特集 家族で防災

学校や企業における防災教育や防災対策の見直し・強化が活発に行われています。では、家庭における防災対策はどうでしょうか。ご自宅で災害に備えた対策をとっていますか?その情報は家族で共有されていますか?
災害が来てからでは遅い。日頃から、災害が起きた時にどのように行動するかを家族で決めておきましょう。
本物そっくりの地震の揺れを体験できる本所防災館の地震体験コーナー(本所防災館 提供)

家族で防災会議していますか

まずは、自宅の防災対策について家族で相談しながら総点検してみましょう。

安否確認

災害発生時、お互いの安否確認や連絡方法を決めていますか?
災害は、家族が揃っているときに発生するとは限りません。自宅、学校、職場、出張先等、家族が離れ離れの状態で被災する可能性があります。
地震などの災害発生時には、被災地への通話が集中し、個人の安否確認だけでなく、消防、警察への連絡などにも支障が起こります。
総務省の発表によると、3月11日の東日本大震災発生直後も、携帯電話事業者によっては平常時の50〜60倍以上の通話が一時的に集中するなど、長時間にわたり電話が非常につながりにくい状態が続きました。
この日、首都圏では大量の帰宅困難者が発生し、翌日まで自宅に帰れない人が大勢いました。内閣府の推計では、その数約515万人。家族の安否が確認できないままでは、不安な時間を過ごすことになります。
災害発生時の安否確認や連絡には、次の方法が利用できます。
三角連絡法
離れた場所に住む家族や親戚、知人の家を連絡先に決め、そこを中継点にして家族の安否確認や連絡をとる方法です。これは、携帯電話やメールを使わない方にも活用いただける方法です。
災害用伝言サービス
大規模災害発生時には、通信事業者から3種類の「災害用伝言サービス」が提供されます。
固定電話で「171」をダイヤルすれば安否等の伝言を録音、確認できる「災害用伝言ダイヤル(171)」のほか、携帯電話やPHS 等による「災害用伝言板」、インターネットを使った「災害用ブロードバンド伝言板(web171)」があります。
これらのサービスは、年に数回の体験利用期間が設けられていますので、是非実際に使ってみましょう。

災害用伝言サービス

避難場所

災害発生時の避難場所を知っていますか?
日頃から、自宅、学校、職場の近くや、通勤通学途中にある避難場所を確認しておきましょう。
市町村が発行している防災マップでの確認も有効です。街中には「災害時一時集合場所」や「避難場所」等の標識があります。家族で街歩きをしながら、自宅近くの防災備蓄倉庫や消火栓など、災害発生時に役立つ設備の場所も合わせて探してみてはいかがでしょうか。

緊急地震速報

緊急地震速報を見聞きしたら、どのように行動しますか?
緊急地震速報は、最大震度5弱以上と予想された地震の場合、テレビ、ラジオ、携帯電話などを通じてチャイム音やブザー音とともに、強い揺れが予想されていることを知らせます。
緊急地震速報から強い揺れが到達するまでの猶予時間は、数秒から数十秒程度です。まわりの人にも声をかけながら、身の安全を確保しましょう。
家庭では、頭を保護し、丈夫な机の下などの安全な場所に避難する、あわてて外に飛び出さない、無理に火を消そうとしないなど、台所、リビング、寝室、それぞれの場所で何をすべきかを考えてみましょう。
内閣府のウェブサイト「防災シミュレーター」では、緊急地震速報を見聞きしてからの行動がシミュレーションできます。
内閣府「防災シミュレーター」
http://www.bousai.go.jp//kyoiku/simulator/index.html

自宅の耐震

災害発生時には、まず命を守ることが重要です。
自宅で地震が発生した場合、あなたの家庭は安全ですか?
家の耐震化や家具固定などの対策を行い、自宅の安全環境づくりを行いましょう。
昭和56(1981)年に建築物の新耐震基準が施行され、住宅の建物の強さを決める基準は大きく変わりました。この年以降に建てられているどうかが、自分の家の強度を知るひとつの手がかりとなります。

耐震基準

耐震診断・改修
多くの自治体で、耐震診断や耐震改修工事の費用の助成や、耐震診断を行う会社の紹介を行っています。まずは市区町村の防災担当課や住宅建築課などに問い合わせてみましょう。

経済的な備え
耐震性が十分な建物でも、非常に大きな地震の発生や、隣接する建物の倒壊に巻き込まれるなど、被害を受ける可能性はゼロではありません。
万が一、被災した場合の住宅再建・補修や生活再建には資金が必要です。地震保険や地震の際に支払が受けられる共済への加入など、経済的な備えについても日頃から家族で話し合っておきましょう。

家具の配置と固定

東京都防災会議の「首都圏直下地震による被害想定」(平成18年)によると、約16万人の想定負傷者のうち34.2%(約5万4千5百人)が家具類の転倒・落下によって負傷するとされています。また実際に、近年発生した大きな地震では、怪我をした原因の約30〜50%が家具類の転倒・落下によるものでした。
家具類の転倒・落下は、直接当たって怪我をするだけでなく、つまづいて転ぶ、割れた食器やガラスを踏む、避難通路をふさぐなど、様々な危険をもたらします。
「大地震では、家具は必ず倒れるもの」と考えて、日頃から家具の固定や配置の見直しで、室内に安全空間をつくるようにしておきましょう。

首都直下地震による東京の被害想定
近年発生した地震における家具類の点等・落下が原因のけが人の割合・大地震に備えてとっている対策

安全空間づくりのポイント

●家具を置かない
寝室、子ども部屋、居間など、家族が長時間過ごす部屋にはできるだけ家具を置かない
家具部屋を作る、作りつけの家具を使う、背の低い家具だけを置く等
●家具の向きを考えて配置
家具が倒れたときに、寝ている人、座っている人に直撃しないように、また出入り口をふさがないようにする等
●家具を置く場合は、固定して転倒防止

正しく家具固定
家具の固定は、「正しく」行わなければ意味がありません。事前に家具を固定していながら、それが不十分であったために効果がなかったという事例もあります。
適切な家具固定の器具を選んで正しく取り付けましょう。家具類の固定については、自治体や消防署でも相談を受け付けています。

家具固定器具
家具固定器具には、金具と家具と壁を直接固定するL字金具のほか、ベルトタイプ等もあります。
主なメーカーの冷蔵庫等の後ろ側の上部には、ベルト取り付け口や取っ手があるので確認してみましょう。また、強力な粘着テープで貼り付けられるベルトもあります。
二段重ねの家具類は、連結金具等で上下を連結しておきましょう。
家具と壁を直接固定できない場合などは、天井と家具の間に設置するポール式器具(つっぱり棒)と、家具と床の間に挟んで家具を壁側に傾斜させるストッパー式器具等、二つ以上の器具を組み合わせると効果が高くなります。
地震の激しい揺れで棚から飛び出した食器や割れたガラスは凶器になります。食器棚の開き戸は、開かないように扉開放防止器具(開き扉ストッパー)などの止め金を付けたり、ガラス部分にはガラス飛散防止フィルムを貼るなどの対応を行いましょう。
家具固定器具購入費の助成を行っている市町村もあります。また、消防庁や市町村等のウェブサイトでは、家具固定の方法や器具の種類などを紹介しているところもありますので参照してみましょう。

地震の揺れで棚から飛び出し、周囲に散乱した食器や調理器具

家具固定していたが、役に立たなかった実例

強力な粘着テープがついたベルトで家具固

上下に分かれた家具を連結

防災用品の備え
水、電気、ガスなどのライフラインが停止した場合に備えて、自宅に水や食料、生活用品は備えておきたいものです。また、災害のために自宅周辺が危険と判断されると、急いで安全な場所への避難が必要になる場合もありますので、非常持ち出し品もリュックなどに詰めて準備しておきましょう。

常に準備しておきたいもの
速やかな避難のために、必要なものは家庭に常備しておきたいものです。
例えば、運動靴。割れた窓ガラスや食器が床一面に広がっていたら、素足ではとても歩けません。その他、ライト、革手袋、レインコートなども有効です。

非常持ち出し品
「すぐに必要になるもの」、「なければ困るもの」は何ですか? 
常備薬や入れ歯、補聴器など、家族にとって必要なものは何かを考えて用意しましょう。

備蓄品
できるだけ、普段の生活に組み込んで、平時に無意識に更新できるものでまかないましょう。
安価でどこでも入手しやすいもの。例えば、ティッシュペーパーやトイレットペーパー、ラップ、大型ゴミ袋、ペットボトル入りの水などは、ある程度の量を蓄えて順々に古いほうから使い、日常生活で買い足していきましょう。

非常持ち出し品の一例

備蓄品の一例(浅山美鈴 撮影)

外出時の携帯品
道を歩いているとき、エレベーターに乗っているときなど、自宅以外で災害に遭遇する可能性もあります。普段からバッグの中などに急場をしのげる防災グッズを携帯しましょう。
自分の身元がわかるカード、自分の病名や処方薬を書いたメモや診察券、状況を把握するためのラジオ、閉じ込められたときのためのチョコレートなどの食料やハンカチなど、できるだけ負担にならずに携帯できるものがよいでしょう。バッグ等に入れっぱなしで気軽に持ち歩けることがポイントです。
昨年度、平成22年9月号「ぼうさい」の特集でも、非常持ち出し品、備蓄品、外出時の携帯品についてご紹介しています。内閣府防災担当のホームページでもご確認いただけます。

防災チェックリスト一例

防災を学びに出かけよう


頭ではわかっていても、いざという時、急には体が動かなかったという経験は誰しもあること。日頃から、災害が発生したらどのように行動すべきかをイメージし、実際に身体を動かして身を守る行動を練習してみることは非常に有効です。
最近、地域の防災訓練に参加しましたか? 場所によって災害の種類や被害状況も異なります。地域の防災訓練に参加して、それぞれの場所で必要となる防災の知恵や備えを学びましょう。
各地で開催されている防災関連のイベントでは、起震車体験や消火訓練など様々な体験や情報収集ができます。
また、全国にある防災館や防災センターなら、いつでも気軽に防災を学ぶことができます。
様々な擬似災害体験コーナーや映像シアター、中には大地震後の市街地を実物大のジオラマの中で体験できる施設もあります。
防災館や防災センターのほとんどが無料で利用できる公共施設です。ガイドによる解説付き体験ツアーを実施している施設もあります。ツアー参加には事前の予約が必要な場合がありますので、まずは、各防災館・防災センターに問い合わせてみましょう。

そなエリア東京

東京・有明の東京臨海広域防災公園にある防災体験学習施設が「そなエリア東京」です。
「東京直下72h TOUR」に参加できる防災体験ゾーンと、首都直下地震をわかりやすく紹介するミニシアター、世界の防災用品や防災ゲームの展示体験コーナー等がある防災学習ゾーンがあります。見学所要時間は、両ゾーン合わせて約1時間から1時間半です。また、屋上庭園や公園内の広場では軽い運動やピクニックを楽しむこともできます。
場所  :135-0063 東京都江東区有明3-8-35  TEL 03-3529-2180 FAX 03-3529-2188
開館時間:午前9時30分〜午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日 :月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌日休館)、年末年始および臨時休館日があります。
※個人や家族での来館の場合は、事前予約不要。

そなエリア東京

「東京直下72h TOUR」〜72 時間をどう生き残るか

公的機関などによる組織的な救助活動が行われるのは、地震発生の約72時間後と言われています。
「東京直下72h TOUR」は、首都直下地震の発災から避難までの一連の流れを体験しながら、救助が困難な、この72時間を生き残るためのヒントをみつける体験学習ツアーです。

体験学習ツアー1
体験学習ツアー2
体験学習ツアー3

大震災後の被災市街地ジオラマ

携帯型ゲーム機から出題されるクイズで注意事項を確認しながら、停電で薄暗い被災市街地の中を通り抜けて避難場所へ向かいます。倒れかかった電信柱や落下したエアコンの室外機など、よく見ると様々な危険箇所がみつかります。

正しい家具固定をした室内(上)と、していない室内(右)の様子も比較してみましょう。

そなエリア東京1
そなエリア東京2

避難場所

避難場所では、防災倉庫の中身や、車用のカバーシートで作った簡易テント、ペットボトルを使ったテーブルや椅子なども展示されています。身近なものの活用方法など、緊急時を生き抜く様々なヒントを確認しておきましょう。

本所防災館


今年5月にオープン予定の東京スカイツリーの近くには、防災体験ツアーに参加できる本所防災館があります。
防災シアターと地震、消火、煙(または都市型水害)、応急手当(または暴風雨)の4つの体験ができる防災体験ツアー(要電話予約)を一日4回実施。各回の所要時間は約2時間です。その他にショートコースのツアーもあります。
防災体験ツアーは予約で満員の場合があるので、事前に電話で空き状況を確認しましょう。
場所:130-0003 東京都墨田区横川4-6-6 TEL 03-3621-0119 FAX 03-3621-0116
開館時間:午前9時〜午後5時
休館日 :水曜日・第3木曜日(国民の祝日に当たる場合は翌日になります。)
年末年始(12月28日〜 1月4日)

施設全景

a

消火体験コーナー
実際の火災の様子を映し出す大型スクリーンを相手に、消火器や屋内消火栓の使い方を覚えましょう

a

煙体験コーナー
煙が充満して視界のきかない中を避難します。正しい避難方法を身につけ、冷静な判断力と確実な行動力を養いましょう

a

暴風雨体験コーナー
風水害をもたらす強風や大雨の威力を体験してみましょう

a

防災シアター
地震をテーマにした迫力ある映像で、その場面に遭遇した感覚を体験してみましょう

a

応急手当体験コーナー
人口呼吸や心臓マッサージ、またAED の取り扱い方を学びましょう

その他の防災館・防災センター

東京
池袋防災館(03-3590-6565)、立川防災館(042-521-1119)、 消防博物館(03-3353-9119)
静岡
静岡県地震防災センター(054-251-7100)
大阪
大阪市立阿倍野防災センター(06-6643-1031)
神戸
阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター(078-262-5050)
※上記以外にも全国各地に、公共機関や民間で運営されている防災館・防災センターがあります。
どのような防災学習ができるのか施設によって異なるので、事前に電話やホームページで確認してみましょう。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.