特集 風水害から身を守る

大雨や台風、低気圧や前線、そして竜巻などの突風による風水害は、日本のどこでも発生する可能性のある災害ですが、防災気象情報の入手など、早めの対策を講じることで被害を軽減することが可能です。
そのために、「今できることを準備」し、「いざという時にやるべきことをイメージ」しておくことが大切です。

積乱雲の下で降る豪雨


近年、世界的に大規模水害が多発し、また、地球温暖化の進行に伴う大雨の頻度の増加や海面水位の上昇など懸念される予測も出されています。
日本でも、一日の降水量200mm以上あるいは、1時間降水量が50mmを超すような大雨の発生頻度が増加傾向にあります。傘は全く役に立たず、水しぶきであたりが見えなくなるほどです。このような豪雨が、各地で大きな被害をもたらしています。
昨年は、断続的に1時間に80mmを超える猛烈な雨が降った「平成23年7月新潟・福島豪雨」や、和歌山県、奈良県及び三重県で河川のはん濫や土砂災害、土砂崩れによる河道閉塞が20箇所あまり発生した「平成23年台風第12号」など、死者、行方不明者を伴う甚大な被害を及ぼす大雨災害が発生しました。

集中豪雨とは

集中豪雨は、積乱雲(雷雲、入道雲ともいわれる)が同じ場所で次々と発生・発達を繰り返すことにより起きるものです。狭い範囲に数時間にわたって強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらします。非常に激しい雨が、何時間も同じ場所に降り続けば、重大な土砂災害や洪水等を引き起こします。

どのようなときに発生するの?
 ◆ 日本付近に前線が停滞しているとき(特に梅雨期の終わり頃)
 ◆ 台風が日本へ接近している時や上陸したとき
 ◆ 大気の不安定な状態が続き、次々と積乱雲が発生するとき

どのような災害が起きるの?
 ◆ 河川が急に増水、はん濫
 ◆ 家屋は浸水し、道路が冠水
 ◆ 土砂崩れやがけ崩れが発生
 ◆ 地下街や地下室へ水が流れ込む

1時間降水量50mm以上の年間発生回数
雨の強さと降り方/風の強さと吹き方

(出典 気象庁)

身を守るために

集中豪雨による被害に遭わないよう、日頃からの備えをしっかりして、情報に耳を傾け、早めの避難を心掛けましょう。

日ごろの備え
● 避難場所、避難経路を確認
● 非常持ち出し品の点検
● 過去に起きた水害や土砂災害被害の有無を確認
日ごろの備えは、危険性の分析や避難等、いざという時の判断や行動に活きてくる重要な防災対策です。避難に関する情報が出てからでは、非常持ち出し品を詰めている時間はありません。
風水害は、地形による影響を大きく受ける災害ですから、住んでいる地域で過去に水害や土砂災害の被害があったかどうかを確認し、危険地域を把握しておくことが有効です。ただし、過去に経験の無い災害が起きることもありますので注意が必要です。
危険箇所や避難場所は、市町村が出している洪水や土砂災害のハザードマップ等で確認できます。「ハザードマップポータルサイト」(国土交通省)では、全国の様々なハザードマップの閲覧が可能です。
国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
http://disapotal.gsi.go.jp/

防災気象情報で早めの対策
● 最新の気象情報をチェック
● 大雨警報や洪水警報が発表されたら避難準備
自分で適切な判断ができるように、防災気象情報は自ら積極的に収集するようにしましょう。
警報、注意報等の防災気象情報は、テレビやラジオの速報や市町村の防災無線で放送される他、天気予報サービス177番、ホームページ(気象庁等)や携帯端末用サイト(国土交通省防災情報提供センター等)やスマートフォンのアプリ等でも確認できます。
「降水」や「竜巻」の気象情報については、気象庁のホームページにある「ナウキャスト」で、現在の状況から1時間先まで、5分または10分ごとの予測を見ることができます。外出や屋外での作業時など、ナウキャスト(次頁図)で最新の状況をこまめにチェックするようにしましょう。

避難は状況に即して判断・行動
● 危険が迫る前に早めに避難
● 浸水の中の避難は非常に危険
● 大雨、強風、水深がひざ上まであるなど、無理に避難するよりも、2階など高いところにとどまる方が安全な場合もある
避難勧告、避難指示等の避難に関する情報は、市町村から発表されます。しかし、すぐにその情報が手元に届かない場合もあります。発表される大雨情報、水位情報だけではなく、周辺の状況にも注意して、自主的な早めの避難を心がけましょう。
やむを得ず浸水の中を避難する場合は、十分な注意が必要です。必ず靴を履き(サンダル、長靴は避ける)、長い棒で水の中の側溝や蓋のあいたマンホールの穴、障害物などを確認して身を守りましょう。
また、自宅等の建物の上階への移動やその場に留まるような行動も有効である場合もありますので、置かれた状況に応じた適切な判断をすることが重要です。

(出典 気象庁)
気象庁「ナウキャスト」
http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/(気象庁ホームページ)別ウインドウで開きます
国土交通省防災情報提供センター(携帯端末用)
http://www.mlit.go.jp/saigai/bosaijoho/i-index.html(国土交通省ホームページ)別ウインドウで開きます

土砂災害に注意


集中豪雨や長雨で地盤がゆるむと、土砂災害(土石流、地すべり、がけ崩れ)が発生しやすくなります。
ハザードマップの確認や、大雨の際に土砂災害警戒情報の発表に注意しましょう。土砂災害警戒情報とは、土砂災害発生の危険度が高まった際、都道府県と気象庁が共同で発表する防災情報です。市町村による避難勧告等発令や住民の自主避難開始の判断の参考となるものです。また、土砂災害の前触れ(前兆現象)のような異変を感じたら、すぐに周囲の人や自治体などに知らせ、安全な場所に避難しましょう。

土石流の前兆現象等
◆ 川の流れがにごり、流木が混じりはじめる等
◆ 雨は降り続いているのに、川の水位が下る等
◆ 山鳴りがする等

地すべりの前兆現象等
◆ 沢や井戸の水がにごる等
◆ 地割れができる等
◆ 斜面から水が噴き出す等

がけ崩れの前兆現象等
◆ がけから小石がバラバラと落ちてくる等
◆ がけから水が湧き出ている等
◆ がけに割れ目が見える等

平成21年7月中国・九州北部豪雨による土砂災害(山口県防府市)

都市型水害に注意


近年、都市型水害と呼ばれる災害が発生しています。舗装が普及した都市部では、雨水が地中にしみ込みにくくなっていることも影響し、集中豪雨等により河川や下水の排水処理能力を超えた雨水は低い場所に集まり、短時間のうちに浸水します。特に地下街や地下室、アンダーパス等は、雨水の流入で水没する危険があります。たとえ近くに川がなくても「水害」への注意が必要です。

豪雨で冠水した都市部の道路

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.