)に注意!


雪崩には「表層雪崩」と「全層雪崩」があり、それぞれ発生する気象条件が異なります。

表層雪崩は、古い積雪面上に降り積もった新雪の層が滑り落ちるもので、気温が低く降雪が続く1〜2月の厳冬期に多く発生します。

一方の全層雪崩は、気温の上昇や降水により融けた水で滑りやすくなった地表面上を積雪層全体が滑り落ちる現象で、春先の融雪期に多く発生します。

表層雪崩は、時速100〜200kmと新幹線並みの猛烈な速さで落下し、発生地点から遠く離れた場所まで到達する恐れがあります。また、全層雪崩でも時速40〜80kmと自動車並のスピードで落下します。

1986(昭和61)年1月26日に新潟県能生町(現、糸魚川市大字能生)で発生した大規模な表層雪崩では、権現岳という山の中腹で発生した雪崩が2kmも離れた麓の集落を襲い、民家11棟を巻き込み死者13名の大惨事となりました。また、2012年2月1日に秋田県仙北市の玉川温泉で起きた雪崩は、幅約300m、長さ約100mにわたり、岩盤浴をしていた湯治客3名が犠牲となりました。

人命に関わる雪崩災害は毎年のように発生しています。雪の多い地域の方はもちろん、登山やスキーなどのレジャーで多雪地域を訪れる方も、雪崩の危険性を十分認識しておく必要があります。

雪崩は、スピードが速く、発生に気づいてから逃げることはほぼ不可能です。雪崩が発生しやすい場所、前兆現象を知っておくことが重要です。
■雪崩が起きやすい場所
  急な斜面、低い木や草しか生えていない斜面など

■雪崩の前兆現象
  急な斜面や尾根から雪が張り出している雪庇(せっぴ)や雪の斜面の亀裂など

雪崩が発生しやすい場所や前兆現象についての詳しい解説が政府広報オンライン「雪崩に注意!危険な場所や前兆現象を知っておきましょう」に掲載されています。
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201111/5.html


地域と合同で実施した防災訓練の様子(2012年5月)。放水による初期消火訓練(左)、がれきの中からの救出・搬送訓練(右)(ダイキン工業株式会社 提供)
(出典 政府広報オンライン「雪崩に注意! 危険な場所や前兆現象を知っておきましょう」)

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