第2節 原子力規制委員会における原子力災害対策
東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、原子力規制行政に対する信頼の確保に向けた取組を継続的に行っていくことが極めて重要である。原子力規制委員会は、原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすため、「独立した意思決定」、「実効ある行動」、「透明で開かれた組織」、「向上心と責任感」及び「緊急時即応」を組織理念として、様々な政策課題に取り組んでいる。
2-1 原子力災害対策に係る取組
原子力規制委員会では、最新の国際的知見を積極的に取り入れるなど、防災計画の立案に使用する判断基準等が常に最適なものになるよう原子力災害対策指針の充実を図っている。
原子力災害発生時に放射性ヨウ素の吸入による内部被ばくが懸念される場合に行う緊急時の甲状腺被ばく線量モニタリング及び原子力災害拠点病院等の施設要件について検討し、令和4年度第1回原子力規制委員会(令和4年4月6日)において、原子力災害対策指針を改正した。
また、原子力災害対策の円滑な実施を確保するためには、住民のみならず、住民等の防護措置の実施を支援する防災業務関係者に対しても適切な放射線防護対策を講じ、安全を確保することが不可欠であることから、防災業務関係者に対する放射線防護対策の充実等を図るため、令和4年度第21回原子力規制委員会(令和4年7月6日)で原子力災害対策指針を改正した。
(参照:https://www.nra.go.jp/data/000396853.pdf)
さらに、原子力災害時における医療体制の更なる強化に向けて、令和4年度第81回原子力規制委員会(令和5年3月8日)で、福井大学を令和5年4月1日付けで高度被ばく医療支援センターに指定することを決定した。