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女優 田中美里さん

2007年3月25日に発生した能登半島地震。M6.9、最大震度6強の地震は県内の観測史上、過去最大でした。
そんな未曾有の被害から立ち直ろうと頑張る能登を舞台にした映画『能登の花ヨメ』が今年8月全国公開されます。主演は田中美里さん。
石川県出身の田中さんが地震のことを知ったのは、京都で撮影中のときでした。
心配だけど何をしていいかわからないと悩んでいた田中さんに映画主演の話が舞い込んできます。

被災した能登で勇気をもらったのは私たちでした

 「普段あまり地震が起きない能登で……すごくびっくりしました。でも自分に何ができるのかもわからなかった。そんな時、映画の話をいただいたので、今まで自分のしてきたことで、少しでも能登の人のお役に立てればと、うれしかったんです」
 撮影開始が10月。まだ地震の傷跡が残る能登に向かう時、「浮かれてはいけないと緊張していました」と田中さん。被災地にどこか暗いイメージを抱いてたそう。
「でも、行ってみたら、違いました。『更地になったところを指さして、ここに私たちの家があったんだよ』って説明してくださるんですが、言い方がすごくカラっとしていて。大変だというところを見せないんですね。仮設住宅の方も自分たちのことで精一杯のはずなのに、温かいお味噌汁やごはんなどの炊き出しをしてくださって……。『がんばってね』『いい映画を作ってね』と、励まされたのは私たちだったんです」
 石川県内から参加してくれたエキストラは800名以上にも及びました。「結局、してもらうだけで、自分たちは何もできなかった」と話す田中さんだが、同時に誰かの役に立つことが能登の人に勇気をもたらしているとも感じたそうです。
「ニュースを見て大変だなと思っても時間がたつと忘れてしまう。でも能登の人たちは前と同じような暮らしを取り戻すために長い年月をかけて頑張らなければならない。でも、みなさん、前向きなんですよ。能登を離れたくない。もう1回同じ場所で、やるからにはもっといい家を建てられるようにしたいって、そんなパワーを感じました」
 田中さんが演じるのは結婚を控えた派遣OL。交通事故で身動きがとれない婚約者の母のため、単身、能登を訪れるが、はじめての土地、嫁姑の対立にとまどう、という役どころです。能登の美しい風景の中で、どこか懐かしい人の温もりが丁寧に描かれていきます。
「地震などの大きな災害をもたらすのも自然だけど、傷を癒してくれるのも自然なんです。それに能登は人と人とのつながりを大切にし、見えない何かを感じられる場所。そんな神秘的な能登で過ごしながら、今、自分にできることはなんだろうとあらためて思いました」
 石川県での先行ロードショーでは、地元の人たちが映画の登場人物と共に笑い、泣き、そして拍手を。それが何よりもうれしかったと田中さん。
「映画を撮影する前と後では受け止め方が変わりましたね。他人事ではなくなりました。どこの地域で災害が起きても気になるし、心配になる。でも、実は、そう感じている人はたくさんいると思うんです。私自身も含めて、『自分にできる何か』を見つけて、少しでも現地の方を応援したいですね」
田中美里さん
撮影:鵜澤昭彦
田中美里さん

Profile たなか・みさと
石川県金沢市出身。1997年、NHK連続テレビ小説「あぐり」のヒロインに抜擢されてデビュー。その後、ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍している。代表作に映画「一本の手」「みすゞ」「黒い家」など。韓国ドラマ「冬のソナタ」チェ・ジウの吹替でも知られる。bay FMではラジオのパーソナリティも務める。現在、木曜ミステリー「その男、副署長 京都河原町署事件ファイル」(ANB)にも出演。

田中美里さんと対峙する姑を演じるのは泉ピン子さん。映画「能登の花ヨメ」(c)「能登の花ヨメ」製作委員会/8月23日(土)より銀座シネパトス、新宿K'scinemaほかロードショー

田中美里さんと対峙する姑を演じるのは泉ピン子さん。映画「能登の花ヨメ」(c)「能登の花ヨメ」製作委員会/8月23日(土)より銀座シネパトス、新宿K's cinemaほかロードショー。

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